Article Title
ロシアのウクライナ侵攻、エネルギー価格高騰で改めて注目されるグリーンシフト
2022/03/18

Share

Line

LinkedIn

URLをコピー


概要

● 欧州委員会は、ロシアの天然ガスへの依存を減らすための草案を発表し、グリーン・シフトの加速を示唆。
●クリーン・エネルギーや水素の開発加速は、当ファンドの中期的な投資にとってプラス。
●欧州各国政府は、欧州連合(EU)の新しい制限的なガイドラインの中で、エネルギー価格の高騰が消費者や企業に与える影響を軽減することを検討しており、当ファンドは2021年から電力価格上昇に対して政治的圧力がかかるリスクのある株式の組入れを削減。
●ロシアのウクライナ侵攻の影響を直接受ける銘柄への投資はなし。
●グリーンシフトが加速する中で、規制下の公益事業への投資は、景気減速の影響を受けにくく、見通しがしっかりしており、長期的かつ構造的な成長を見込む。



Article Body Text

何が起きたか

欧州連合(EU)は、安全で安価なエネルギー供給を維持しながら、ロシアからの天然ガス輸入への依存を減らすための戦略を示した草案を発表しました。国際エネルギー機関(IEA)によると、欧州は2021年の天然ガス消費量の約40%をロシアからの輸入に頼っているが、報告書では「ロシアからの化石燃料への依存を段階的に減らすことは2030年よりかなり前に可能である」と述べています。欧州委員会(EC)の報告書では、2022年内にロシアからの天然ガス輸入量を2021年の70%近くまで削減することが可能であると試算しています。

 

グリーンシフトの加速

ウクライナの危機が、各国が再生可能エネルギー発電の開発を進めるグリーンシフトを加速させることになることは、非常に明らかです。EUはすべての加盟国に対し、再生可能エネルギー開発のプロジェクトが「利用可能な最も有利な手続きの対象となる」よう、許認可プロセスを短縮するよう要請しています。再生可能エネルギーは地産地消型であり、地政学的なリスクに価格が左右される燃料を必要としません。石油や天然ガスの価格が上昇したことで、クリーンエネルギーの経済性はさらに向上し、この技術に投資するケースが増加しました。EUの報告書にあるように、「グリーンシフトを加速することは、排出量を減らし、輸入化石燃料への依存度を下げ、価格高騰から守ることになる」のです。

 

このグリーンシフトの加速には、電力会社によるクリーンエネルギー発電、蓄電、それらを送電線に接続するための投資が必要です。2030年までに8,000万kWのクリーンエネルギー発電を追加することが目標とされています。これは、再生可能エネルギー発電に関わる電力会社とその送配電事業者にとって大きな機会です。 私たちは、2022年の早い時期に、オーステッド(デンマーク、電力)、ネクステラ・エナジー(米国、電力)といったクリーンエネルギーに焦点を当てた電力銘柄の株価下落局面を利用して組入比率を引き上げましたが、この動きは、これらの銘柄の株価が回復していることを考えると機をとらえていたことが証明され、再生可能エネルギー資産を有するRWE(ドイツ、総合公益事業)とイベルドローラ(スペイン、電力)を引き続き保有しています。

 

また、EUは既存の目標に加え、2,000万トンの水素製造設備を建設することを提案しています。水素の製造はクリーンな発電の需要を高め、再生可能エネルギー発電の需要を増加させることになります。当ファンドのグリーンシフト銘柄にとっては、さらなるプラス材料となります。

 

政策対応

EUは、エネルギー価格上昇の影響から消費者と産業を保護するメカニズムも検討しており、加盟国が家庭向けの小売価格を設定することや、影響を受ける企業に対して短期的な救済を提供することを報告書で明らかにしています。これらに関連するいかなる措置も、クリーン・エネルギーへの追加投資を引き続き奨励し、ヘッジをしていない場合、販売にのみ適用されるべきであるとしていますが、EUは、こうした措置の財源として、加盟国が電力会社の利益に一時的に課税できるとしました。このガイドラインは予想以上に厳しく、電力会社のリスクを高める可能性があります。当ファンドでは、2021年に最もこの課税リスクが高いと思われるフランス電力会社(EDF)を売却するなど、リスクの高い銘柄の組入比率を減らす方向に動いてきています。

 

従来型発電の延長

短期的には、欧州が既存の原子力発電所や既存の石炭発電所を延命させることで、エネルギー供給の安定性をさらに確保しようとする可能性を示唆しています。当ファンドでは、石炭や石油の発電に新規投資する企業には投資しないことにしており、通常、石炭発電所の延命を支持することはありません。しかし、現状では、欧州がエネルギー供給の安定性を維持しつつ、短期的にロシアへの依存度を下げるには、それ以外の選択肢はないと考えています。

 

当ファンドは、ロシアに資産を持つ企業(ユニパー(ドイツ、系発電・エネルギー販売)やフォータム(フィンランド、電力)など)は保有しておらず、ロシアの天然ガス供給の途絶が問題となる企業への投資も限定的です。エンジー(フランス、総合公益事業)は非保有であり、エーオン(ドイツ、電力)の組入比率は縮小しています。当社の英国の電力会社の保有銘柄(SSE(電力)およびナショナル・グリッド(総合公益事業))は、ロシアからの天然ガス供給がわずか1%であるため、供給途絶の影響は小さくなっています。

 

当ファンドでは、グリーンシフトの加速により恩恵を受けるまたは、グリーンシフトに大きく関与する規制下の電力銘柄に一貫してポートフォリオをシフトしてきました。その結果、当ファンドはここまで、2022年の株式市場および公益事業セクターと比較して高いパフォーマンスをあげました。ポートフォリオの約70%は、欧州の地政学リスクの影響を受けにくく、世界的なグリーンシフトの加速の恩恵を受ける米国の公益事業会社に投資しており、欧州ではクリーンエネルギー銘柄の組入比率を高めています。この業界の中期的なファンダメンタルズ(基礎的条件)は、ウクライナ危機とそれに伴うエネルギー価格の変動によって強化され、長期的に見通しのきく構造的な成長、つまりマクロ経済の減速による影響を受けにくい成長という、投資の好機を捉えることができる時期に入ってきているとみています。

 

※個別の銘柄・企業については、あくまでも参考であり、その銘柄・企業の売買を推奨するものではありません。

※将来の市場環境の変動等により、当資料記載の内容が変更される場合があります。

 



●当資料はピクテ・ジャパン株式会社が作成した販売用資料であり、金融商品取引法に基づく開示書類ではありません。取得の申込みにあたっては、販売会社よりお渡しする最新の投資信託説明書(交付目論見書)等の内容を必ずご確認の上、ご自身でご判断ください。
●投資信託は、値動きのある有価証券等(外貨建資産に投資する場合は、為替変動リスクもあります)に投資いたしますので、基準価額は変動します。したがって、投資者の皆さまの投資元本が保証されているものではなく、基準価額の下落により、損失を被り、投資元本を割り込むことがあります。
●運用による損益は、すべて投資者の皆さまに帰属します。
●当資料に記載された過去の実績は、将来の運用成果等を示唆あるいは保証するものではありません。
●当資料は信頼できると考えられる情報に基づき作成されていますが、その正確性、完全性、使用目的への適合性を保証するものではありません。
●当資料中に示された情報等は、作成日現在のものであり、事前の連絡なしに変更されることがあります。
●投資信託は預金等ではなく元本および利回りの保証はありません。
●投資信託は、預金や保険契約と異なり、預金保険機構・保険契約者保護機構の保護の対象ではありません。
●登録金融機関でご購入いただいた投資信託は、投資者保護基金の対象とはなりません。
●当資料に掲載されているいかなる情報も、法務、会計、税務、経営、投資その他に係る助言を構成するものではありません。

MSCI指数は、MSCIが開発した指数です。同指数に対する著作権、知的所有権その他一切の権利はMSCIに帰属します。またMSCIは、同指数の内容を変更する権利および公表を停止する権利を有しています。



関連記事


日付 タイトル タグ
日付
2024/10/29
タイトル 【動画】グロイン|業種・資産別で騰落率1位 公益株式はさらに上昇するのか?<萩野 琢英> タグ
日付
2024/10/24
タイトル グロイン | 運用の振り返りと市場のポイント タグ
日付
2024/09/27
タイトル 【動画】グロイン|年初来高値更新!公益株式上昇の原動力とは? <田中 純平> タグ
日付
2024/08/30
タイトル 【動画】グロイン|激動の市場環境で注目が集まる公益株式の「安定性」とは?<塚本 卓治> タグ
日付
2024/07/26
タイトル 【動画】グロイン|いま公益株式に注目すべき理由とは?<萩野 琢英> タグ
日付
2024/07/25
タイトル グロイン | 運用の振り返りと市場のポイント タグ
日付
2024/06/27
タイトル 【動画】グロイン|5月に最高値更新 公益株式の3つの注目点<田中 純平> タグ
日付
2024/05/29
タイトル 【動画】グロイン|いま公益株式に注目すべき理由とは?<塚本 卓治> タグ
日付
2024/04/26
タイトル 【動画】グロイン|インフレ再加速か?いま公益株式に注目すべき理由<田中 純平> タグ
日付
2024/04/22
タイトル グロイン | 運用の振り返りと市場のポイント タグ
日付
2024/03/26
タイトル 【動画】グロイン|商品価格は底堅く推移、世界公益株式は転換点を迎えるのか?<萩野 琢英> タグ
日付
2024/02/29
タイトル 【動画】グロイン|インフレ時代の資産保全 5つの基本原則<塚本 卓治> タグ
日付
2024/01/31
タイトル 【動画】グロイン|長期目線で割安な公益株に分散投資<田中 純平> タグ
日付
2024/01/26
タイトル グロイン | 運用の振り返りと市場のポイント タグ
日付
2023/12/22
タイトル 【動画】グロイン|日本はインフレ時代か?資産を保全するためのインカム株式<萩野 琢英> タグ
日付
2023/11/30
タイトル 【動画】グロイン|金利ピークアウトで世界公益株式の転換点到来か?<塚本 卓治> タグ
日付
2023/10/31
タイトル グロイン | 運用の振り返りと市場のポイント(2023年7-9月) タグ
日付
2023/10/30
タイトル 【動画】グロイン|割安感が高まる世界公益株式 今は投資の好機か?<塚本 卓治> タグ
日付
2023/09/29
タイトル 【動画】グロイン|商品価格上昇で世界公益株式はどうなる?<田中 純平>2023.9 タグ
日付
2023/08/25
タイトル 【動画】グロイン|金利上昇後の公益株式の投資魅力<萩野 琢英> タグ
日付
2023/07/28
タイトル 【動画】グロイン|地球温暖化対策で注目の公益企業 ~グリーンシフトを投資機会として捉える〜 <塚本 卓治> タグ
日付
2023/07/24
タイトル グロイン | 運用の振り返りと市場のポイント タグ
日付
2023/06/30
タイトル 【動画】グロイン|投資妙味が高まる世界公益株 その理由は?<田中 純平> タグ
日付
2023/06/16
タイトル グロイン | 増益期待が高まるなか、相対的に割安な世界公益株式 タグ
日付
2023/05/26
タイトル 【動画】グロイン|公益株式が底堅い4つの理由<塚本 卓治> タグ
日付
2023/04/27
タイトル 【動画】グロイン|市場の先行き不透明感が高まるなか、 公益事業の相対的な安定性に注目<塚本 卓治> 2023.4 タグ
日付
2023/04/26
タイトル グロイン | 運用の振り返りと市場のポイント タグ
日付
2023/03/31
タイトル 【動画】グロイン|世界公益株式の注目のポイント <田中 純平>2023.3 タグ
日付
2023/03/29
タイトル グロイン | 足元の世界公益株式動向と見通し タグ
日付
2023/02/24
タイトル 【動画】グロイン|ファンドの運用実績と変動要因を読み解く<萩野 琢英> タグ
日付
2023/01/30
タイトル グロイン | 運用の振り返りと市場のポイント タグ
日付
2023/01/27
タイトル 【動画】グロイン|グリーンシフトが中長期にわたり公益企業の成長に寄与<塚本 卓治> タグ
日付
2022/12/21
タイトル 「グリーンシフト」と「電化の進展」は公益企業の中長期的な成長に寄与 タグ
日付
2022/11/30
タイトル グロイン | 投資先ファンドはEUのSFDR「環境・社会の課題への取組みを促進する」分類に タグ
日付
2022/10/28
タイトル グロイン | イタリア新首相、最大96億ユーロの景気支援策検討~公益企業への影響と投資戦略 タグ
日付
2022/10/24
タイトル グロイン | 運用の振り返りと市場のポイント タグ
日付
2022/10/14
タイトル グロイン | 物価高騰、金利上昇による景気後退懸念が増すなかでの世界公益株式の投資戦略は? タグ
日付
2022/09/09
タイトル 公益株式投資によるスタグフレーションへの備え タグ
日付
2022/09/01
タイトル グロイン | 金利上昇局面で世界公益株式に投資すべきか否か? タグ
日付
2022/08/31
タイトル グロイン | 歴史は繰り返す~「資産株の時代」到来? タグ
日付
2022/08/30
タイトル グロイン| タイミングを選ばずに始められる積立投資 タグ
日付
2022/07/11
タイトル グロイン | 運用の振り返りと市場のポイント タグ
日付
2022/06/30
タイトル グロイン | 金利上昇局面で世界公益株式に投資すべきか否か? タグ
日付
2022/06/10
タイトル グロイン | 歴史は繰り返す~「資産株の時代」到来? タグ
日付
2022/05/09
タイトル 物価高騰時に相対的に底堅い世界公益株式 タグ
日付
2022/04/15
タイトル グロインの運用の振り返りと市場のポイント タグ
日付
2022/02/10
タイトル 米金融緩和縮小による影響が相対的に小さい世界公益株式 タグ
日付
2022/01/28
タイトル 成長株中心に株価が調整するなか世界公益株式は底堅く推移 タグ
日付
2022/01/25
タイトル グロインの運用の振り返りと市場のポイント タグ
日付
2021/12/27
タイトル 1982年以来の高い11月米国物価上昇率~公益株投資の好機? タグ
日付
2021/12/08
タイトル 商品価格や物価の上昇時に相対的に強い業種 タグ
日付
2021/12/07
タイトル 米国政策金利引き上げと世界公益株式パフォーマンス タグ
日付
2021/11/30
タイトル コロナショックを経て見直される公益株式の安定性 タグ
日付
2021/10/28
タイトル グロインの運用の振り返りと市場のポイント タグ
日付
2021/09/29
タイトル 公益業界へ投資機会をもたらす「グリーンシフト」 タグ
日付
2021/07/21
タイトル 運用の振り返りと市場のポイント タグ
日付
2021/06/28
タイトル 商品価格や物価の上昇時に相対的に強い業種 タグ
日付
2021/06/15
タイトル 物価上昇時に公益株式に注目する理由とは タグ
日付
2021/05/31
タイトル 物価上昇と世界公益株式 タグ
日付
2021/04/30
タイトル 株価を下支えしてきた流動性が縮小~市場に左右されにくい公益株 タグ
日付
2021/04/23
タイトル グロイン・デイリー・アップデート|Gloin Daily Update タグ
日付
2021/04/23
タイトル 運用の振り返りと市場のポイント タグ
日付
2021/03/05
タイトル 年初来の金利急上昇と世界公益株式動向 タグ
日付
2021/02/25
タイトル 加速するESG投資~「グリーン・シフト」が公益企業の追い風に タグ
日付
2021/01/29
タイトル ESGエンゲージメントで、クリーンエネルギー・シフト タグ
日付
2020/12/23
タイトル 2021年の展望:クリーンエネルギー・シフト タグ
日付
2020/11/10
タイトル バイデン勝利は公益株に追い風か? タグ
日付
2020/10/30
タイトル グロイン15周年公益セミナー②~イタリア電力公社編  タグ
日付
2020/10/30
タイトル グロイン15周年公益セミナー~①投資環境と運用方針編  タグ
日付
2020/10/30
タイトル グロイン15周年公益セミナー③~ナショナル・グリッド編 タグ
日付
2020/10/11
タイトル 「クリーンエネルギー政策」+「ESG投資」で長期的な成長 タグ
日付
2020/09/28
タイトル 株価を下支えしてきた流動性に変化の兆し~相場に左右されにくい公益株 タグ
日付
2020/09/18
タイトル 特性を知ることで再確認~公益株式投資の魅力 タグ
日付
2020/08/07
タイトル クリーンエネルギーへのシフトは公益業界に追い風か? タグ
日付
2020/06/23
タイトル ESG投資拡大の潮流で注目の公益株式 タグ
日付
2020/05/28
タイトル コロナショックに相対的に強い公益銘柄に注目 タグ
日付
2020/05/20
タイトル 公益企業の業績見通しは底堅く推移 タグ
日付
2020/04/30
タイトル Q.需要減による収益見通しへの影響?~需要減は限定的 タグ
もっと見る