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- グロイン |足元の世界公益株式動向と見通し
●世界の株式市場は、幾つかの軟調な経済指標の発表を背景に景気減速懸念が残る一方、欧米の利上げペース減速や中国経済活動再開による景気回復期待などに左右される展開。
●公益企業の業績は底堅く成長見通しも良好。株価の調整は中長期的な投資機会とみる。
■ 足元の世界公益株式の調整の背景
世界の株式市場は2023年年初来大きく上昇し、2022年の下落の一部を回復しています。物価上昇率の鈍化、2023年内の金融引き締めペースの鈍化期待、中国の経済活動再開等が、いずれも投資家のリスク選好を促しました。1月は特に成長株や景気敏感株中心に大きく上昇しました。一方、天然ガス価格をはじめとした資源価格の下落などを背景にエネルギーや素材セクターは小幅な上昇に留まり、これまで相対的に堅調に推移してきた公益事業、ヘルスケアなどのセクターも軟調となっています。2023年1月の株式市場は、業種セクターや投資スタイルにかかわらず、2022年の勝者が失速する一方で、敗者が買われるという展開が顕著に見られました。
■ 株価の調整は公益株式の中長期的な投資機会に
欧米のインフレ率は上昇モメンタムの低下がみられ、暖冬の影響もあり欧州の天然ガス価格などは落ち着きを取り戻し、中国経済活動の再開は市場の予想を上回るペースで進んでいます。一方、株式市場全体では足元、割安感が薄れていることに加え(下図参照)、企業収益が低調です。株価収益率(PER)は、インフレ率の伸びの鈍化を受けて、既に大方上昇しており、当面これ以上の上昇を見込みにくいと考えます。一方、株式市場全体では、企業の利益成長は引き続き低調な状況が予想されます。
こうしたなか、公益セクターは引き続き業績の実績や見通しが相対的に安定しています(下図参照)。このように、経済や金融市場の先行き不透明感が高まるなか、株価の調整は公益株式の中長期的な投資機会を提供する可能性があると考えます。
■ インフレ動向と公益株式の株価
高騰していたエネルギー価格は落ち着きを取り戻してはいますが、依然歴史的な高水準で推移しています。ロシア・ウクライナ危機による資源供給網の分断、中国の経済活動再開の動きによる需要拡大などは、今後の商品価格の上昇要因になるとも考えられます。また、米国の賃金など粘着性のあるインフレ項目は高止まりしています。 過去の実績では、物価上昇時には公益株式は総じて上昇しており、特にインフレ率が3%を超えると相対的に高い上昇率となっています。
【ご参考】
物価上昇時には、発電源となる石油や天然ガスの価格が上昇する局面が多くみられますが、これらは、主要地域の規制下の電力事業では、タイムラグはあっても電力料金に価格転嫁できるため、他の業種と比べて収益へのマイナスの影響が限定的となる傾向がみられます。また、当ファンドや世界公益株式指数における構成比が高い米国の規制下における電力料金では、電力設備への投資額も反映される仕組みとなっています。こうしたことから、インフレ率上昇時は、収益が増加する傾向がみられます。
このため、過去の実績では、他の業種と比べて、物価上昇が大きいほど、株価も相対的に堅調に推移する傾向がみられました。
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