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- 金需要を後押しする中央銀行の積極的な金購入
・2023年7-9月期も中央銀行による旺盛な金需要が継続
・今後も新興国を中心に中央銀行の金需要は底堅い推移が予想される
2023年7-9月期も中央銀行による旺盛な金需要が継続
金価格の変動要因は景気やインフレ、金利動向など多岐にわたりますが、商品(コモディティ)としての側面からは需要と供給が価格に影響し、需要超過であれば価格の上昇要因、供給過剰であれば下落要因となるといえます。なお、金に対する需要は宝飾品とテクノロジー(電子部品などの工業用品)、投資および中央銀行に代表される公的部門注1(以下、中央銀行)に大きく分けられます(図表1参照)。
ワールド・ゴールド・カウンシル(WGC)が発表した四半期ごとの需要レポートでは、2023年7-9月期の金の総需要の内訳において、中央銀行による金購入は約337トンと、四半期の購入量としては記録的な高水準であった2022年7-9月期の水準は下回りましたが、2010年から2022年までの7-9月期の平均を上回り(図表2参照)、中央銀行による旺盛な金需要が継続していることが示されました。
新興国を中心に中央銀行の金需要は底堅い推移が予想される
中央銀行による金需要は2022年以降、インフレ圧力やロシアのウクライナ侵攻による地政学的な不確実性の高まりなどを背景に新興国を中心に大きく増加しました。2023年7-9月期の中央銀行の金需要は2022年の同期間の水準を下回りましたが、年初からの累積では記録的な高水準となった2022年年間の水準に迫りつつあります(図表3参照)。世界の主要な中央銀行を対象とした調査注3では、金を保有する理由として、長期にわたる資産価値の保全に加えて、危機下における価値の安定性に対する期待や通貨分散の手段として評価する傾向が強いことが示されています。また、米ドルを基軸通貨とした国際通貨システムの変化を受けて、米ドルへの依存度を下げたいという一部の新興国の思惑なども金需要の増加につながっていると考えられます。米中の対立など地政学的な不確実性が高まる中で、外貨準備を多様化させる動きなどが構造的な要因となり、中央銀行の金需要は今後も底堅く推移する可能性があると考えられます。
注3: WGCによる2023年の年次中央銀行調査
一方で、中央銀行以外の金需要の項目を見ると、 2023年7-9月期の金地金・金貨やETFなどの投資需要は、世界的な金利上昇に伴い、利息を生む金融商品の相対的な魅力が高まったことなどを背景として前年同期比で低下しました。また、宝飾品の需要を見ると、金価格の上昇に伴う宝飾品価格の上昇の影響などから中国で減少した一方、インドでは期中の祝祭などに伴い需要が増加したため、世界全体としてはほぼ横ばいとなりました。
このように、足元の金需要を総合的に見ると、金融・経済の環境変化によって項目ごとに強弱が入り混じる状況となっています。今後については、底堅いインフレ圧力などを背景に世界的に高水準の金利環境が継続する可能性がある中で、総合的な金需要の動向は力強さに欠く可能性があります。
ただし、中長期的には、欧米などで利上げサイクルが最終的な局面を迎えていると見られることから、金利環境が変化する可能性があると考えられます。また、景気見通しや地政学的な不確実性などを背景とする中央銀行の積極的な金購入が金需要を後押しすることで、金価格を下支えする要因になると見込まれます。
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