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- 2025年の金価格を支える主な要因
・2025年の金価格には米国の金融政策と経済政策などが追い風となる可能性
2025年の金価格には米国の金融政策や経済政策などが追い風となる可能性
2024年の金価格は、米国など主要国での利下げの実施や地政学的な緊張の高まり、新興国を中心として中央銀行が金を購入する動きが継続したことなどを背景に上昇し、2024年10月に過去最高値を付けました。年末にかけては米国の金利上昇などが重石となりましたが、年間では米ドルベースで25%を超える上昇率となり、新型コロナウイルスの世界的な感染拡大により世界経済の先行き不透明感が高まった2020年以来の高い上昇率となりました。
2025年には、米国や欧州などで景気抑制的な水準にある政策金利を引き下げる動きが継続することが予想されます。金価格は金利低下時に上昇する傾向があるため、緩やかなペースながらも利下げの継続が予想されることは、金価格にとって追い風になると期待されます。また、米国でトランプ新政権が発足することから、関税や減税、規制緩和などに重点を置いた経済政策に伴う米国の政府債務の拡大やインフレの再燃に対するヘッジ手段として、金への注目が高まると考えられます。金の主要な需要主体である中央銀行の金購入については、金価格の上昇に伴い、購入量が歴史的な水準となった過去数年を下回る可能性があるものの、世界経済の見通しが不透明となる中で外貨準備として金を購入する動きが継続し、引き続き金価格を支える要因になると予想されます。
ただし、中央銀行の金融政策に関する見通しが変化した場合などには、短期的に金価格が下落する可能性があります。金は利息を生まないほか、株式等と同様に価格変動の大きい資産であることには留意が必要です。一方で、金の値動きは主要な資産とは異なる傾向があることから、金と他の資産とを組合わせることで分散投資効果が期待されるという特徴があります。そのため、長期視点で運用する分散投資ポートフォリオに金を組入れることで、見通しが不透明な環境においても安定的な資産形成を目指すための一助になると期待されます。
2025年の金の注目材料①:主要国の利下げ
米国などの金利が低下する局面では、利息が付かない資産である金の投資対象としての相対的な魅力が高まると考えられます。2000年以降の米国の政策金利と金価格(米ドルベース)の推移をみると、米国で利下げが実施された(政策金利が低下した)局面において、金価格は上昇する傾向にありました。米国の連邦準備制度理事会(FRB)や欧州中央銀行(ECB)などの主要な中央銀行は、インフレ圧力の緩和や景気見通しの悪化などを背景として2024年に利下げを開始しましたが、2025年も緩やかなペースで利下げを継続すると予想され、金価格を支える要因になることが期待されます。
2025年の金の注目材料②:トランプ新政権の経済政策とインフレ
米国のトランプ新政権の経済政策が世界経済に与えうる影響についても、金価格の変動要因になることが予想されます。公約通りに基礎的関税の導入(関税の引き上げ)が実施された場合、輸入品の価格が上昇することで、米国でインフレが再燃する可能性があるほか、個人消費の減速などを通じて米国経済にも悪影響を及ぼす可能性があります。また、中国なども米国に対して報復措置を打ち出す可能性があり、貿易摩擦問題が再燃することで世界経済全体にも悪影響を及ぼすことが懸念されます。さらに、強硬かつ保護主義的な姿勢が想定される共和党政権下の外交政策は、地政学的な不確実性を高める要因になると懸念され、資源価格や企業のサプライチェーンへの影響、世界情勢の不安定化などを通じて株式や債券などの資産価格に悪影響を及ぼす可能性があることから、資金の逃避先として金の需要が継続する要因になると考えられます。
2024年11月の米国大統領選挙以降の金融市場で見られたように、インフレ対策のためFRBが利上げに転じるとの観測が強まり、米国金利が上昇した場合など、金価格が下落する局面があることも想定されますが、金は希少性などからインフレに対するヘッジ手段として選好されてきたと考えられることから、中長期的には金への需要が高まるものと考えられます。
2025年の金の注目材料③:トランプ新政権の経済政策と米国財政の悪化
トランプ新政権においては、2017年に成立した法人税率や個人所得税率の軽減を含む通称「トランプ減税」の恒久化や、法人税率の更なる引き下げ、軍事費の増額や社会保障給付金への課税廃止などの拡張的な財政政策の推進が予想され、財政赤字の拡大と政府債務の増加が懸念されます。一般的に、政府債務の増加は通貨供給量の拡大を伴うことから、通貨価値の低下要因になるほか、通貨に対する信認の低下に繋がる可能性があります。このような場合においては、実物資産としてそのもの自体に価値を持ち、より希少性の高い金に対する需要が高まると考えられます。
2025年の金の注目材料④:中央銀行による金購入
インフレや世界経済の見通しが不透明となる中、2022年以降、急速に拡大してきた中央銀行の金購入が2025年も継続する可能性があります。金価格の上昇に伴い、購入量は過去数年を下回る可能性があるものの、中央銀行による金購入は世界経済の見通しが不透明となる中で継続し、引き続き金価格を支える要因になると考えられます。世界の主要な中央銀行を対象とした調査では、金を保有する理由として、長期にわたる資産価値の保存(インフレヘッジ)に加えて、危機下における価値の安定性に対する期待や通貨分散の手段として評価する傾向が強いことが示されています。
分散効果が期待される金の値動きの特性
これまで見てきた通り、2025年の金価格には多くの支援材料があると考えられますが、米トランプ政権による経済政策やその影響などについては不透明感が強く、中央銀行の金融政策に関する見通しの変化などを通じて一段と米国金利や米ドルが上昇した場合などには、短期的に金価格が下落する可能性があります。また、金は利息を生まないほか、株式等と同様に価格変動の大きい資産であることには留意が必要です。
一方、金の値動きは主要な資産とは異なる傾向があることから、金と他の資産とを組合わせることで分散投資効果が期待されるという特徴があります。例として、米国株式と金を50%ずつ組合わせて毎月リバランスしたと仮定した場合の過去20年間のパフォーマンスのシミュレーションでは、米国株式や金を単体で保有しているよりも値動きが相対的に抑制されたという結果となりました注1。このことから、長期視点で運用する分散投資ポートフォリオに金を組入れることで、見通しが不透明な環境においても安定的な資産形成を目指すための一助になると期待されます。
注1:シミュレーションでは取引時の売買コストや保有コスト等の費用および換金時の税金を考慮していません。実際には途中のリバランス時に毎回、売買コストや税金がかかり、パフォーマンスの低下要因となります。
金投資と為替ヘッジについて
金は米ドル建てで価格が表される外貨建て資産です。そのため、金に投資を行う際には米ドル建ての金の価格変動リスクに加えて米ドル・円の為替変動リスクにも留意する必要があります。米国では緩やかなペースで利下げが継続されると見込まれている一方、日本では経済や物価の状況を慎重に判断したうえで追加利上げを実施することが予想されることから、日米金利差の縮小などに伴い円高・米ドル安が進行する可能性があります注2。そのような環境下において、為替変動によるリターンへの影響を抑制した資産運用や、運用ポートフォリオにおける通貨分散を図りたい場合などには為替ヘッジの活用注3が有効な手段になると考えられます。
※ピクテ・ゴールドは「為替ヘッジあり」と「為替ヘッジなし」の2ファンドからお選びいただけます。
注2:米ドル・円の為替相場は日米金利差以外にも多様な要因が複雑に作用し変動するため、日米金利差の縮小が必ずしも円高・米ドル安につながるとは限りません。
注3:為替ヘッジを行うに際には為替ヘッジコストの支払い、もしくは為替ヘッジプレミアムの受け取りが生じます。また、為替ヘッジは為替変動の影響を完全に排除できるものではなく、為替ヘッジ後の金価格は為替変動の影響を受ける場合があります。
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