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- グロイン1年の運用の振り返りと市場のポイント
2021年7月~9月のピクテ・グローバル・インカム株式ファンド(1年決算型)(グロイン1年、以下当ファンド)の基準価額は下落となりました。天然ガス価格高騰による欧州での電力会社への課税強化などの政治圧力に対する懸念や米国の長期金利上昇などがマイナス要因となりました。引き続きこうした影響は懸念されますが、「グリーンシフト」を目指す公益企業の中長期的な成長が期待できると考えます。
当ファンドのパフォーマンス~欧州での課税強化などの政治圧力に対する懸念や米国の長期金利上昇などがマイナス要因
今後の見通し、運用方針
世界の主力の火力発電源である天然ガスの価格の高騰により、電力の市場価格も上昇しています。こうした状況では、クリーンエネルギーによる発電コストは変わらないため、クリーンエネルギー発電中心の発電事業者にとって、天然ガス価格の上昇は利益増加要因となります。しかし、欧州ではこうした電力会社の利益に対して課税強化などの政治圧力がかかっているため、注視が必要と考えています。一方、米国ではバイデン大統領が打ち出した数兆ドル規模の歳出計画や税額控除などクリーンエネルギーのインフラ面でのサポートに引き続き期待が高まっています。
経済活動再開の動きを背景に景気の回復が期待されるとともに、今後物価や金利が上昇していく可能性が考えられます。このため、金利の急上昇には注意が必要です。ただし、過去およそ12年間の長期金利の推移を米国10年国債利回りでみると、4%程度を上限に上下しながら昨年0.5%まで趨勢的に低下してきた状況のなかで、長期金利の反転上昇時にも世界公益株式は、その後の期間において上昇していました。金利上昇時は景気回復局面であることが多く、株式市場全体がその後堅調に推移したことに加え、物価が上昇するなか、タイムラグをおいて電力価格が上昇し、公益企業の収益が増加する傾向がみられ、公益企業の株価の上昇要因となったことも一因と考えられます。当ファンドでは風力、太陽光などのクリーンエネルギーへのシフトによる恩恵を受けると期待される企業に引き続き注目しています。また、ESG(環境、社会、ガバナンス)への取り組みを銘柄選別において重視し、公益企業にエンゲージメント(対話)を行い、グリーンシフトを目指しています。
中長期保有に当たってのポイント
中長期的には世界的に電力などの需要拡大が予想されており、公益セクターの事業環境は良好との見方には変わりありません。主要国・地域のクリーンエネルギー政策の強化の動きは、「グリーンシフト」を目指す公益企業の株式にプラスになるものと期待されます。こうした環境下での長期金利急上昇による株価調整は、中長期的な投資機会を提供する可能性もあると考えます。
パフォーマンスの変動要因
2020年10月~2021年9月(過去1年間)
2020年10月~2021年9月(過去1年間)でパフォーマンスにプラス寄与度の大きかった主な銘柄はSSE(英国、電力)、ネクステラ・エナジー(米国、電力)、ナショナル・グリッド(英国、総合公益事業)、センプラ・エナジー(米国、総合公益事業)などでした。SSE、ナショナル・グリッドは英国の送電事業の良好な規制環境や英国と欧州連合(EU)の通商協議が合意に至ったことが、ネクステラ・エナジーは、米国バイデン政権のインフラ政策への期待や良好な業績などが、センプラ・エナジーは、LNG事業再編への期待などがプラスとなりました。
一方、マイナス寄与度の大きかった主な銘柄はオーステッド(デンマーク、電力)、イベルドローラ(スペイン、電力) 、イタリア電力公社(イタリア、電力)などでした。オーステッドは、洋上風力発電事業の競争激化懸念や風力発電資材価格の高騰などが株価にマイナスとなりました。イベルドローラはスペイン政府が天然ガス価格の高騰による電力価格上昇で利益が増加する水力や原子力発電に対して棚ぼた利益税を導入したことなどがマイナス要因となりました。イタリア電力公社も、同社の出資比率が高いエンデサ(スペイン、電力)への影響が懸念されたことから下落率が大きくなりました。
2021年7月~9月(過去3ヵ月)
2021年7月~9月(過去3ヵ月)でパフォーマンスにプラス寄与度の大きかった主な銘柄はSSE、ネクステラ・エナジーなどでした。SSEは欧州の規制下の送電事業の事業価値が評価され、クリーンエネルギー発電事業に強みを持つ銘柄に比べて割安感があることなどが上昇要因となりました。ネクステラ・エナジーはフロリダの電力料金の認可が良好だったことなどがプラスに寄与しました。
一方、マイナス寄与度の大きかった主な銘柄はイベルドローラ、イタリア電力公社、センプラ・エナジーなどでした。イベルドローラ、イタリア電力公社は、天然ガス価格の高騰に対するスペイン政府の政策が利益にマイナスとなるとの懸念から下落しました。センプラ・エナジーは四半期決算発表まで堅調に推移してきましたが、決算発表で、特に成長が期待される新規計画などの発表がなかったことなどが下落要因となりました。
2021年7月~9月(過去3ヵ月)の投資行動
2021年7月~9月(過去3ヵ月)の売買に関しては、規制環境の改善が期待される米国の総合公益事業銘柄、貨物需要の増加が期待できる米国・カナダの陸運・鉄道銘柄、クリーンエネルギーにより注力しているポルトガルの電力銘柄などの組入比率を引き上げました。一方、株価が上昇した米国の電力銘柄、配当見通しの不透明感が高まった英国の電力銘柄、ガスや電力価格の上昇で大統領選を控え政治圧力がかかる懸念があるフランスの電力銘柄などの組入比率を引き下げました。
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