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- グロイン1年 | 運用の振り返りと市場のポイント
●2023年1月~3月のピクテ・グローバル・インカム株式ファンド(1年決算型)(以下当ファンド)の基準価額は世界株式がテクノロジー株中心に上昇するなか低調に推移し、下落となる
●「グリーンシフト」を目指す公益企業は中長期的な成長が期待され、株価の調整は中長期的な投資機会になるとみる
【2022年4月~2023年3月(過去1年間)】
当該期間でパフォーマンスにプラス寄与度の大きかった主な銘柄はPG&E(米国、電力)、エーオン(ドイツ、総合公益事業)、SSE(英国、電力)、ナショナル・グリッド(英国、総合公益事業)、 RWE(ドイツ、独立系発電・エネルギー販売)などでした。PG&Eは、送電線の地中化計画を合理化するカリフォルニア州法の承認、山火事などの災害に対するリスク管理の改善、カリフォルニア州議会での原子力施設の稼働を延長する法案の可決、などを背景に上昇しました。エーオンは、良好な業績や財務指標の改善、設備投資の拡大などがプラスに寄与しました。SSE、ナショナル・グリッドは、電力供給を確保するための発電容量の市場取引価格が過去最高値をつけたことなどがプラスに寄与しました。RWEは低コストの再生可能エネルギー発電への移行や、再生可能エネルギー事業の買収による成長期待なども上昇要因となりました。
一方、マイナス寄与度の大きかった主な銘柄は、ドミニオン・エナジー(米国、総合公益事業)やクラウン・キャッスル・インターナショナル(米国、エクイティ不動産投信信託(REIT))、オーステッド(デンマーク、電力)などでした。 ドミニオン・エナジーは太陽光発電の設備投資計画が資材の供給問題を背景に遅れるとの懸念などを背景に、下落率が大きくなりました。クラウン・キャッスル・インターナショナルは、電波塔事業拡大の遅れや一時的なコストの発生などを背景に、来期会社計画が市場予想を下回ったことなどが下落要因となりました。オーステッドは、欧州の電力価格の高騰への対策で、超過利潤課税が課されるなどの懸念などが株価にマイナスとなりました。
【2023年1月~3月(過去3ヵ月)】
当該期間でパフォーマンスにプラス寄与度の大きかった主な銘柄は、エーオン、ナショナル・グリッドなどでした。エーオンは、良好な業績や財務指標の改善、設備投資の拡大などがプラスに寄与しました。ナショナル・グリッドは電力供給を確保するための発電容量の市場取引価格が過去最高値をつけたことなどを背景に上昇しました。
一方、マイナス寄与度の大きかった主な銘柄は、AES(米国、独立系発電・エネルギー販売)、RWEなどでした。AES、RWEは市場予想を上回る業績を発表したものの、米国の中国からの輸入規制で米国での太陽光発電事業の開発が遅れるとの懸念を背景とした、業績見通しに対する不透明感の高まりなどが下落要因となりました。
■ 2023年1月~3月(過去3ヵ月)の投資行動
当該期間の売買では、これまで好業績を背景に株価が上昇していた電波塔を所有する米国のREITや米国の電力銘柄、RWE(ドイツ、独立系発電・エネルギー販売)などの利益を確定し、組入比率を引き下げました。
一方、株価下落を機に、バリュエーション(投資価値評価)の魅力が増した、米国の廃棄物処理銘柄や鉄道銘柄、ネクステラ・エナジー(米国、電力)など米国電力銘柄の一部の組入比率を引き上げました。
■ 今後の見通し、運用方針
米地銀の破綻などを受けた金融不安が欧州にまで波及し、企業業績やマクロ経済見通しに対する不透明感が高まっています。こうしたなか、公益企業は、発電施設などの長期的に運営される設備に投資し、日常に必要不可欠なサービスを提供することで、収益を拡大しており、短期的なマクロ経済の変動の影響を受けにくくなっています。このため、公益企業の中長期的な成長の見通しは良好です。こうした経済や金融市場の先行き不透明感が高まるなか、株価の調整は公益株式の中長期的な投資機会を提供する可能性があると考えます。
ウクライナ危機によるエネルギー安全保障問題などを背景に、主要国・地域の脱炭素化に向けた政策強化の動きが進展しています。米国ではインフレ抑制法、欧州では、Fit for 55 (温室効果ガス削減政策)やリパワーEUなどのグリーンシフトを促す政策が施行されています。これらの動きは、風力、太陽光、水力などのクリーンエネルギー発電の拡大やこれらの発電を支えるための送電網の拡大を後押しするとみられます。
当ファンドでは、クリーンエネルギーによる発電の割合が高い企業に注目しています。また、米国の規制下事業の比率の高い銘柄は、規制環境が良好で、収益見通しが安定していることから、組入れを高位にしています。
■ 中長期保有に当たってのポイント
中長期的には世界的に電力などの需要拡大が予想されており、公益セクターの事業環境は良好との見方には変わりありません。当ファンドでは、公益企業のESG(環境、社会、ガバナンス)への取り組みを重視し、公益企業にエンゲージメント(対話)を行い、クリーン・エネルギーシフトを促していきます。主要国・地域のクリーン・エネルギー政策強化の動きは、「グリーンシフト」を目指す公益企業の株式にプラスになるものと期待されます。
■ Q. 公益企業の資金調達は問題ないか?
米地銀の破綻などを受けた金融不安が欧州にまで波及し、信用不安が高まっていますが、公益企業の資金調達には大きなマイナスの影響はないとみています。公益企業は長期債券を発行しており、信用収縮が最大となった時期(2009年など)でも、事業リスクが相対的に低い事業構造であることから資金調達に大きな問題は生じませんでした。
こうしたなか、グリーンシフトにより長期的な収益拡大が期待される公益事業会社は、魅力的なポジションにあると言えます。
■ Q. 信用不安が拡大した場合の公益株式への影響と投資戦略は?
公益セクターは引き続き業績の実績や見通しが相対的に安定しています。ただし、底堅い業績ではあるものの、信用不安が拡大し、金融市場全体が大きく下落した場合には、リーマンショックなど過去に市場の大きな調整局面でも影響を受けたように、公益企業の株価もマイナスの影響を避けられないと考えられ、注意が必要です。
経済や金融市場の先行き不透明感が高まるなか、公益事業は生活に必要不可欠なサービスを提供し、グリーンシフトによる長期的な成長期待もあることから、大きな株価の調整局面は公益株式の中長期的な投資機会を提供する可能性もあると考えます。
当ファンドでは、米地銀の破綻をきっかけとした市場全体の下落による株価の調整は、投資機会と捉え、業績見通しが底堅く、バリュエーション(投資価値評価)面などで魅力が増した米国の銘柄を中心に組入比率を引き上げました。今後も、同様に市場の調整局面では中長期的な投資機会を捉えてく方針です。
■ 世界公益株式と世界株式パフォーマンス
過去の実績では、世界の株式市場の大きな調整局面では、世界公益株式は相対的に安定した公益事業のディフェンシブ性などを背景に、相対的に低い下落率にとどまりました。
■ 低いデフォルト率
公益企業は日常に必要不可欠なサービスを提供し、安定した事業基盤を持っていることから、他の業種と比べて、市場のショック時でもデフォルト率は相対的に低くとどまりました。過去30年余りの実績でも、デフォルト率(債務不履行率)は最低水準となっています。
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