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- トランプ新政権で重要性が高まる金投資
・トランプ新政権では財政悪化やインフレリスク、地政学リスクが金価格の上昇要因に
・不透明な市場環境下では、金が持つ資金の逃避先としての役割が需要の増加につながる
トランプ新政権では財政悪化や地政学的な不確実性が金価格の上昇要因に
2024年11月6日(日本時間)に米国大統領選挙の開票が実施され、共和党のトランプ候補が勝利しました。金価格は、トランプ候補の優勢が伝えられる中で米国国債の利回りや米ドルが大きく上昇した影響に加え、米国株式などのリスク資産に資金が流入したことなどを受けて下落しました注1(図表1参照)。今後の金価格については、短期的には米国の金利や米ドルの動向の影響を受けて変動が大きくなることが想定されます。
一方で、中長期的には、トランプ氏が主張する大幅な減税や関税の引き上げ、移民対策の強化や拡張的な財政政策の推進などに起因するインフレ圧力の高まりがインフレヘッジ手段としての金の需要を増加させる要因となり、金価格に対してプラスになると考えられます。また、強硬かつ保護主義的な姿勢が想定される共和党政権下の外交政策は、地政学的な不確実性を高める要因になると懸念され、資源価格や企業のサプライチェーンへの影響、世界情勢の不安定化などを通じて株式や債券などの資産価格に悪影響を及ぼす可能性があることから、資金の逃避先として金への需要が継続する要因になると考えられます。
注1:金は利息を生まない資産であるため、金利上昇局面では投資対象としての相対的な魅力が低下することで価格が下落する傾向にあります。また、金は米ドルの代替資産と見なされることから、米ドルが主要通貨に対して上昇する局面では価格が下落する傾向にあります。
政府債務の増加は希少性の高い金に対する需要を高める要因に
トランプ氏は、2017年に成立した法人税率や個人所得税率の軽減を含む通称「トランプ減税」の恒久化や、法人税率の更なる引き下げ、軍事費の増額や社会保障給付金への課税廃止などの拡張的な財政政策の推進を掲げており、財政赤字の拡大と政府債務の増加が懸念されます。一般的に、政府債務の増加は通貨供給量の拡大を伴うことから、通貨価値の低下要因になるほか、通貨に対する信認の低下に繋がる可能性があります。このような場合においては、実物資産としてそのもの自体に価値を持ち、より希少性の高い金に対する需要が高まると考えられます。
不透明な市場環境で高まる金投資の重要性
トランプ氏は、輸入品に対する関税の引き上げを公約に掲げており、特に中国製品に対しては60%の追加関税を課す方針など、強硬な対中姿勢を示しています。追加関税によって輸入品の価格が上昇することで、米国では再び物価が上昇し、個人消費の減速などを通じて米国経済にも悪影響を及ぼす可能性があります。また、中国なども米国に対して報復措置を打ち出す可能性があり、貿易摩擦問題が再燃することで世界経済全体にも悪影響を及ぼすことが懸念されます。さらに、トランプ氏は北大西洋条約機構(NATO)への関与を弱めることや、ウクライナ支援から撤退する可能性を示唆しており、欧州での安全保障上の懸念が強まるなど、地政学リスクの高まりなども金融市場の変動を高める要因となることが予想されます。
このように、インフレ懸念の高まりに加えて市場環境の見通しが不透明となる中では、資産を保全するための分散投資における有効な手段として、金を保有する重要性が高まることが予想されます。金は国籍を持たず、株式や債券などと異なり発行体の信用リスクがないという特徴を持つことから、金融市場が混乱する局面では資金の逃避先としての役割を果たしてきました。このような危機下における価値の安定性に対する期待や、米ドル以外への通貨分散の手段としての評価が金に対する需要の増加につながり、中長期的に金価格を下支えする要因になると考えられます。
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