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- トレンドを上回る経済成長を期待し、慎重ながら株式を引き上げ
世界経済は、供給サイドの混乱が懸念されるものの、トレンドを上回るペースの経済成長が当面継続するとみています。また、インフレ期待が高止まりするなか、高い名目経済成長が企業業績を押し上げる可能性があるため、慎重ながら株式の組入比率を引き上げました。一方、金利先高感が継続していることから債券の組入比率は抑制しました。
10月の運用状況と投資環境
アルテの2021年10月29日の基準価額は、前月末比で+277円(+2.5%)の11,267円となりました。+277円の内訳は、市場要因+279円、為替+10円、その他-12円です。また、アルテの直近2021年11月17日までの年初来の基準価額の騰落率は+13.2%となっており、主に先進国株式がこれをけん引しました(図表1、2、3)。
図表1:設定来基準価額推移
日次、期間:設定日(2018年4月27日)~2021年11月17日
※基準価額は1万口あたりで表示しています。
※基準価額は、実質的な信託報酬等控除後。換金時の費用・税金等は考慮しておりません。
図表2:基準価額変動要因
日次、期間:設定日(2018年4月27日)~2021年10月29日
※基準価額(1万口あたり)は各月末値です。組入ファンドの価格変動要因を基に委託会社が作成し参考情報として記載しているものです。各項目(概算値)ごとに円未満は四捨五入しており、合計が一致しない場合があります。
図表3:2020年年間、2021年年初来(11月17日まで)の騰落率比較(円換算)
※当ファンド:当ファンドの基準価額は、実質的な信託報酬等控除後。また、換金時の費用・税金等は考慮しておりません。
※先進国株式:MSCI世界株価指数(配当込み)、世界国債:FTSE世界国債指数、新興国株式:MSCI新興国株価指数(配当込み)、日本国債:FTSE日本国債指数、日本株式:TOPIX(配当込み)
※投資対象ファンドによって基準価額に反映する日が1-2日異なるため、比較指数は1営業日前ベースとしています。
出所:ブルームバーグのデータを使用しピクテ投信投資顧問作成
世界の株式市場は、上旬は米国やユーロ圏の景況指数が改善傾向を示し景気が回復基調にあることが示されましたが、エネルギー価格の高騰やサプライチェーン問題などを背景としたインフレ懸念の高まりなどが影響し、上値の重い展開となりました。しかし中旬以降は、市場予想を上回る良好な7-9月期の企業決算の発表が続いたことや、9月の米小売売上高などの経済指標が市場予想を上回ったことなどを受け上昇基調を維持し、月間では大幅な上昇となりました。
世界の国債市場は月初、原油価格の上昇によるインフレ懸念を受け下落(利回りは上昇)しました。また、米国の9月のISM景況感指数(製造業、非製造業とも)や、ユーロ圏の9月の総合購買担当者景気指数(PMI、確報値)が市場予想を上回ったことなども下落(利回りは上昇)の背景とみられます。月半ばには、米国の9月の消費者物価指数で新たなインフレ懸念がみられなかったことなどから上昇(利回りは低下)する局面もありましたが、米小売売上高の予想外の増加などを受けた根強いインフレ懸念を背景に下落(利回りは上昇)に転じ、月を通せば下落(利回りは上昇)しました。
ドル・円為替市場は、米国の経済指標が総じて好調だったことから、円安・ドル高が進みました。米国の利上げ前倒しが織り込まれる一方、日本の金融政策は当面変更なしと思われたことも、円安・ドル高要因となりました。ユーロ・円為替市場は、ユーロ圏のインフレ懸念を背景に欧州中央銀行(ECB)が利上げ時期を前倒しするとの観測から、円安・ユーロ高が進行しました。
主な投資行動:株式の組入比率を引き上げ、債券とキャッシュ等の組入比率を引き下げ
図表4:資産別組入比率推移
月次、期間:2018年5月末~2021年10月末
※ファンドの主要投資対象であるPGSFダイナミック・アロケーション・ファンドの状況です。
※投資資産は当ファンド独自の分類で分類・表示しています。
※四捨五入の関係上合計が100%にならない場合があります。
株式部分では、力強い米国経済見通しに基づき米国株式コールオプション(S&P500)のロング・ポジションを新規に構築しました(図表5-①)。一方、日本については株価モメンタムの鈍化が目立つことなどから日本株式先物(日経平均株価)のポジションを一部削減しました(同②)。また、中国における共同富裕に関連する政策が高級ブランド品などの消費を妨げる可能性を警戒し、フランス株式先物(CAC40)や世界プレミアム・ブランド株式の組入れも一部削減しました(同③)。その他、流動性環境のタイト化が見込まれるなかで金利先高感があることなどから米国金融株式ETFを買い増すなどしました(同④)。
債券部分では、インフレリスクなどに鑑みイタリア長期国債や米国超長期国債を全売却し、日本長期国債(物価連動)や米国超長期国債(物価連動)などを買い増しました(同⑤)。また、供給サイドの問題やインフレリスクなどを背景に新興国市場の先行き不透明感が高まったことから新興国債券(ドル建て)の組入れを小幅に削減する(同⑥)などしました。
図表5:組入資産の詳細
月次、期間:2021年9月末~2021年10月末
※当月末:2021年10月末、前月末:2021年9月末
※ファンドの主要投資対象であるPGSFダイナミック・アロケーション・ファンドの状況です。
※投資資産は当ファンド独自の分類で分類・表示しています。
※寄与度は投資対象ファンドの運用会社のデータを用いて計算されたものであり、必ずしも基準価額変動の内訳を表すものではありません。
基準価額の変動要因:株式のプラスが主なけん引役となり、基準価額は上昇
このような環境下、株式、債券、オルタナティブがいずれもプラス寄与し、基準価額は上昇しました。
株式部分では、米国情報技術株式(個別銘柄)や米国株式先物(S&P500)などを含む北米株式の寄与が大きくプラスとなりました(図表5-⑦)。
債券部分では、米国超長期国債(物価連動)などを中心に先進国国債がプラスに寄与しました(同⑧)。
オルタナティブは、VIX指数先物がマイナス寄与となったものの、コモディティ指数ETFや不動産などが上昇したことから、全体としてはプラス寄与となりました(同⑨)。
株式:地域別ではスイス株式に対する見方が従来比で後退
当ファンドの株式の組入比率は9月末の62.3%に対して10月末は68.3%となり、前月末比で+6.0%ptとなりました。+6.0%ptの主な内訳は、北米株式+11.7%pt、欧州株式-2.2%pt、日本株式-2.0%pt、世界株式-1.4%ptなどとなっています(図表6)。
図表6:組入資産の概要
月次、期間:2021年4月末~2021年10月末
※ファンドの主要投資対象であるPGSFダイナミック・アロケーション・ファンドの状況です。
※投資資産は当ファンド独自の分類で分類・表示しています。
※四捨五入の関係上合計が100%にならない場合があります。
【地域別】
高い経済成長率を背景に中央銀行が流動性供給の縮小に着手する足元の経済環境を踏まえ、成長期待が高いグロース株式よりも株価水準が割安なバリュー株式を選好しています。
一方、堅固な事業基盤とディフェンシブ特性を有するクオリティ銘柄は、新型コロナウイルス感染拡大に起因する不確実性の高い市場環境や、4-6月期の景気減速感が強まった環境下で評価が高まったものの、足元のような環境では評価されにくいと考えています(図表7)。
図表7:景気敏感株式(除くIT・金融)とディフェンシブ株式の相対パフォーマンス(1996年1月1日=100)
日次、期間:1996年1月1日~2021年10月27日
※景気敏感株式は資本財、素材、一般消費財セクター、ディフェンシブ株式は公益、生活必需品、ヘルスケア、コミュニケーション・サービスセクター。景気サイクル調整後PERはEPSの10年移動平均を使用し算出。
出所:リフィニティブ・データストリームのデータを使用しピクテ・アセット・マネジメント作成
このため、クオリティ銘柄を多く含むスイス株式に対する見方は従来比で後退しており、これが欧州株式の組入比率が前月末比で低下したことの一因となっています。
【業種別】
業種別では、バリュエーション(投資価値評価)が割安なことに加えて、債券利回り上昇による恩恵が期待される金融セクターに対して前向きな見方をしています。
債券・為替:中国国債に対する強気姿勢を継続
【中国国債に対する強気姿勢を継続】
中国国債に対する強気姿勢を継続します。
中国のインフレ高進リスクは他国よりも低いとみられ、中央銀行である中国人民銀行が金融政策の緩和姿勢を強めることが予想されます。これに加え、中国の10年国債の利回りは約3%と魅力的な水準にあります。
信用創造の鈍化や規制環境の変化、エネルギー価格の上昇などの影響によって、鉱工業生産、建設活動、固定資産投資などのマクロ指標はいずれも伸び悩んでおり、経済は減速基調となっています(図表8)。
図表8:中国の主要活動指数
2019年12月=100.0、月次、期間は注記参照
※データの表示期間はいずれも2019年12月~2021年9月。
出所:CEIC、リフィニティブ・データストリーム、ブルームバーグのデータを使用しピクテ・アセット・マネジメント作成
中国人民銀行は、銀行セクターに対する規制を一部緩和し、不動産セクター向けの融資を再開するよう求めています。向こう数ヵ月は、想定されたよりも規模が小さく、後ずれする可能性もあるものの、一段の金融緩和策が講じられるものと考えています。
【米国ハイイールド債に対する弱気姿勢を継続】
中国以外の債券市場では、各中央銀行の主張とは裏腹に、足元のインフレが一過性のものではないとの見方が織り込まれつつあります。FRB(米連邦準備制度理事会)が更なるインフレ高進を抑制するために早期に利上げなどの対応を迫られるとの見方は、割高感が強い米国ハイイールド債に対して逆風になると考えています。
【通貨市場では、もう一段の米ドル高の可能性】
通貨市場では、米国の経済成長率が市場期待値を上回るとの見通しに基づき、小幅ながら、もう一段の米ドル高の可能性を想定しています。家計に積み上がった2.4兆米ドルにも達するとみられる過剰貯蓄を背景とした旺盛な個人消費と企業の設備投資(図表9)を受けて、2022年の米国経済は力強い回復を遂げるものと考えられます。
図表9:米国の主要活動指数
2019年12月=100.0、月次、期間は注記参照
※データの表示期間は以下の通り。2019年12月~2021年8月:設備投資活動、輸出(実質)、2019年12月~2021年9月:鉱工業生産、小売売上(名目)、2019年12月~2021年10月:サービス、建設活動。
出所:CEIC、リフィニティブ・データストリームのデータを使用しピクテ・アセット・マネジメント作成
こうした状況が市場の想定を上回る金融引き締めをもたらす可能性も考えられますが、米ドルの割高感を考慮すると、上昇余地は限定的とみています。
今後の運用方針
供給サイドの混乱などの諸問題が短期的な世界経済の下押し圧力となっています。しかし、こうした問題は2022年以降、徐々に和らいでいくと考えており、引き続き世界経済はトレンドを上回るペースで成長するとみています。また、主要先進国を中心に需要動向もしっかりしています。例えば、米国では過剰貯蓄を背景とした力強い消費が期待されるほか、日本においても新型コロナウイルスワクチン接種の広がりを受けて消費者信頼感が回復しており、消費活動が今後盛り上がる可能性が高まっています。一方で、中国では経済の回復ペースが引き続き鈍化しています。しかし、今後当局が景気支援策に踏み切れば再び改善方向に向かう可能性もあるため、動向を注意深くみていきます。
流動性を巡っては、インフレ動向を睨んで多くの中央銀行がこれまでの緩和的な政策を正常化する方向に舵を切り始めており、今後も流動性供給は絞られていくことが想定されます。
こうした環境にあって、株式部分では、高いインフレ期待やトレンドを上回る実質経済成長などを背景に力強い企業業績が期待されることから、バリュー株式を中心にリスク量をやや引き上げた運用を行っていく方針です。また、債券部分では、抑制的なデュレーションを維持する一方で、インフレヘッジとして物価連動国債に注目していきます。
(ご参考-1)当ファンド設定来の基準価額および各主要資産のパフォーマンス
日次、円換算、期間:設定日(2018年4月27日)~2021年11月17日
2018年4月27日=10,000として指数化、グラフ右端数値は2021年11月17日時点
※当ファンド:当ファンドの基準価額は、実質的な信託報酬等控除後。また、換金時の費用・税金等は考慮しておりません。
※先進国株式:MSCI世界株価指数(配当込み)、世界国債:FTSE世界国債指数、新興国株式:MSCI新興国株価指数(配当込み)、日本国債:FTSE日本国債指数、日本株式:TOPIX(配当込み)
※投資対象ファンドによって基準価額に反映する日が1-2日異なるため、比較指数は1営業日前ベースとしています。
出所:ブルームバーグのデータを使用しピクテ投信投資顧問作成
(ご参考-2)各資産のバリュエーション、過去平均(20年)から見た水準
※株式:株価純資産倍率(PBR)、12ヵ月先株価収益率(PER)、一株あたり利益トレンドベース株価収益率(PER)、株価売上高倍率(PSR)、PEGレシオ、株式リスクプレミアム(先進国のみ)、現金、債券:利回りー名目GDPトレンド、商品:ブルームバーグスポット価格インデックス/世界インフレ率、通貨:PPP(購買力平価)からの乖離、金:スポット価格/米国消費者物価指数、物価連動債:利回りー実質GDP成長率、新興国通貨建て債券:利回りー消費者物価指数などをもとに作成各資産のバリュエーション、過去平均(20年)から見た水準:過去20年で何%の水準にあるかを表示
出所:リフィニティブ・データストリームのデータを使用しピクテ・アセット・マネジメント作成
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