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- グロイン | 英国政府による課税リスクと投資方針
●英国政府は北海で操業する石油・ガス会社に対して25%の超過利潤課税を行う方針を発表
●英国の電力会社の超過利潤に対しても課税が実施された場合、増益率が低減するにとどまると考える
●規制や政治介入リスクが相対的に小さいとみている米国の規制下電力会社などを中心に投資
英国政府は5月27日に、生活費の高騰から消費者を守るための政策として北海で操業する石油・ガス会社に対して25%の超過利潤課税を行う方針を発表しました。電力会社は今回の対象には含まれていませんでしたが、業界との協議を経て、将来的に電力会社も対象となる可能性があることが示唆されたため、英国の電力会社の株価も下落しました。
この政策は、石油・ガス業界からおよそ50~70億ポンドを調達し、英国の消費者への直接支援に充てることを目的としていますが、新規の設備投資に対する課税軽減で相殺されることになっており、企業への負担が大きくならないような措置がとられています。
企業側が設備投資を抑えるほど利益に影響がでてしまうと将来的に必要な投資が行われなくなり、結果として、エネルギー供給が不足し、消費者にマイナスの影響を及ぼすことになります。こうしたことにならないように、今回の政策でも英国政府が将来の企業による設備投資の促進と消費者保護のバランスをとる必要性を強く認識していることが示されています。
英国政府のこの動きは、電力料金が上昇し続けるなか、物価高騰に対して消費者を保護する政策を行わなければならなくなっている状況を示しています。仮に、電力会社の超過利潤に対しても課税が実施された場合、電力企業の利益が減益になるというよりも、価格上昇による増益率が低減するにとどまると考えられます。このため、英国の電力会社の利益への影響は限定的となるものとみられます。
ピクテでは、以前よりガス・電気料金の異常な高騰に対して、欧州で政治的介入が入ると指摘してきました。このため、政治介入により公益企業へのマイナスの影響が懸念される可能性が高い南欧・東欧の電力銘柄の組入れを早い段階で引き下げるなどの対応を行ってきました。
具体的には、政治介入が懸念される地域での事業比率の高いフランス電力会社(フランス、電力) を売却、イタリア電力公社(イタリア、電力)の組入比率を下げるとともに、過去に政治介入があった地域での事業比率が高いフェアブント(オーストリア、電力)などの投資を回避してきました。
当ファンドでは、2022年4月末現在、規制や政治介入リスクが相対的に小さいとみている米国の規制下の電力関連銘柄を70%近く組入れています。欧州に関しては、公益企業の利益にマイナスの影響を及ぼす政治介入が実施されるリスクが比較的小さいドイツ、英国、北欧諸国などの銘柄や、既に政治介入リスクを織り込んだと判断した銘柄の組入比率を相対的に高位としています。
今回の措置で影響が懸念される英国で事業を行う組入銘柄はSSE(英国、電力)、オーステッド(デンマーク、電力)、RWE(ドイツ、総合公益事業)となります。なお、英国での事業比率が大きいセントリカ(英国、総合公益事業)やドラックス(英国、独立系発電・エネルギー販売)は保有していません。
これまでの発表では英国の電力会社への直接的な大きなマイナスの影響はないとみていますが、欧州で更なる政治介入のリスクが高まっていることは明らかです。当ファンドは政治介入リスクを銘柄選別のための評価に組み込んでおり、先週の発表に先立ち、SSEの利益を確定し既に組入比率を引き下げていました。組入状況に関しては、現在の組入状況は適切なバランスであると考えますが、今後も状況を注視していきます。株価の調整は電力企業の利益へのマイナスの影響を過大評価している場合もあり、投資機会を見極めながら、運用を行っていく方針です。
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