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- 公益株式投資によるスタグフレーションへの備え
●世界公益株式は2021年11月頃から世界株式をアウトパフォーム
●景気停滞下で物価が上昇するスタグフレーションの可能性
●実物資産を多く所有する公益企業の企業価値が高まっていることや、業績が物価上昇や景気変動の影響を受けにくい特性から、公益株式のパフォーマンスはスタグフレーション時に相対的に良い傾向
底堅い世界公益株式パフォーマンス
世界経済の成長鈍化やインフレ高進に加えて、ウクライナ情勢には解決の兆しが見られず、中国では新型コロナウイルス対応のロックダウン(都市封鎖)が経済成長の障害となっています。また、日銀など一部を除く主要中央銀行による積極的な金融引き締めに対する警戒感も高まっており、金融市場は不安定な動きとなっています。
2022年4月の米国の物価上昇率(米国消費者物価指数(CPI)、前年同月比)は8.3%となり、12ヵ月連続5%以上を記録し、第2次オイルショックの影響を受けた1982年1月以来およそ40年ぶりの高い伸びとなった3月の同8.5%よりは鈍化したものの、インフレ率が高水準で推移しています。コロナ禍を経て、サプライチェーン(供給網)の混乱が続くなかでの景気回復による需要増で世界的に物価上昇圧力が高まるなか、ロシアのウクライナ侵攻が資源価格の高騰に拍車をかけました。市場予想*では2022年は引き続き物価上昇が予想される一方、経済成長率予想は鈍化しており、景気停滞下で物価が上昇するスタグフレーションが懸念されています。(*ブルームバーグ集計のコンセンサス予想、次頁参照)
こうしたなか、世界公益株式は底堅く推移し、2021年11月頃から世界株式のパフォーマンスを上回って推移しています。この背景には、物価が高騰するなかで、1)実物資産を多く所有する公益企業の企業価値が高まっていること、2)業績が景気変動の影響を受けにくく、インフレに強い特性が注目されたことなどがあげられます。
市場はスタグフレーションを懸念
景気停滞下で物価が上昇するスタグフレーションへの懸念が市場では強まっています。下図は米国およびユーロ圏のインフレ率・GDP予想の推移ですが、市場予想(ブルームバーグ集計のコンセンサス予想)では足元、インフレが高進するなかGDP成長率予想は低下しています。
エネルギー価格が数年来の高水準になっていることや、長期にわたるサプライチェーンの混乱が世界的な供給不足を引き起こし、インフレ(物価上昇)圧力となってきました。更に、ウクライナ紛争による市場の分断が供給不足による物価高騰に拍車をかけています。また、中国のゼロコロナ政策による都市封鎖(ロックダウン)の影響も、世界の物流にマイナスの影響を及ぼしています。
これまでインフレ圧力となってきたコロナ関連品目の影響は落ち着いてきているためインフレ率やインフレ期待が向こう数ヵ月のうちにもピークに達するという見方がある一方、家賃や賃金の上昇、サービスセクターにおける需要の加速などが今後物価を押し上げ、インフレが長期化する可能性がある点には注意が必要と考えます。
こうした環境下、インフレ圧力に対応するための、米連邦準備制度理事会(FRB)など世界の主要中央銀行の積極的な金融引き締めによる景気悪化リスクへの懸念が高まっています。
経済成長とインフレの局面分析
ピクテでは、経済成長とインフレの局面を、米国の指標を用いた独自の基準注で、局面1:景気回復の初期(インフレを伴わない景気拡大期)、局面2:景気過熱期(インフレを伴った景気拡大期)、局面3:スタグフレーション期(インフレを伴った低成長期)、局面4:景気後退期(インフレを伴わない低成長期)と分類しています。
下図は、縦軸が経済活動、横軸はインフレ動向です。また、図中には、経済活動とインフレ(物価上昇)動向の局面と各局面で強いと考えられる資産を示しています。
現在は局面2:景気過熱期(インフレを伴った景気拡大期)から局面3:スタグフレーション期(インフレを伴った低成長期)の間にあるとみています。このため、右の局面2や局面3を意識した運用が必要となっていると考えます。
過去の実績では、詳細は次頁の通りですが、局面2:景気過熱期(インフレを伴った景気拡大期)では、株式や金、商品の投資が良好な投資パフォーマンスを示す傾向がみられました。
局面3:スタグフレーション期(インフレを伴った低成長期)では、金や商品、株式の中では公益株式などが良好な投資パフォーマンスを示す傾向がみられました。
なお、公益株式と金の組み合わせは局面2、3において良好な投資パフォーマンスを示す傾向がみられました。
インフレを伴った低成長期では公益株式+金に注目
各資産別の過去の長期パフォーマンスの実績をみると、局面2:景気過熱期(インフレを伴った景気拡大期)においてはインフレに強いとされる株式および商品や金といった実物資産が相対的に高いパフォーマンスとなっています。
また局面3:スタグフレーション期(インフレを伴った低成長期)では、金や商品といった実物資産がより高いパフォーマンスとなっています。この局面では、株式は物価が上昇するなかで景気が低迷するため全体的には業績が悪化しパフォーマンスは振るいません。ただし、株式のなかでは、公益企業の業績は景気に左右されにくいため相対的に安定しており、株価も相対的に底堅く推移する傾向が見られます。
公益株式50%+金50%を組み合わせた場合には局面2でも局面3でも相対的に高いパフォーマンスとなっています。
現在は、局面2:景気過熱期と局面3:スタグフレーション期の中間に位置しており、インフレ率が歴史的な高水準となるなか、財政・金融政策の動向次第で局面2になるか局面3になるかの不透明感が強い状況にあるとみています。過去の実績ではこうした市場環境下では、両局面で公益株式と金の組み合わせが有効でした。
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