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- 過去最高値を更新した円建ての金価格
・金への投資は為替変動リスクを伴う
・米ドル高・円安が円建ての金価格の最高値更新に寄与
・米国金利の低下は金価格の上昇に寄与する可能性
過去最高値を更新した円建ての金価格
円建ての金価格は2023年8月に過去最高値を付けました(図表1参照)。
金価格は1トロイオンス(約31.1グラム)あたりの米ドル建てで表されますが、日本の貴金属商(〇〇貴金属など)では、この金価格を米ドル建ての日本円とグラムに換算して発表しており、「日本国内での金の小売価格が過去最高値を更新した」といった報道などでも取り上げられています(図表2参照)。
米ドル高・円安が円建ての金価格の最高値更新に寄与
米ドル建ての金価格は2023年5月上旬に過去最高値に迫る1トロイオンスあたり2,044米ドルを付けましたが、それ以降は米連邦準備制度理事会(FRB)が今後も追加利上げを実施するとの観測などを背景に米国金利が上昇したことなどから下落し、8月下旬にかけては上値の重い展開となりました。実物資産である金は金利を生まない資産であるため、金利が上昇すると金の相対的な魅力が低下し、金価格は下落する一方、金利が低下すると金価格は上昇する傾向にあります。図表3は金価格と米国の実質金利注の推移です。これを見ると、すべての期間に該当するとは言えませんが、実質金利の上昇局面では金価格が下落し、実質金利の低下局面では金価格が上昇する傾向が見て取れます。
円建ての金価格はこのような環境下で過去最高値を更新しましたが、これには前ページの図表2に示した計算式のうちの為替レート(米ドル・円)が米ドル高・円安になったことが影響しています。米ドル高・円安の進行の主な要因には、日本では低金利政策が維持されている一方、米国で追加利上げ実施され、日米金利差が拡大するとの観測など考えられます。
注:実質金利は名目金利(一般的に表示されている金利)から期待インフレ率を差し引いて算出される金利で、物価の影響を考慮した実質的な金利のことです。当資料では米国実質金利の算出において、金融政策に対する感応度や政策金利の上昇局面における金価格の変化に対する説明力が高いと判断し、2年物国債利回りを用いています。
米国金利の低下は金価格の上昇に寄与する可能性
今後も、FRBの金融政策の動向に対する市場参加者の見通しが金利の動向を通じて金価格に大きな影響を与えると想定されます。利上げの打ち止めなど金融政策方針の転換が明確に示され、実質金利が低下した場合には、金価格の上昇要因となる可能性があります。
ただし、金に投資を行う際には米ドル建ての金の価格変動に加えて米ドル・円の為替レートの変動にも留意する必要があります。米国金利の低下は円高要因となる可能性があるため、その場合、円ベースの金価格にはやや不透明感があると言えます。
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