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- 金投資における為替との向き合い方を考える
・金への投資には為替ヘッジを活用するという選択肢もある
・金投資における為替ヘッジの活用は、米ドル建て資産との分散投資効果を高める
金への投資には為替ヘッジを活用するという選択肢もある
為替市場では、7月中旬以降、円が米ドルなどの主要通貨に対して上昇し、円高・外貨安となりました。金に投資を行う際には、為替ヘッジを行わない場合、金価格の変動に加えて、米国株式などへの投資と同様に米ドル・円の為替相場の影響を受けます(詳細は「ご参考①」)。そのため、円換算後の「金価格(円換算)」は7月中旬以降の円高・米ドル安の進行により下落しました。一方で、為替ヘッジを行った「金価格(円ヘッジ)」は円高・米ドル安によるマイナスの影響が抑制されたことで、相対的に底堅く推移しました(図表1参照)。
金投資における為替ヘッジの活用は、米ドル建て資産との分散投資効果を高める
近年、為替ヘッジを活用した場合の投資リターンは、日米金利差の拡大に伴う為替ヘッジコスト負担の増加や(詳細は「ご参考②」)円安・米ドル高局面での為替差益の獲得機会の逸失により、為替ヘッジを行わない場合と比較して劣後しましたが、足元の円高・米ドル安の場面では、為替ヘッジを活用した場合の優位性が示されました。
また、金投資における為替ヘッジの活用には、上述の為替変動リスクの抑制に加えて、米ドル建て資産との組合わせにおいて分散投資効果を高める効果が期待されるというメリットもあります。図表2および図表3に示した、金価格(円換算)および金価格(円ヘッジ)と、米国株式(円換算)との組合わせの例では、図表3の金価格(円ヘッジ)と米国株式(円換算)との相関係数注1が相対的に小さく、金価格(円ヘッジ)は米国株式(円換算)とは異なる値動きをする傾向が強いことを示していることから、計算期間においては為替ヘッジを活用することで分散投資効果が高まったことがわかります。
注1 相関係数は2種類のデータの関係を示す指標(当資料では指数間の値動きの違い)を示す指標で、-1から1までの数字で表されます。1に近ければ近いほど、同じ動きをする傾向があり、逆に-1に近ければ近いほど、逆の動きをする傾向があります。また、相関係数が0である場合には、値動きに関連性がないことを示します。
足元の為替市場には、日本銀行による追加利上げや米連邦準備制度理事会(FRB)による利下げ転換に対する観測など、日米の金融政策に関する市場参加者の思惑が影響していると考えられます。両国ともに慎重な金融政策の運営が予想されることから、短期的な日米金利差の変化は限定的であると見込まれることに加え、為替市場は2国間の金利差以外にも多様な要因が複雑に作用し変動することから、目先の米ドル・円の見通しには不透明感が残ります。しかし、これまで米ドル・円の為替市場に大きな影響を与えてきた両国の金融政策が転換点を迎えている今、金投資における為替ヘッジの活用について、改めて考える機会になっていると考えられます。
※ピクテ・ゴールドは「為替ヘッジあり」と「為替ヘッジなし」の2ファンドからお選びいただけます。
ご参考① 日本円で金投資を行う場合の金価格算出のイメージ
金価格は1トロイオンス(約31.1グラム)あたりの米ドル建てで表されます。そのため、金に投資を行う際には米ドル建ての金の価格変動リスクに加えて米ドル・円の為替変動リスクにも留意する必要があります。
ご参考② 為替ヘッジとは
ヘッジとはリスクを回避するために行う行動で、為替ヘッジは外貨建て資産に投資する際の為替の変動による影響を抑えるために行う手段となります注2。また、為替ヘッジを行うに際には為替ヘッジ「コスト」の支払い、もしくは為替ヘッジ「プレミアム」の受け取りが生じます(図表4参照)。
注2 為替ヘッジは為替変動の影響を完全に排除できるものではなく、為替ヘッジ後の金価格は為替変動の影響を受ける場合があります。
注3 実際の運用にあたっては運用管理費用(信託報酬)やその他費用、手数料等がかかります。
注4 円の短期金利が米ドルの短期金利よりも低い場合。円の短期金利が高い場合は為替ヘッジプレミアムが加わります。
為替ヘッジを行う際には、通常、為替予約が用いられます。為替予約は、取引相手との間であらかじめ将来のある時点における交換レートを取り決めるものですが、その際の通貨間の短期金利差が為替ヘッジコストの主な決定要素となります注5。例えば、米ドル・円の変動リスクをヘッジする際、足元の環境のように円の短期金利が米ドルの短期金利よりも低い場合には取引相手に対して金利差分を負担する形になるため、為替ヘッジ「コスト」が生じます。一方、円の短期金利が米ドルの短期金利よりも高い場合には、取引相手から金利差分を受け取る形になるため、為替ヘッジ「プレミアム」となります。
足元では、2022年3月以降の日米の政策金利差の拡大に伴う短期金利差の拡大により、米ドル・円の為替ヘッジを行うには為替ヘッジコストがかかる状況にあります(図表5参照) 。
注5 通貨間の短期金利差のほか、需給要因も影響します。ベーシススワップと呼ばれる通貨を調達する際に必要となる上乗せ金利がこれに相当し、各通貨の需給に応じて変動します。
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