●2022年、幅広いアセットクラスの価格下落を受けて、当ファンドの基準価額は下落
●円安のプラス効果をフルに享受できなかったことも一因
●2023年は再びアセットクラス間の分散投資効果が期待できる年になると想定

 2022年は未曾有の運用環境下で苦戦。2023年に入り、反転の兆し

2022年は、ロシアによるウクライナへの軍事侵攻などの地政学リスクが台頭したこと加えて、世界的なインフレ高進、米国をはじめ主要中央銀行による積極的な金融引き締めの動きなどを受けて、株式や債券をはじめ幅広いアセットクラス（資産）の価格が下落しました。

こうした中で、2022年（年間）の当ファンドの基準価額は下落しました。基準価額の変動要因をみると、オルタナティブはプラスとなったものの、株式や債券、為替ヘッジ・コスト（「その他」項目に含まれる）のマイナス寄与が大きく響きました。幅広いアセットクラスの価格が下落したことで、様々なアセットクラスに分散投資を行っていても、分散投資効果が得られにくい、未曾有の運用環境とも言える1年でした。

しかし、2023年に入り、こうした環境には変化の兆しもみられており、当ファンドの基準価額はプラスに転じています（2023年1月末時点）。

円安のプラス効果を享受しにくかったことも一因

2022年の為替相場では円安が進行しました。主要資産の多くが下落した一方で、円換算してみた場合には、世界株式や世界国債の下落率は相対的に小幅にとどまり、また、金や米国ハイイールド債券などはプラスのリターンとなるなど、円安によるプラスの効果がありました。

当ファンドは日本円ベースでリスク管理を行っており、長期的な値動きの安定性の観点から円資産（円建て資産や円ヘッジの外貨建て資産）を積極的に組入れていました。こうした方針は、長期的な値動きの安定性に寄与すると期待される一方で、急速な円安局面では、円安によるプラスの効果をフルに享受できません。このことも、2022年、当ファンドの基準価額が下落した要因の1つとなりました。

 2023年の展望｜一転、分散投資効果が期待できる年を想定

2023年は、2022年の未曾有の運用環境から一転し、アセットクラス間の分散投資効果が期待できる年になると想定しています。

債券（特に先進国国債）については、金利上昇が終わりに近づくと想定される中で、安定したリターンおよび株式と組み合わせた際の分散投資効果が復活するとみており、年間を通じて魅力的な投資対象になると考えています。また、米金融当局の金融引き締めサイクルが終了する局面では、米国などの投資適格債券が魅力的な投資対象であるとみており、ポートフォリオの一部で投資を開始しています。

一方、株式については、年前半は調整リスクに備える必要があると考えています。これまでの金融引き締めの影響から、今後、企業業績予想の下方修正が進むと見込まれるためです。ただし、中国の経済再開の恩恵を受けると期待される市場については、選別的に投資を行っていく方針です。

金については、インフレ率の高止まり、地政学リスクの高まり、今後、米ドル安が進行する可能性などから分散投資の対象として、引き続き魅力的であると考えています。

今後も引き続き、分散投資を徹底し、状況に応じて機動的に資産配分を変更することで、リスクを抑え、安定的にリターンを生み出すことを目指します。同時に、投資先については、ESGへの取り組みなどを考慮した選定を行い、長期的なリターンの獲得を目指していく方針です。