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改めて注目したい株式と金の組合せ効果
2023/08/29

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概要

・「金」の価格は株式や債券などの主要資産と異なる値動きをする傾向
・分散効果が期待できる米国株式と金の組合せ


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米国株式と金を併せ持つ意味

「金」の価格は株式や債券などの主要資産と異なる値動きをする傾向があります。そのため、他の資産と組合せて持つことで、分散効果や資産全体の運用効率を高めることが期待されます。


一例として日本の投資家にも人気の高い米国株式と金を組合せて投資した場合の効果を見てみましょう。米国株式と金を同額(50%ずつ)保有した場合の過去20年間のパフォーマンスのシミュレーションの結果が図表1と図表2で、図表1は米国株式(円換算)と金(為替ヘッジをしたもの、以下、円ヘッジ)、図表2は米国株式(円換算)と金(為替ヘッジをしていないもの、以下、円換算)を組合せたものです。

米国株式と金を組合せて投資比率をそれぞれ50%に毎月リバランス注1することで、米国株式や金を単体で保有しているよりも、値動きを相対的に抑えつつ、ヘッジあり・なしどちらのケースも当該期間では年率9%超のリターンを上げるシミュレーション結果となりました。

なお、シミュレーションでは取引時の売買コストや保有コスト等の費用および換金時の税金を考慮していません。実際には途中のリバランス時にも毎回、売買コストや税金がかかり、パフォーマンスの低下要因となります。

注1:図表1、図表2および図表3、図表4では、米国株式と金に投資し、各資産の毎月のパフォーマンスをふまえて相対的に値上がりしている方を一部売却し、相対的に値下がりしている方を買い増すことで投資比率をそれぞれ50%にすることを指します。

米国株式と金の組合せ比率を変化させた場合のリスク・リターン

米国株式と金の組合せ比率を10%ずつ変化させた場合のリスク・リターンの変化(図表3)をみると、米国株式に対し金の保有比率を上げていくと(米国株式50%、金50%あたりまで)、リスクが低下する一方、米国株式(円換算)と金(円換算)の組合せではリターンが上昇していることがわかります。また、米国株式(円換算)と金(円ヘッジ)の組合せでは、リターンが米国株式と比較して低下しているものの、リスクがより大きく低下したため、リスクあたりのリターンが高まりました。

つまり、このことは米国株式に対し、金を10%、20%程度組入れるだけでも、分散投資とリバランスの効果があることを示しています。


過去20年間の金と米国株式の相関係数は、金(円ヘッジ)と米国株式(円換算)が-0.16(逆相関)、金(円換算)と米国株式(円換算)が0.16(低相関)でした注2。資産間の相関が逆相関の場合はそれぞれの資産が逆の動きをする傾向があること、相関が低い(ゼロに近い)場合は価格の動きに関連性が小さいことを意味します。

そのため、米国株式と金は、分散投資とリバランスの効果が期待できる可能性のある組合せと言えます。

注2:相関係数は月次リターンを用いて算出(算出期間:2003年4月末~2023年4月末)

金50%+米国株式50%を積立て、リバランスを行った場合

それでは、米国株式と金を積立て、リバランスを行った場合を見てみましょう。

毎月10万円を米国株式に全額投資した場合と、米国株式に5万円(50%)、金(円ヘッジ/円換算)に 5万円(50%)投資し、月次で投資比率のリバランスを行った場合の20年間の積立シミュレーションが図表4-1です。米国株式と金の同額積立は、分散投資とリバランスを行っていることもあり、20年間のパフォーマンスが良好であった米国株式への全額投資の場合の積立評価金額を下回っています。

一方、米国株式への全額投資は、価格変動が相対的に大きいこともあり、評価金額が積立金額を下回る期間がありましたが、米国株式と金の同額積立では、概ね評価金額が積立金額(灰色部分)を上回って推移していることがわかります(図表4-2)。



この背景としては、金を組合せていたことで、リーマン・ショック時(2008年)のような金融市場の混乱時に米国株式の単体投資よりも下落率が抑えられたことがあげられます。



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