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- 景気と金融政策の動向を注視、クオリティ重視の分散運用を意識
世界経済の回復ペースが緩やかなものとなるなか、FRBのテーパリングを巡る議論がリスクとなりうるほか米国長期金利が反発する可能性にも要警戒です。そのため、概ね足元のリスク量を維持しながらも、株式ではクオリティなど景気鈍化の局面でも評価されやすいファクターを重視し、分散を効かせたポートフォリオ運用を行っていく方針です。
8月の運用状況と投資環境
アルテの2021年8月31日の基準価額は、前月末比で+27円(+0.2%)の11,109円となりました。+27円の内訳は、市場要因+61円、為替-22円、その他-13円です。また、アルテの直近2021年9月21日までの年初来の基準価額の騰落率は+9.5%となっており、主に先進国株式がこれをけん引しました(図表1、2、3)。
図表1:設定来基準価額推移
日次、期間:設定日(2018年4月27日)~2021年9月21日
※基準価額は、実質的な信託報酬等控除後。換金時の費用・税金等は考慮しておりません。
図表2:基準価額変動要因
日次、期間:設定日(2018年4月27日)~2021年8月31日
※基準価額は各月末値です。組入ファンドの価格変動要因を基に委託会社が作成し参考情報として記載しているものです。各項目(概算値)ごとに円未満は四捨五入しており、合計が一致しない場合があります。
図表3:2020年年間、2021年年初来(9月21日まで)の騰落率比較(円換算)
※当ファンド:当ファンドの基準価額は、実質的な信託報酬等控除後。また、換金時の費用・税金等は考慮しておりません。※先進国株式:MSCI世界株価指数(配当込み)、世界国債:FTSE世界国債指数、新興国株式:MSCI新興国株価指数(配当込み)、日本国債:FTSE日本国債指数、日本株式:TOPIX(配当込み) ※投資対象ファンドによって基準価額に反映する日が1-2日異なるため、比較指数は1営業日前ベースとしています。
出所:ブルームバーグのデータを使用しピクテ投信投資顧問作成
世界の株式市場は、世界的な新型コロナウイルスのデルタ変異株の感染拡大や中国政府による規制強化の動きを受けて下落する局面もありましたが、良好な企業決算や7月の米雇用統計の改善などを背景に上昇しました。月末に行われたジャクソンホール会議で、債券購入縮小と利上げを切り離し金融緩和を長期化することが示唆されたことも相場の押し上げ要因となりました。
世界の国債市場は、7月の米消費者物価指数でインフレ率上昇は一過性であるとの見方が確認されたことや、ジャクソンホール会議で米連邦準備制度理事会(FRB)のパウエル議長が債券購入縮小と利上げを切り離し金融緩和を長期化させることを示唆したことなどが、上昇(利回り低下)要因となりました。一方、7月の米雇用統計が大幅に改善したことや、原油価格が上昇に転じたことなどが下落(利回り上昇)要因となりました。その結果、月を通せば世界の国債市場は前月末比で小幅な動きに留まりました。
ドル・円為替市場は、米国の経済指標が総じて好調だったことや、菅内閣の支持率低迷で政治の不安定化が懸念されたことなどから、円安・ドル高が進行しました。ユーロ・円為替市場は、ユーロ圏の経済指標が事前予想を下回り、ユーロ圏の景気回復に対する減速懸念が台頭したことなどから、円高・ユーロ安が進行しました。
主な投資行動:株式、債券、オルタナティブの組入れを引き上げ
資産配分については、株式、債券、オルタナティブの組入れを引き上げ、キャッシュの組入れを引き下げました。
図表4:資産別組入比率推移
月次、期間:2018年5月末~2021年8月末
※ファンドの主要投資対象であるPGSFダイナミック・アロケーション・ファンドの状況です。
※投資資産は当ファンド独自の分類で分類・表示しています。
※四捨五入の関係上合計が100にならない場合があります。
株式部分では、米国株式プットオプションを全売却した(図表5-①)ほか、今後米国金利が上昇する可能性を考慮して金利上昇が株価バリュエーション(投資価値評価)の重石となりうる米国株式先物(ナスダック100)の組入れを一部削減しました(同②)。日本株式部分では、金利上昇の恩恵を受けるとみられる日本株式先物(東証銀行業株価指数)を新たに組入れました(同③)。中国の景気回復ペース鈍化や民間セクターに対する規制強化の動きによって市場の先行き不透明感が高まっているため、アジア(除く日本)株式のポジションを一部削減しました(同④)。
債券部分では、利回り水準が魅力的なイタリア長期国債を新たに組入れました(同⑤)。
オルタナティブ部分では、VIX指数先物を買い増し(同⑥)、下値に対するヘッジを強化するなどしました。
図表5:組入資産の詳細
月次、期間:2021年7月末~2021年8月末
※当月末:2021年8月末、前月末:2021年月7月末
※ファンドの主要投資対象であるPGSFダイナミック・アロケーション・ファンドの状況です。
※投資資産は当ファンド独自の分類で分類・表示しています。
※寄与度は投資対象ファンドの運用会社のデータを用いて計算されたものであり、必ずしも基準価額変動の内訳を表すものではありません。
基準価額の変動要因:株式および債券がプラス寄与
このような環境下、株式および債券がプラス寄与し、基準価額は上昇しました。
株式部分では、特に世界株式や米国株式などのプラス寄与が大きくなりました(図表5-⑦)。
債券部分では、先進国国債や新興国債券が小幅ながらプラス寄与となり、債券全体の寄与もわずかにプラスとなりました(同⑧)。
一方で、オルタナティブは、海上輸送アセットリースが上昇したものの、VIX指数先物やコモディティ指数ETFなどが下落したことで、全体での寄与は小幅なマイナスとなりました(同⑨)。
株式:米国株式の先行きには楽観的な見方を強める
当ファンドでは、株式に対しては中立からやや強気の見方を継続しながらも、クオリティなどの景気回復ペースが鈍化する局面でも評価されやすいファクターを重視するほか、在庫積み増しサイクルにおいて恩恵を受けやすい銘柄などにも注目していく方針です。
【地域別の考え方】
当ファンドでは、3月以来、月末ベースで5ヵ月連続で北米株式の組入比率を引き上げてきました(図表6)。
図表6:組入資産の概要
月次、期間:2021年2月末~2021年8月末
※ファンドの主要投資対象であるPGSFダイナミック・アロケーション・ファンドの状況です。
※投資資産は当ファンド独自の分類で分類・表示しています。
※四捨五入の関係上合計が100にならない場合があります。
この結果、北米株式の組入比率は3月末の14.5%に対して8月末は33.3%となっています。なお、この間、株式の組入比率は全体として3月末:67.1%→8月末:56.8%と10.3%pt引き下げています。
北米株式、なかでも米国株式に関しては、バリュエーションの割高感を否めない一方、以下の観点からその先行きに楽観的な見方を強めています。
まず、米国経済が長期的な傾向線を大きく上回って成長しており、名目GDP成長率は2021年に続き2022年も10%近辺に達すると見込まれています。次に、新型コロナウイルスの新規感染者数はピークを付けたと考えられます。また、FRBが量的金融緩和の拙速な縮小を望んでいるとは思われないことから金融政策も引き続き相場の支援材料になると考えられます。企業業績も好調です。ピクテのモデルでは、米国企業に関して、他の先進国や新興国の企業以上に、アナリストによる業績予想の上方修正の勢いが強く出ていることが示されています。
債券・為替:中国国債に対する強気姿勢を継続
【中国国債に対する強気姿勢を継続】
中国債券は、世界的な低金利環境下においても魅力的な投資機会を提供する資産であると考えています。
中国債券はボラティリティが低く、流動性が拡大基調にあることに加え、10年国債利回りは足元で2.8%台と魅力的な水準にあります。
中国では新型コロナウイルスの感染再拡大による一部地域のロックダウンや旅行規制を背景に消費の低迷が続いており、各種景気指標は悪化傾向を示しています(図表7)。
図表7:中国の主要活動指数
2019年12月=100.0、月次、期間は注記参照
※データの表示期間は以下の通り。
2019年12月~2021年6月:固定資産投資
2019年12月~2021年7月:鉱工業生産、小売売上(名目)、新車販売、建設活動、輸出(名目)
出所:CEIC、リフィニティブ・データストリーム、ブルームバーグのデータを使用しピクテ・アセット・マネジメント作成
このような状況にあって中国人民銀行が金融緩和姿勢を強めていることは債券市場の追い風です。中国人民銀行は、経済の減速に対応して7月に預金準備率を0.5%引き下げており、一段の金融緩和の準備を整えているものと思われます。量的金融緩和の縮小を検討しているFRBとは対照的な状況にあります。
【米国国債に対しては中立姿勢を継続】
米国国債に対する中立姿勢を継続します。
足元の10年国債利回りは1.3%前後と、ピクテのモデルが示唆する適正水準を0.4%前後下回ります。しかしながら、利回りが急上昇する公算は大きくないとみています。これは、現時点では、インフレの高進は一時的であると考えているためです。実際、6月と7月の米国コア消費者物価指数は前年同月比でそれぞれ+4.5%、+4.2%と大きく上昇しましたが、一時的な要因による影響が大きくなっています(図表8)。
図表8:米国コア消費者物価指数(前年同月比)の要因分解
月次、期間:2020年2月~2021年7月
※コロナ敏感項目は以下の7項目:宿泊料、中古車、レンタカー、航空運賃、テレビ、玩具、パソコン
出所:CEIC、リフィニティブ・データストリーム、米国労働省労働統計局のデータを使用しピクテ・アセット・マネジメント作成
一時的な影響やベース効果を除いた基調としてのインフレ率は、年初来、前年同月比で+1.4%~1.6%の範囲で安定して推移していると分析しています。
今後の運用方針
世界経済は欧米を中心に景気回復を続けています。また、新型コロナウイルスの感染拡大は、当面の間、サプライチェーンにマイナスの影響を及ぼすものと考えられますが、各国政府が再びロックダウンなどの厳しい感染抑制策に踏み切るとは考えづらく、影響は限定的なものになると見込んでいます。一方で、景気サイクルで先行する中国では、ロックダウンや民間セクターに対する規制強化の動きなどから軟調な景気指標も目立ってきており、同国および世界の景気回復ペースが一段と鈍化する可能性には注意を払っています。
流動性環境は依然として緩和的です。当面は、米国における量的金融緩和の縮小(テーパリング)を巡る議論が焦点となり、市場の想定よりも早い段階でテーパリングが実施されれば相場のボラティリティが高まるとみて警戒しています。反対に、中国では、預金準備率が引き下げられるなど、金融政策が徐々に緩和方向に向かっている点は今後相場を下支えする可能性があるものとみて期待しています。
足元までの株価上昇を支えてきた企業業績については、これまでは米国がけん引役となってきましたが、今後は経済の力強さなどを背景に欧州がけん引役となる展開を想定しています。なお、新興国の企業業績については引き続き下方修正圧力がくすぶる可能性を警戒しています。
こうしたなかで、株式に対しては中立からやや強気の見方を継続しながらも、クオリティなどの景気回復ペースが鈍化する局面でも評価されやすいファクターを重視するほか、在庫積み増しサイクルにおいて恩恵を受けやすい銘柄などにも注目していく方針です。
(ご参考-1)当ファンド設定来の基準価額および各主要資産のパフォーマンス
日次、円換算、期間:設定日(2018年4月27日)~2021年9月21日
2018年4月27日=10,000として指数化、グラフ右端数値は2021年9月21日時点
※当ファンド:当ファンドの基準価額は、実質的な信託報酬等控除後。また、換金時の費用・税金等は考慮しておりません。
※先進国株式:MSCI世界株価指数(配当込み)、世界国債:FTSE世界国債指数、新興国株式:MSCI新興国株価指数(配当込み)、日本国債:FTSE日本国債指数、日本株式:TOPIX(配当込み)
※投資対象ファンドによって基準価額に反映する日が1-2日異なるため、比較指数は1営業日前ベースとしています。
出所:ブルームバーグのデータを使用しピクテ投信投資顧問作成
(ご参考-2)景気敏感株式(除くIT・金融)とディフェンシブ株式の相対パフォーマンス(1996年1月1日=100)
日次、期間:1996年1月1日~2021年9月13日
※景気敏感株式は資本財、素材、一般消費財セクター、ディフェンシブ株式は公益、生活必需品、ヘルスケア、コミュニケーション・サービスセクター。景気サイクル調整後PERはEPSの10年移動平均を使用し算出。
出所:リフィニティブ・データストリームのデータを使用しピクテ・アセット・マネジメント作成
(ご参考-3)各資産のバリュエーション、過去平均(20年)から見た水準
※株式:株価純資産倍率(PBR)、12ヵ月先株価収益率(PER)、一株あたり利益トレンドベース株価収益率(PER)、株価売上高倍率(PSR)、PEGレシオ、ERP(先進国のみ)、現金、債券:利回りー名目GDPトレンド、商品:ブルームバーグスポット価格インデックス/世界インフレ率、通貨:PPPからの乖離、金:スポット価格/米国消費者物価指数、物価連動債:利回りー実質GDP成長率、新興国通貨建て債券:利回りー消費者物価指数などをもとに作成 各資産のバリュエーション、過去平均(20年)から見た水準:過去20年で何%の水準にあるかを表示
出所:リフィニティブ・データストリームのデータを使用しピクテ・アセット・マネジメント作成
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