Article Title
堅調な業績動向。今後は海外旅行の回復に期待
2023/08/18

Share

Line

LinkedIn

URLをコピー


概要

●2023年4-6月期決算も引き続き堅調。今後は、世界的な海外旅行の本格的な回復に期待
●欧州の高級ブランド企業は良好な企業のファンダメンタルズ(基礎的条件)を有する優良企業が多く、不透明な市場環境下で投資家の注目を集める可能性も



Article Body Text

これまでに比べると華やかさには欠けるが、堅調な業績動向が続く

高級ブランド企業の2023年4-6月期売上高は、中国市場の回復が大きなけん引役となり、全体としては依然として堅調な業績動向であることが示されました。これまで力強いリベンジ消費の動きがみられていた米国市場で減収に転じた企業もありましたが、より高価格帯の商品を提供し、富裕層の顧客が相対的に多いとみられるエルメス・インターナショナル(フランス)は、米国市場でも引き続き好調でした。

また、分野は異なるものの、同様に富裕層の顧客が多いフェラーリ(イタリア)は、需要が堅調であることを背景に、業績見通しの上方修正を発表しました。また、値上げやパーソナライゼーション(顧客ニーズに合わせたカスタマイズ対応)により、2023年4-6月期の営業利益率は過去最高水準を記録しました。

化粧品分野では、ロレアル(フランス)が、全地域で底堅い需要に支えられていることを示したほか、高い収益性が維持できていることも示しました。

マリオット・インターナショナル(米国)をはじめとしたホテル運営企業の多くは、世界的に根強い旅行需要に加えて、中国とその周辺地域が大きく改善していることを発表しました。

中国の経済再開による恩恵はゆっくりだが、着実にプラス寄与 

今年1月に中国政府がゼロコロナ政策を終了した当初、多くの投資家は幅広い分野のプレミアム・ブランド企業がその恩恵を受け、中国市場の「V字」回復を期待していたとみられます。高級ブランド企業など一部についてはこの動きがみられますが、その他については回復ペースはゆっくりで、「U字」回復の様相を呈しています。

回復の段階には、いくつかあると考えられますが、まず最初の段階は、富裕層や「プレミアム」志向が強い消費者による消費の回復です。これは現在進行中と言えるでしょう。

そして、2段階目と考えられるのが、海外旅行の回復(それに伴って、旅行者を対象とした免税品などのトラベル・リテールの回復)です。

さらに、その次の3段階目は、在庫水準やサプライチェーン(供給網)問題の改善と、マス層やプレミアム・ブランドに憧れを持つ層の消費意欲の改善が必要になります。マス層の消費者は景気動向により左右されやすく、また、プレミアム・ブランド企業の中でも提供する商品の価格帯が低い分野(例えば、スポーツ関連ブランドなど)の消費を支える層でもあります。

プレミアム・ブランド企業各社の2023年4-6月期決算からは、中国の経済再開による恩恵はゆっくりではあるものの、着実にプレミアム・ブランド企業の業績動向にプラス効果をもたらしていると考えられます。2023年下期以降は、2段階目(海外旅行の回復)と3段階目(在庫水準の適正化、サプライチェーンの正常化、マス層の消費意欲の回復)の回復が期待されます。

今後は、海外旅行の本格的な回復が成長ドライバーに

新型コロナウイルスの感染拡大期において、中国当局は中国から海外への団体旅行を制限していましたが、今年2月以降、段階的に緩和しています。そして8月10日には、日本、韓国、オーストラリア、米国、ドイツ、英国などをはじめとする78の国と地域を対象に新たに団体旅行の解禁を発表しました。団体旅行に参加するのは、マス層やプレミアム・ブランドに憧れを持つ層が多く含まれる可能性が高いとみられます。高価格帯の高級ブランド商品を多数購入する消費者層ではないかもしれませんが、化粧品などの免税品(トラベル・リテール)の本格的な回復や、プレミアム・ブランド企業の中でも価格帯が低い分野に需要回復の恩恵が広がる可能性があるとみられます。

また、中国のみならず、世界的にみても海外旅行者数はコロナ前の水準にまでは回復していません。その一方で消費者の旅行・レジャー意欲は旺盛であり、今後、世界的な海外旅行の本格的な回復が、多くのプレミアム・ブランド企業にとって成長ドライバーになると期待されます。

足元では、ホテル運営企業の組入比率を引き上げ

当ファンドの足元のポートフォリオにおいても、世界的な海外旅行の本格的な回復によって大きく恩恵を受けるとみられる「トラベル関連」の代表格、ホテル運営企業の組入比率を引き上げており、2023年7月末時点の上位10銘柄のうち、3銘柄がホテル運営企業となっています。また、それ以外にも6月に新規にフランスのホテル運営企業も新たに購入し、7月には買い増しを行いさらに組入比率を引き上げています。

これまでもホテル運営企業の業績は、一足先にコロナ禍からの経済再開に向かった欧米などでは旺盛な旅行需要を背景に、客室稼働率の改善、客室単価の引き上げなどにより、大きく改善してきました。前述の通り、世界的な海外旅行者数はコロナ前の水準には回復していません。今後、世界的に海外旅行が本格的に回復すれば、一段の業績拡大につながると予想されます。


また、免税品などのトラベル・リテールの回復で恩恵を受けるとみられる化粧品分野では、2023年7月末時点で組入上位7位のロレアルのほか、米国の香水メーカーについても2023年年初以降、組入比率を引き上げています。

また、プレミアム・ブランド企業の中核ともいえる欧州の高級ブランド企業は、長い歴史を有する企業が多く存在します。長い歴史の中では経済危機などを幾度も乗り越えてきた実績があるとともに、いつの時代も多くの消費者を魅了する商品を提供し続けてきました。これは、優れた経営力があるからこそ実現できると考えられます。こうしたことから、欧州の高級ブランド企業には、高収益性に加えて、健全な財務基盤を持つ優良企業が多いのが特徴です。景気の先行きに不透明感が高まる中でも、引き続き当ファンドのポートフォリオの中心的な存在と位置付けています。

その一方、米国の消費減速の可能性を視野に、プレミアム・ブランド企業の中でも価格帯が低い商品を提供する企業(景気減速によるマイナスの影響を受けやすいとみられる顧客が多いため)の組入比率を引き下げたほか、業績回復に時間がかかるとみられる銘柄などについても組入比率を引き下げ、もしくは全売却するといった対応を行っています。

短期的な株価の下落には警戒。しかし、堅調な業績動向であることや、良好な企業のファンダメンタルズを有することには変わりがない

プレミアム・ブランド企業の株価はコロナ・ショック後、需要回復期待を先取りするかたちで2020年、2021年と相対的に大きく上昇してきました。さらに、2022年後半から2023年5月半ばにかけては中国のゼロコロナ政策終了で中国市場の回復期待から、再び大きく上昇しました。また、プレミアム・ブランド企業の決算発表では、過去2年以上にわたって市場予想を大きく上回る売上・利益成長が示され続けてきました。

足元では、中国の景気回復が想定以上に緩やかであるほか、米国の力強いリベンジ消費の動きは終息しつつあります。また、プレミアム・ブランド企業の決算は引き続き堅調ですが、これまでのように市場予想を大幅に上回るような、サプライズとなるケースは少なくなっています。こうした状況を考慮すると、今後も短期的にみると、株価が大きく下落する局面が起こりえると警戒しています。

しかし、前述の通り、堅調な業績動向であることに変わりはなく、さらに、今年後半以降は世界的な海外旅行の本格的な回復などが成長ドライバーになると期待しています。

また、特に、欧州の高級ブランド企業については、企業のファンダメンタルズが良好な優良企業が多く存在します。世界経済や市場動向の先行き不透明感が高まる中で、こうした銘柄は投資家の注目を集める可能性があるとみています。

※将来の市場環境の変動等により、上記の内容が変更される場合があります。



●当資料はピクテ・ジャパン株式会社が作成した販売用資料であり、金融商品取引法に基づく開示書類ではありません。取得の申込みにあたっては、販売会社よりお渡しする最新の投資信託説明書(交付目論見書)等の内容を必ずご確認の上、ご自身でご判断ください。
●投資信託は、値動きのある有価証券等(外貨建資産に投資する場合は、為替変動リスクもあります)に投資いたしますので、基準価額は変動します。したがって、投資者の皆さまの投資元本が保証されているものではなく、基準価額の下落により、損失を被り、投資元本を割り込むことがあります。
●運用による損益は、すべて投資者の皆さまに帰属します。
●当資料に記載された過去の実績は、将来の運用成果等を示唆あるいは保証するものではありません。
●当資料は信頼できると考えられる情報に基づき作成されていますが、その正確性、完全性、使用目的への適合性を保証するものではありません。
●当資料中に示された情報等は、作成日現在のものであり、事前の連絡なしに変更されることがあります。
●投資信託は預金等ではなく元本および利回りの保証はありません。
●投資信託は、預金や保険契約と異なり、預金保険機構・保険契約者保護機構の保護の対象ではありません。
●登録金融機関でご購入いただいた投資信託は、投資者保護基金の対象とはなりません。
●当資料に掲載されているいかなる情報も、法務、会計、税務、経営、投資その他に係る助言を構成するものではありません。

お申込みにあたっては、交付目論見書等を必ずご確認の上、ご自身でご判断ください。
投資リスク、手続き・手数料等については以下の各ファンド詳細ページの投資信託説明書(交付目論見書)をご確認ください。

iTrustプレミアム・ブランド



関連記事


日付 タイトル タグ
日付
2024/09/27
タイトル iTrustプレミアム・ブランド|中国の景気下支え策発表を受けて、株価は反発 タグ
日付
2024/06/20
タイトル iTrustプレミアム・ブランド|景況感とプレミアム・ブランド企業の株価の関係 タグ
日付
2024/06/14
タイトル iTrustプレミアム・ブランド|変化する旅行の在り方~「ブレジャートラベル」需要の拡大 タグ
日付
2024/06/12
タイトル iTrustプレミアム・ブランド|プレミアム・ブランドにおける「イノベーション」とは?~技術革新の話ではない~ タグ
日付
2024/05/28
タイトル iTrustプレミアム・ブランド|主要プレミアム・ブランド企業の直近決算動向(主に2024年1-3月期) タグ
日付
2024/03/26
タイトル iTrustプレミアム・ブランド|人々から熱望され続ける、プレミアム・ブランド タグ
日付
2024/02/22
タイトル iTrustプレミアム・ブランド|直近決算が示す、底堅いプレミアム・ブランド需要 タグ
日付
2024/01/05
タイトル iTrustプレミアム・ブランド|2024年、プレミアム・ブランドを支える3つのポイント タグ
日付
2023/11/13
タイトル iTrustプレミアム・ブランド|強弱はあるものの、概ね底堅い業績動向 タグ
日付
2023/10/12
タイトル iTrustプレミアム・ブランド|プレミアム・ブランド企業の足元の株価動向 タグ
日付
2023/06/15
タイトル iTrustプレミアム・ブランド|プレミアム・ブランド、特徴と投資対象としての魅力 タグ
日付
2023/06/05
タイトル iTrustプレミアム・ブランド|足元のプレミアム・ブランド企業の株価動向 タグ
日付
2023/05/26
タイトル iTrustプレミアム・ブランド|2023年1-3月期は好決算。今後の成長にも期待 タグ
日付
2023/04/17
タイトル iTrustプレミアム・ブランド|決算で示されつつある、中国のプレミアム・ブランド市場の回復 タグ
日付
2023/04/04
タイトル iTrustプレミアム・ブランド|引き続き、相対的に高い利益成長期待 タグ
日付
2023/03/17
タイトル iTrustプレミアム・ブランド|ファンド・マネージャーの視点~2023年を注目の年と考える理由 タグ
日付
2023/03/02
タイトル iTrustプレミアム・ブランド|業界専門家からのアドバイスを活用 タグ
日付
2023/03/01
タイトル iTrustプレミアム・ブランド|「中国の経済再開」をより意識した、ポートフォリオに タグ
日付
2023/02/24
タイトル 回復に向かう、世界の旅行需要 タグ
日付
2023/02/22
タイトル 中国の経済再開で、期待が高まるプレミアム・ブランド タグ
日付
2023/02/21
タイトル iTrustプレミアム・ブランド|中国の経済再開で動き出す、中国の消費パワー タグ
日付
2023/02/03
タイトル iTrustブランド|2023年の展望、中国の経済再開で需要の本格回復に期待 タグ
日付
2023/01/20
タイトル iTrustブランド|中国の経済再開による恩恵を享受 タグ
日付
2022/04/01
タイトル iTrustブランド|幾多の危機を乗り越えてきたプレミアム・ブランド タグ
日付
2021/08/24
タイトル ここ最近の当ファンドの基準価額動向について タグ
日付
2021/06/28
タイトル 高い成長期待と「質」の高さに対するプレミアム タグ
日付
2021/06/17
タイトル 相対的に高い利益成長力が、株価を下支え タグ
日付
2021/05/11
タイトル 鮮明となりつつある、プレミアム・ブランドの「リベンジ消費」拡大の動き タグ
日付
2021/03/31
タイトル 個人消費回復と消費の二極化トレンドが追い風に タグ
日付
2021/03/04
タイトル 「リベンジ消費」拡大で恩恵を受けるプレミアム・ブランド タグ
日付
2021/02/18
タイトル 不透明感が残る市場環境下、「強力に利益を生み出せる力」が注目される可能性も タグ
日付
2021/02/16
タイトル 復活の兆しが見え始めた、プレミアム・ブランド株式 タグ
日付
2020/11/04
タイトル プレミアム・ブランド株式を取り巻く「今」:向かい風の中明るい兆しも タグ
日付
2020/08/19
タイトル 引き続き人々の「羨望の的」となるような強力なブランド力に注目 タグ
もっと見る