- Article Title
- 米国の利上げサイクル終了後の金価格
・米国の利上げサイクルは最終的な段階にあるとみられる
・金価格は2000年以降は米国の利上げサイクル終了後の期間において上昇する傾向
・米国金利と米ドル上昇への警戒感が後退することで、金の相対的な魅力が高まる可能性も
米国の利上げサイクルは最終的な段階にあるとみられる
米国では、インフレの高進を受けて米連邦準備制度理事会(FRB)が継続的な利上げを実施してきましたが、足元では消費者物価指数や賃金の伸びなどのインフレに関連する指標にピークアウトの兆しがみられています(図表1参照)。また、2023年3月に生じた米国の地銀の破綻をきっかけとする金融不安に代表されるように、金利上昇による実体経済への影響が顕在化するには通常、時間差を伴います。そのため、FRBの金融政策は今後、これまでの利上げの累積的な効果を見極める期間に移行することが予想されます。
実物資産である金は金利を生まず、米ドルの代替資産とみなされる傾向がある資産ですが、米国で利上げサイクルが最終的な段階を迎え、米国金利(債券利回り)と米ドルの上昇に対する警戒感が後退することで、金の相対的な魅力が高まる可能性があると考えられます。本レポートでは、過去の利上げ終了後の金価格の推移を振り返ります。
金価格は2000年以降は米国の利上げサイクル終了後の期間において上昇
過去約30年間にFRBが利上げを終了した時点は5回ありました。この5回の利上げ終了時点を起点に利下げ終了時点までの期間(図表2の期間①~⑤、灰色の網掛けの期間)注をみると、2000年以降の期間(③~⑤)では金価格は上昇し、世界株式と比較しても優位なリターンとなりました(図表3)。米国で利上げが終わりを迎え、米国金利(債券利回り)と米ドルの一段の上昇期待が落ち着くことにより、金の相対的な魅力が高まったことが金価格の上昇につながったと考えられます。一方、2000年以前の期間(①、②)では金は世界株式と比較して劣後しました。1970年代からこの期間までにおいては、利下げの実施後でも米国金利が相対的に高い水準に止まったことなどから、米国の利上げサイクル終了は金利を生まない金の投資対象としての魅力向上にはつながりませんでした。
米国の政策金利見通しについては、インフレ動向や景気動向などによって大きく変化する可能性もありますが、利上げサイクルの最終的な局面にあるとみられる足元においては、金利を生まず、米ドルの代替資産とみなされる傾向がある金の相対的な魅力が高まる可能性があると考えます。ただし、米国金利の低下は円高要因となる可能性があり、円ベースの金価格にはやや不透明感があると言えます。
当資料をご利用にあたっての注意事項等
●当資料はピクテ・ジャパン株式会社が作成した販売用資料であり、金融商品取引法に基づく開示書類ではありません。取得の申込みにあたっては、販売会社よりお渡しする最新の投資信託説明書(交付目論見書)等の内容を必ずご確認の上、ご自身でご判断ください。
●投資信託は、値動きのある有価証券等(外貨建資産に投資する場合は、為替変動リスクもあります)に投資いたしますので、基準価額は変動します。したがって、投資者の皆さまの投資元本が保証されているものではなく、基準価額の下落により、損失を被り、投資元本を割り込むことがあります。
●運用による損益は、すべて投資者の皆さまに帰属します。
●当資料に記載された過去の実績は、将来の運用成果等を示唆あるいは保証するものではありません。
●当資料は信頼できると考えられる情報に基づき作成されていますが、その正確性、完全性、使用目的への適合性を保証するものではありません。
●当資料中に示された情報等は、作成日現在のものであり、事前の連絡なしに変更されることがあります。
●投資信託は預金等ではなく元本および利回りの保証はありません。
●投資信託は、預金や保険契約と異なり、預金保険機構・保険契約者保護機構の保護の対象ではありません。
●登録金融機関でご購入いただいた投資信託は、投資者保護基金の対象とはなりません。
●当資料に掲載されているいかなる情報も、法務、会計、税務、経営、投資その他に係る助言を構成するものではありません。
MSCI指数は、MSCIが開発した指数です。同指数に対する著作権、知的所有権その他一切の権利はMSCIに帰属します。またMSCIは、同指数の内容を変更する権利および公表を停止する権利を有しています。