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先行き不透明な環境下、選別色を強め下値リスクを低減
2020/08/21

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概要

世界経済は回復に向かって動いているものの、新型コロナウイルス収束には程遠い状況にあり、予断を許しません。こう した中でもリスク水準は維持していますが、米大統領選挙を控えていることなどから米国株式の組入れを削減した一方、 先んじて経済に回復がみられる中国株式の組入れを引き上げるなど、選別的な投資で下値リスクを低減していきます。



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7月の投資環境と 運用状況

世界の株式市場は、新型コロナウイルスの感染者数が世界的に増加傾向を示したことがマイナス要因となりながらも、米ISM製造業景況指数や米雇用統計などの経済指標が市場予想を上回ったことを受けて、月初から上昇基調となりました。その後も市場予想を上回る企業決算の発表が見られたことや新型コロナウイルスのワクチン開発への期待、欧州の復興基金案が合意に至ったことなどを背景に中旬にかけて上昇しました。下旬には米中対立の激化や新型コロナウイルス感染者数の増加などを受けて反落しましたが、月間では上昇しました。

世界国債市場は米国の新型コロナウイルスによる死者数が7月末に15万人を超えるなど感染拡大懸念が広まったことなどから上昇(利回りは低下)しました。また、一部ながら世界の各地域で経済活動制限の動きが見られたことや、欧州の景気指標の中に改善ペースの低下が見られたこと、米国の新規失業保険申請件数が再び増加する兆しを見せたこと、米連邦公開市場委員会(FOMC)が金融緩和姿勢を維持したことなども上昇(利回りは低下)をサポートしました。

ドル・円為替市場は、新型コロナウイルスの新規感染者 数が米国で再拡大したことや、FOMCにおいて長期的な 金融緩和姿勢が示されたことなどから、円高・ドル安が進 行しました。ユーロ・円為替市場は、景気の底打ちを示す 経済指標の発表や、欧州共同債への道を開く可能性を 秘めた欧州復興基金の創設合意を好感し、円安・ユーロ 高が進行しました。

当ファンドの基準価額動向をみると足元では、2020年3月23日を底に株式市場が反発したことを受けて、引き続き回復基調にあります。

 

主な投資行動:各資産ごとに銘柄の 入れ替えを行う

資産配分は概ね前月の水準を維持し(図表4参照)、各資産ごとに銘柄の入れ替えなどを行いました。

株式部分では、北米株式について、新型コロナウイルスを巡る先行き不透明感が依然として高い他、大統領選挙などのリスクイベントも控えていることなどから組入れを引き下げました。また、相対的に割高感が強まったナスダック100先物を全部売却し、S&P500種先物に資金を一部シフトしました(図表5の①)。また、日経平均株価先物を売却し日本株式の組入れも引き下げました(同➁)。一方で、経済活動が先んじて回復している中国をはじめとした新興国株式の組入れを大幅に拡大しました(同③)。債券部分では、米連邦準備制度理事会(FRB)がイールドカーブコントロール(YCC)に踏み切る公算が強まっていることなどから、米国長期国債先物の組入れを引き上げ(同④)、デュレーションを長期化しました。その他、メキシコ中期国債を売却して新興国債券の組入れを削減するなどしました(同➄)。オルタナティブ部分では、金の組入れを拡大するなどしました(同⑥)。


 

基準価額の変動要因: 全ての資産がプラス寄与

このような環境下、当ファンドでは全ての資産が基準価額 にプラス寄与となりました。株式部分では、金鉱山株式や世界環境関連株式などの世界株式(図表5の➆)に加え、米国一般消費財関連株式やナスダック100先物などの北米株式(同⑧)、新興国株式(同➈)などが主にプラスに寄与しました。債券部分では、グローバル転換社債型新株予約権付社債などの社債(同➉)が主なプラス寄与となりました。また、オルタナティブ部分では金(同⑪)が主にプラスに寄与しました。

 

株式:欧州株式の相対的な魅力が高まる

経済であれ、政局であれ、新型コロナウイルスの感染拡大状況のいずれの観点からも、欧州市場は、米国市場と比較して魅力的だと考えられます。独仏両国が主導した総額7,500億ユーロの「欧州復興基金」の創設にEU加盟国が合意したことに加えて、欧州中央銀行(ECB)が景気刺激策を継続していることから、域内経済は従来以上に堅固な基盤の上に置かれています。従って、2021年のユーロ圏実質GDP成長率予想を約1%上方修正し、約7%としました(図表7参照)。


投資家にとって極めて重要なのは、ユーロ圏経済の、特に米国経済と比較した改善の見通しが、株式市場に織り込まれていないことです。足元の株価純資産倍率(PBR)は、米国の約3.7倍に対して欧州は約1.7倍と格差が拡がっており、米国企業の自己資本比率(ROE)が欧州企業のROEを上回る状況が続くこと、また、両者の格差が、足元の約5%から10%以上に拡大することを示唆していますが、格差がこれほど拡がる状況が実現する公算は極めて小さいと考えます。

米国株式は、とにかく、極めて割高と考えられ、約24倍に達した足元の株価収益率(PER)を維持するには、企業の利鞘の安定が求められますが、新型コロナウイルスの抑え込みが果たせず、また、シリコンバレーを拠点とするハイテク大手に対する規制当局の監視強化や11月の大統領選の結果を巡る不確実性が払拭されない状況を考えると、課題の実現は難しいと考えます。


業種別では、個人消費の増加を背景に、一部の地域で景気回復基調が定着し始めていることから、生活必需品セクターに注目しています。景気敏感株が主導する上昇相場に追随できず、グローバル市場全体に対する上乗せ率(プレミアム)は約10%と、3月時点の20%、過去10年平均の25%をいずれも下回ります。生活必需品企業の利益成長率の改善から示唆されるのは、株価の上昇が正当化されるということです。

 

債券・為替・その他: 引き続き米投資適格社債や金は魅力的

社債は、利回りが低下しているとはいえ、幾分かの価値を提供していると考えます。低コストの資金調達を可能にすることで企業を支援するとの米国当局の決意が、近い将来、変わる公算は小さいと思われます。したがって、米国の投資適格社債は引き続き魅力があるとみています。

また、先進国債券の利回りが超低位に張り付き、新興国通貨の割安感が解消されないことから、現地通貨建て新興国債券のオーバーウェイトの度合いを債券セクター中、最も高くしています。新興国通貨は、弊社のモデルで測定すると、過去20年超で最も割安な水準に留まります。

米ドル安の根拠は幾つも挙げられます。先ず、米国の経済成長見通しが、もはや、他の先進国を大きく上回る状況にはないことと、金利差が縮小していることです。また、財政赤字と経常赤字を指す「双子の赤字」が先行きを懸念させる水準にまで拡大していることです。ピクテでは、両方の赤字を併せると1970年代以降最悪の水準に達すると試算しています。

11月の大統領選に関連する政治リスクも懸念材料です。最近の世論調査では、バイデン前副大統領がトランプ大統領を破る可能性が増す状況が示唆されており、これが現実となれば、恐らく、企業寄りとはいえない政権が4年間続くことを意味します。いずれの状況も、既に割高感の強まった米ドルを選好しない根拠です。

金は引き続き魅力がある資産であると考えます。中銀各行による大量の流動性供給に伴うインフレ・リスク、ドル安進行の見通し、地政学リスクの強まり、今年下期の新型コロナウイルスの感染拡大状況を巡る懸念等を勘案すると、ディフェンシブ資産の中でも最も投資妙味が強い状況は変わらず、いずれも、今後一段の上昇を示唆すると考えるからです。

ピクテのテクニカル指標は金が買われ過ぎの領域にあることを示唆していますが、機関投資家の過度に投機的なポジションが構築された兆しは殆ど見られません。これまでの買いの大半は、上場投資信託(ETF)を通じた個人投資家の買いです。インフレ調整後の金価格が40年以上前に付けた過去の高値に近付くにつれてニュースで大きく取り上げられる回数が増えていますが、インフレ調整前のベースでは、未だに過去最高水準を約30%程度下回ります。「金融抑圧」の状況が債券の分散効果を削ぐ中、金はバランス型ポートフォリオにおいて重要な役割を果たし続けると考えます。

 

今後の 運用方針

世界の景況感指数は予想を上回って推移しており、景気回復に向けた動きが継続しています。また、大規模な経済対策と個人消費の改善を受けて、世界的な在庫水準にも安定の兆しが見られ、当面の企業生産活動を後押しするものとみています。加えて、流動性環境に目を向けると、世界の主要中央銀行のバランスシートは大きく拡大しており、リスク資産にとり良好な環境であると考えます。

一方で、米国では引き続き新型コロナウイルスの新規感染者数が大幅に増加している他、欧州やアジア諸国においても再び新規感染者数が増加する傾向にあり、景気の持ち直しが遅れる可能性も否定できない為、新型コロナウイルスを巡る動向には注視する必要があると思われます。

こうした環境下、一定の警戒感を持ちながら現状のリスク水準を概ね維持する方針です。株式部分では、新型コロナウイルスを巡る先行き不透明感に加えて、大統領選挙などのリスクイベントも控えていることなどから米国のエクスポージャーを縮小しています。

一方、欧州では欧州連合(EU)首脳会議で復興基金案などのほかに、30%を気候変動分野にあてる中期予算案が合意されており、環境関連銘柄が今後恩恵を受けるものとみています。新興国では、中国が先んじて経済活動が回復している他、政府や中央銀行による経済対策も期待できることなどから注目しています。また、足元の米ドル安が継続すれば、他の新興国経済に対しても幅広く好地合いをもたらすものとみています。

オルタナティブ部分では、緩和的な金融緩和環境の下で、実質金利はマイナス水準で推移しており、貨幣価値の減価に対するヘッジの為、金をはじめとする実物資産などへの投資を継続する方針です。



●当資料はピクテ・ジャパン株式会社が作成した販売用資料であり、金融商品取引法に基づく開示書類ではありません。取得の申込みにあたっては、販売会社よりお渡しする最新の投資信託説明書(交付目論見書)等の内容を必ずご確認の上、ご自身でご判断ください。
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