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- ピクテ・ゴールド|高インフレ下の利上げ局面入りで、金価格はどうなる
米国は40年ぶりの高インフレの下で利上げ局面に突入しました。過去、高インフレ下での利上げ局面では、金は世界株式を上回るパフォーマンスを示したことを踏まえると、金を含めた分散投資をより積極的に考える局面に入ったのではないでしょうか。
2022年3月に米国で利上げ開始、インフレ率は約40年ぶりの水準に
2022年3月16日に米連邦公開市場委員会(FOMC)が政策金利であるフェデラル・ファンド(FF)金利の誘導目標を0.25%引き上げ、0~0.25%から0.25%~0.5%としました。また同時に示されたFOMC参加者の経済見通しにおいて、1回の利上げ幅を0.25%と仮定した場合、2022年に7回、2023年に3.5回の利上げが実施されるとの見通しが示されました。
利上げの背景のひとつとして、足元、米国のインフレ率が高水準で推移していることが挙げられます。2月の米国の消費者物価指数は前年同月比+7.9%となり、第2次オイルショックの影響を受けた1982年1月以来の上昇率となりました。また今後の物価動向についても、米中対立の時代となることによる非効率性の高まりやグリーンフレーション注1などが物価上昇要因となり、インフレ率が高水準で推移する可能性も考えられます。注1:脱炭素の流れが原油・ガス関連の新規投資を抑制し、供給制約がエネルギーの価格の高騰を招くことで物価上昇につながることを意味します
前述のように、現在は高インフレの中で米国の利上げが実施されている状況にあります。1971年以降、今回と同じ高インフレ下の利上げ局面注2は4回(第1次オイルショック、第2次オイルショック、リーマン・ショック前、コロナ・ショック前)ありましたが、いずれも利上げ局面(図表1の緑色の網掛け部分)で金の価格は上昇しています。注2:米国消費者物価指数(前年同月比)が一時的に米国政策金利を上回ったことのある利上げ局面
図表1:金と世界株式、米国政策金利、米国消費者物価指数(前年同月比)の推移
月次、金および世界株式は米ドルベース、期間:1971年1月~2022年2月
※緑色の網かけは「利上げ局面」、灰色の網かけは「利上げ終了から利下げ終了までの局面」
※金:金スポット価格(米ドルベース)、世界株式:MSCI世界株価指数(米ドルベース(配当込、ネット))
出所:ブルームバーグのデータを使用しピクテ投信投資顧問作成
過去、高インフレ下での利上げ局面で金は世界株式を上回って上昇
1971年以降、4回あった高インフレの中で米国の利上げ局面における、金と世界株式の騰落率を比較すると、利上げ局面(利上げ開始から利上げ終了)において、金が世界株式を上回って上昇しています(図表2参照)。
特に物価が高騰していた第1次オイルショック、第2次オイルショックにおける利上げ局面で、金は200%超の大幅上昇となっています。
一方、インフレ水準が相対的に低かったITバブルの時の利上げ局面では、金の騰落率は世界株式を下回る水準にとどまりました。
図表2:利上げ局面の金価格と世界株式の騰落率(高インフレ下)
月次、米ドルベース
※第1次オイルショック:1972年3月~1976年1月、第2次オイルショック:1976年12月~1982年12月、リーマン・ショック前:2004年6月~2008年12月、コロナ・ショック前:2015年12月~2020年3月、ITバブル:1999年6月~2003年6月
※金:金スポット価格(米ドルベース)、世界株式:MSCI世界株価指数(米ドルベース(配当込、ネット))
出所:ブルームバーグのデータを使用しピクテ投信投資顧問作成
また利上げ開始から利下げ終了までの1サイクルについても、利上げ局面同様に金は上昇し、世界株式に対して優勢となりました(図表3参照)。
図表3:利上げ開始から利下げ終了までの局面の金価格と世界株式の騰落率(高インフレ下)
月次、米ドルベース
※第1次オイルショック:1972年3月~1976年1月、第2次オイルショック:1976年12月~1982年12月、リーマン・ショック前:2004年6月~2008年12月、コロナ・ショック前:2015年12月~2020年3月、ITバブル:1999年6月~2003年6月
※金:金スポット価格(米ドルベース)、世界株式:MSCI世界株価指数(米ドルベース(配当込、ネット))
出所:ブルームバーグのデータを使用しピクテ投信投資顧問作成
高インフレ下で利上げ局面入りした今、ポートフォリオへの金の組入れを検討する時代に
FOMCにより米国では2022年、2023年と計10.5回の利上げ(1回の利上げ幅を0.25%と仮定)が行われるとの見通しが示されています。その一方でインフレ率が高水準で推移する可能性があります。
また、金は株式や債券などの主要資産と異なる値動きをする傾向があり、他の資産と組み合わせて持つことで、分散効果により資産全体の運用効率を高めることにつながる可能性があります。
過去の高インフレ下の利上げ局面で世界株式を上回って推移してきた資産である金を使った分散投資をより積極的に考える局面に入っているのではないでしょうか。
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