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- 変化する旅行の在り方~「ブレジャートラベル」需要の拡大
旅行の在り方は、変化しつつあります。出張に休暇を組み合わせる「ブレジャートラベル」需要が拡大し、こうした動きが、ホテル業界におけるプレミアム化を促進しています。
「ブレジャートラベル」需要の拡大
新型コロナウイルスの世界的な感染拡大(パンデミック)の収束の後、ビジネス、レジャー目的のトラベル需要はともに回復しています。こうした中で特に注目される動きは、仕事(ビジネス)と休暇(レジャー)を兼ねた「ブレジャートラベル」需要の拡大です。時には、家族や友人がビジネス旅行者に同行して「ブレジャートラベル」を共に楽しむという人々が増えつつあります。
「ブレジャートラベル」需要の拡大は、特に北米で顕著です。2022年に行われたグローバルビジネストラベル協会の調査によると、調査を行った企業のビジネストラベルマネージャーの約41%が、より多くの従業員がブレジャートラベルの機会を望んでいると答えています。また、米国ホテル・ロッジング協会による報告では、約76%のビジネス旅行者が出張に休暇を組み合わせた経験があること、さらに約89%が出張に休暇を組み合わせる予定が今後あること、が示されています。在宅勤務を含むリモートワークの普及により、休暇先でも仕事をすることが可能になっていることも、こうした動きを後押ししているのかもしれません。
プレミアム化が進むホテル業界
「ブレジャートラベル」を楽しむ顧客層は、プレミアムなサービス、プレミアムな宿泊体験を熱望しています。
世界の海外旅行者数は、ようやくコロナ前の水準へと回復しつつありますが、ヨーロッパのホテルにおける客室稼働率はそこまで回復しているわけではありません。ただし、宿泊料金の値上げがけん引し、稼働客室当たり収入(RevPAR、客室稼働率x客室単価で算出され、ホテルの収益力を示す重要な指標の一つ)は増加傾向にあります。
ホテルの客室稼働率が上がらない理由の1つには、ホテル運営企業側の姿勢の変化があると考えられます。ホテル運営企業は稼働率の最大化を追求せず、その一方で、客室やサービスの質を向上させて(例えば、4つ星ホテルを5つ星ホテルへとグレードアップ)、宿泊料金を引き上げるなど、富裕層の顧客を惹きつけることをより重視しつつあります。
ホテル運営企業側の姿勢の変化は、新規の客室供給が不足していることも影響しています。パンデミック下では、多くのホテル新築計画が凍結されたためです。その代わりに、出張に休暇を組み合わせる旅行者のニーズに応えるために、既存ホテルにビジネス関連の設備・サービスに加えて、新たにリゾート設備を増設するといった戦略がとられています。
さらに、労働市場が逼迫していることで、十分なスタッフを確保することは困難となっています。そこで、低い客室稼働率のまま、既存スタッフの賃金を引き上げ、宿泊者の満足度を向上させるホスピタリティの提供に重点を置く企業もあります。根強いインフレ圧力が残る状況下、こうしたホテル運営企業の戦略シフトは、コスト増を抑える効果も期待できます。加えて、航空運賃などで採用されているダイナミックプライシング(変動価格制)を採用することで、収益性の維持・向上を目指す動きもみられます。
また、世界の主要国・都市の中には、規制当局が民泊などに提供される短期賃貸物件に対して規制強化する動きがあります。例えば、ヨーロッパ全域では、規制当局が民泊の貸し出し日数を制限したり、厳しいライセンス規制を導入しています。その結果、旅行者は民泊利用からホテル宿泊を選択する傾向がより強まっています。
旅行の在り方の変化がもたらすホテル業界への恩恵
ビジネス旅行者は、より高いレベルのサービスと施設を求める傾向がありました。「ブレジャートラベル」需要の拡大による影響もあり、観光旅行者も同様の高いレベルを求めつつあります。
休暇先からリモートで仕事をする、あるいは、出張に休暇を組み合わせるといった働き方(あるいは、余暇の楽しみ方)を選択する人が増えれば、ホテル宿泊日数はより長期化し、プレミアムなサービス、プレミアムな宿泊体験を熱望する顧客の割合が高まることが予想されます。ホテル運営企業は、こうした旅行の在り方の変化から、大きく恩恵を受ける可能性があると期待されます。
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