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- グロイン | 運用の振り返りと市場のポイント(2023年7-9月)
●2023年7月~9月のピクテ・グローバル・インカム株式ファンド(毎月分配型)(以下当ファンド)の基準価額は長期金利上昇が足かせとなり、下落。
●「グリーンシフト」を目指す公益企業は中長期的な成長が期待され、株価の調整は中長期的な投資機会になるとみる。
■ 当ファンドのパフォーマンス
■ パフォーマンスの変動要因
【2022年10月~2023年9月(過去1年間)】
当該期間でパフォーマンスへのプラス寄与度が大きかった主な銘柄はPG&E(米国、電力)、SSE(英国、電力)などでした。PG&Eは、2020年の山火事賠償責任に関する和解成立、送電線の地中化計画の進展、原子力施設の稼働延長などによる収益改善期待などを背景に上昇しました。SSEは、電力供給を確保するための発電容量の市場取引価格が過去最高値をつけたことなどがプラスに寄与しました。
一方、マイナス寄与度の大きかった主な銘柄は、ネクステラ・エナジー・パートナーズ(米国、独立系発電・エネルギー販売)、オーステッド(デンマーク、電力)、クラウン・キャッスル・インターナショナル(米国、エクイティ不動産投資信託(REIT))、などでした。ネクステラ・エナジー・パートナーズは金利の上昇を背景に、配当成長率見通しを引き下げ、大きく下落しました。オーステッドは金利上昇、税額控除の変更などを理由に米国の洋上風力発電開発に関連する減損処理が必要であると発表したことなどが、下落要因となりました。クラウン・キャッスル・インターナショナルは、電波塔事業拡大の遅れや一時的なコストの発生などを背景に、来期会社計画が市場予想を下回ったことなどが下落要因となりました。
【2023年7月~9月(過去3ヵ月)】
当該期間で下落したものの、世界公益株価指数と比較して組入比率が低く、相対的にプラスに寄与した主な銘柄は、ネクステラ・エナジー(米国、電力)、ドミニオン・エナジー(米国、総合公益事業)などでした。
一方、世界公益株価指数と比較して、マイナス寄与度の大きかった主な銘柄は、ネクステラ・エナジー・パートナーズ、オーステッド、RWE (ドイツ、独立系発電・エネルギー販売)などでした。ネクステラ・エナジー・パートナーズは金利の上昇を背景に、配当成長率見通しを引き下げ、大きく下落しました。オーステッドは金利上昇、税額控除の変更などを理由に米国の洋上風力発電開発に関連する減損処理が必要であると発表したことなどが、下落要因となりました。RWEは洋上発電の入札失敗やオーステッドの洋上風力発電開発に関連する減損処理が必要であるとの発表などが、下落要因となりました。
■ 2023年7月~9月(過去3ヵ月)の投資行動
当該期間の売買に関しては、ネクステラ・エナジーをはじめとした、規制下事業比率の高い米国の電力銘柄の組入比率を引き上げました。規制下事業は、グリーンシフトによる安定的な成長が期待され、また、金利上昇を転嫁する仕組みがあるほか、株価の調整によりバリュエーション(投資価値評価)の観点で欧州企業に対する相対魅力度が増したためです。加えて、山火事に対する安全基準の厳格化を続けていることを評価し、PG&Eの組入比率を引き上げました。
一方、金利の上昇によるマイナスの影響が相対的に大きいイタリアの電力銘柄やナショナル・グリッド(英国、総合公益事業)などの組入比率を引き下げました。
■ 今後の見通し、運用方針
世界公益株式は長期金利の急上昇を背景に相対的に軟調に推移しています。長期金利の上昇は、公益企業の新規設備投資の資金調達に影響を及ぼすことや、債券の代替として配当利回りの魅力が薄まることなどから、公益企業の株価にマイナス要因となり、今後も注視が必要と考えます。一方、株価の調整で世界公益株式全体の株価収益率(PER)は過去平均や世界株式と比べて低い水準となっています。
こうした環境下では、より強固なバランスシートを持つ企業や、資金調達コストの上昇をタイムラグを経て価格転嫁できる規制下の公益企業は、相対的に、将来の収益見通しの確実性が高く、安定しているため有利な立場にあり、金利急上昇による株価の調整は、中長期的な投資機会になるものとみています。
当ファンドでは、米国の規制下事業の比率の高い銘柄は、規制環境が良好で、収益見通しが安定していることから、組入れを高位にしています。一方、金利の急上昇の影響を相対的に受けやすい欧州の電力銘柄や非規制下の事業比率の高い銘柄などの組入比率を低位にしています。
■ 中長期保有に当たってのポイント
中長期的には世界的に電力などの需要拡大が予想されており、公益セクターの事業環境は良好との見方には変わりありません。
ウクライナ危機をきっかけとしたエネルギー安全保障問題などを背景に、主要国・地域の脱炭素化に向けた政策強化の動きが進展しています。米国ではインフレ抑制法(IRA)、欧州では、Fit for 55 (温室効果ガス削減政策)やリパワーEUなどの「グリーンシフト」を促す政策が施行されています。これらの動きは、風力、太陽光、水力などのクリーンエネルギー発電の拡大やこれらの発電を支えるための送電網の拡大を後押しするとみられます。
当ファンドでは、公益企業のESG(環境、社会、ガバナンス)への取り組みを重視し、公益企業にエンゲージメント(対話)を行い、クリーンエネルギーシフトを促していきます。主要国・地域のクリーンエネルギー政策強化の動きは、「グリーンシフト」を目指す公益企業の株式にプラスになるものと期待されます。
■ 長期金利の急上昇局面では、世界公益株式の株価が調整する傾向
過去の実績では、長期金利の急上昇局面では、世界公益株式の株価が調整する傾向がみられますが、中長期的には、世界公益株式の株価は上昇してきました。
■ 相対的に低い世界公益株式の株価収益率(PER)
世界公益株式は株価の調整により、世界公益株式のPERは対過去平均、対世界株式でみて相対的に低い水準となっています。
■ 世界公益企業の利益見通しは相対的に良好
世界公益企業の業績は、2020年から2022年はコロナショック、エネルギー価格の急騰を経ましたが、事業が日常に必要不可欠であることから、他の業種と比べて変動が小さくなりました。
今後の見通しは、1)電力需要の回復が期待されること、2)電力価格に対する政治圧力が少ないと予想されること、3)大口顧客が電力価格の更なる高騰リスクを懸念し2023年から2024年にかけて高い価格で電力購入契約を結んでいること、4)政策の後押しも伴い、グリーンシフトが進むと期待されることなどから、増収増益が予想されています。
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