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- 金利ピークアウトで世界公益株式に注目
●世界公益株式は米国のCPIと長期金利の低下を背景に、世界株式を上回って上昇
●世界公益株式全体のPERは過去平均や世界株式と比べて魅力的な水準
●世界公益株式の業績見通しは底堅く、中長期投資の投資機会とみる
■ 金利急上昇一服で公益株式がアウトパフォーム
世界公益株式は対世界株式で、2023年10月2日を直近の相対パフォ-マンス(対世界株式)のボトムに現在(2023年12月11日)までで、様々な業種をアウトパフォームしています。
この背景には、これまで世界公益株式のアンダーパフォームの要因となっていた金利の急上昇が一服したことが挙げられます。米国の10年国債利回りは、米国の消費者物価指数(CPI)の鈍化と利上げ停止観測などを背景に2023年10月19日に直近のピークをつけています。
また、公益企業の業績がしっかりしているにも関わらず金利上昇による思惑で売られたことで、株価収益率(PER)の割安感が高まってきていることなども上昇要因に挙げられます。公益企業の業績は底堅く、見通しのブレが少なく、相対的に安定しています。
こうした市場環境は、世界公益株式の中長期的な投資機会になると考えます。
■ 直近1カ月の世界公益株式は、世界株式を大きく上回るパフォーマンス
過去の2年近くの相対パフォーマンスをみると、前半はインフレで世界公益株優位の時期が続きましたが、過去1年近くでみると長期金利の急上昇などを背景にアンダーパフォームが続きました。その金利上昇が一服したことで、直近相対パフォーマンスのボトムから世界公益株式は円換算ベースでも+11.2%と、世界株式の+5.5%を上回っています。
■ 公益株式の株価にマイナス要因となった金利急上昇も頭を打ち、金利低下へ
長期金利は、米国の10年国債利回りでみると、2023年4月のボトム3.3%から10月にはおよそ5%まで大幅に上昇しました。その間に、世界公益株式の(対世界株式)相対パフォーマンスが悪化しました。
大幅な金利上昇は、1)発電施設など設備投資のために、長期借入が多い公益企業の利払いコストが増加し、2)設備投資も縮小するという見方が高まりやすく、また、3)配当利回りが高い公益株式の債券代替としての相対的な利回りの魅力が薄れることから、短期的にマイナスの影響を受けやすい傾向があります。
一方、現在、当ファンドの組入の約8割を占める規制下の公益企業の場合、利払いなどのコストは、時間差をおいて電力料金に転嫁できるという点は、考慮されない傾向があるため、公益企業の株価のアンダーパフォームの要因となりました。その金利上昇も、金利上昇の要因となってきた物価上昇率が鈍化したことや、米国利上げ停止観測などを背景に頭打ちとなり、金利低下に転じてきています。
■ PERでみると世界公益株式は絶対的にも相対的にも割安感高まる
2022年夏には世界公益株の株価収益率(PER)は20倍弱でしたが、株価下落によりPERは大きく低下、その一方で世界株式は株価上昇とともにPERが上昇しています。PERでみると世界公益株式の予想株価収益率(PER)は14.3倍と過去平均や世界株式17.1倍(2023年12月8日現在)と比べて低い水準にあり世界公益株式は絶対的にも相対的にも割安感が高まっています。
■ 世界公益株式のEPS予想は世界株式と比べても堅く推移
世界公益株式の1株当たり利益(EPS)予想は世界株式と比べても堅く推移しています。
■ 規制下事業中心の企業の収益はより安定
左下図は当ファンドの組入上位銘柄で、米国の規制下事業の代表銘柄である、サザンの1株当たり利益と配当金の推移です。(なお、当ファンドにおいて、米国を中心とした規制下事業中心の銘柄の組入比率は8割程度となっています。)過去2002年以降、リーマンショックのあった2008年前後でも一株当たり利益は安定していました。規制下の公益事業の場合、物価上昇や金利上昇などで増加したコストは時間差をおいて電力料金に転嫁することができる仕組みとなっており、利益のブレはあるものの、そのブレ幅は他の業種に比べて小さく、安定した利益トレンドとなっています。
中央のグラフは当ファンドの投資比率の高い米国公益企業の利益と配当の過去の推移、右が同利益予想の推移を示しています。これまでの利益実績も、これからの利益予想も米国公益株式は堅調です。
■ 1)金利急上昇一服、2)割安、3)底堅い業績見通しで世界公益株式に注目
世界公益株式投資で現在注目すべき点は、
1)金利上昇の頭打ちは、当ファンドの主要投資対象である世界公益株式のパフォーマンスに寄与するという点、2)世界公益株式はPERでみて割安感が高まっているという点、3)世界公益株式の利益実績、予想ともに底堅く推移すると予想されている、という点です。
また、今後景気減速を迎える可能性も考えられますが、公益企業は日常生活に密着したサービスを提供していることから、景気減速局面でも業績が相対的に安定しているとみられる点は、世界公益株式が世界株式をアウトパフォームする要因になると考えられます。
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