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- 金の分散投資効果を味方に
・金を組入れることで、運用資産全体の値動きを安定させる効果が期待される
・金は世代を超えて資産を継承する手段の一つとして認知されてきた
■ 金の組入れで期待される「値動きを安定させる効果」
「金」の価格は株式や債券などの主要資産と異なる値動きをする傾向があるため、金を他の資産と組合わせて持つことで、資産全体(ポートフォリオ)の値動きを安定させる効果(分散投資効果)が期待されます。図表1に示した赤色の線グラフは、米国株式と金に50%ずつ投資(等金額を購入、何れの資産も円ベース)して、1年間の運用を行った場合のパフォーマンスをシミュレーションしたものです。その結果、米国株式のみで運用した場合(緑色)よりも値動きの大きさ(価格変動リスク)が相対的に抑制され、リターンが向上したシミュレーション結果となりました。
■ 金の分散投資効果を味方に、不透明な局面でも投資を継続する
世界経済の不確実性の高まりを受けて、金融市場の見通しにも不透明感が強まっていますが、長期で資産運用を行う場合、時折、大きな変動を経験することは不可避であるといえます。長期的な市場の成長トレンドを捉えるためには「市場の変動に耐え、投資を継続することが重要である」とは言われるものの、金融市場が大きく下落した場合などに冷静さを保つことは非常に困難です。
そうした中、高い分散投資効果が期待される金をポートフォリオに組入れることで、値動きの安定を図ることは有効な手段であると考えられます。以降では、「長期投資の伴走者」としての役割を果たすことが期待される金の分散投資効果について解説します。
■ 金を組入れる比率とリスク・リターンの変化
図表2では、米国株式に金を組合わせる比率に応じて、ポートフォリオ全体の値動きが抑制される度合いが変化することを示しています。
曲線上の点は、円ベースの米国株式(以下、米国株式)と金(円ヘッジ)注1を組合わせて投資した場合の過去20年間のパフォーマンスのシミュレーションで、組合わせの比率を10%ずつ変化させた場合のリスク・リターンの変化を見たものです。なお、シミュレーションでは組合わせの比率を一定に保つため毎月リバランス注2を実施したと仮定して計算しています。
図表2の縦軸はリターン、横軸は価格変動リスクを表しており、曲線上で最もリスクとリターンが高いのは、最も右上に位置する「米国株式100%」です。この「米国株式100%」を起点として、「米国株式50%+金(円ヘッジ)50%」あたりまで金(円ヘッジ)の保有比率を上げるにつれて、曲線上を左方向に移動し、価格変動リスクが低下したことが示されています。また、リターンは横ばいから小幅な下落にとどまり、運用効率(リスクあたりのリターン)が向上しました。
過去20年間の米国株式と金(円ヘッジ)の相関係数は、-0.15と逆相関でした注3。これは、それぞれの資産が逆の値動きをする傾向があったことを意味し、米国株式に対して金を10%~20%程度組入れるだけでも、値動きを安定させる効果があったことを示しています。
注1:図表2、図表3、図表4では、為替ヘッジを行うことで投資成果に対する米ドル・円の変動による影響を抑えたものを「(円ヘッジ)」、為替ヘッジを行わず投資成果が米ドル・円の変動の影響を受けるものを「(円ベース)」と表記します。また、特段の記載がない限り、「米国株式」は為替ヘッジを行わない「(円ベース)」です。
注2:米国株式と金に投資し、各資産の毎月のパフォーマンスをふまえて相対的に値上がりしている方を一部売却し、相対的に値下がりしている方を買い増すことで投資比率を一定にすることを指します。
注3:相関係数は月次リターンを用いて算出(算出期間:2005年2月末~2025年2月末)
■ 米国株式に金を組合わせることで運用効率が高まる
図表3は、金(円ヘッジ)に加えて、金(円ベース)と世界国債(円ヘッジ)を米国株式に組合わせて、リバランスにより各資産の投資比率を毎月一定とした場合のリスク・リターンの変化について見たものです。
オレンジ色で示した金(円ベース)を米国株式と組合わせた場合のリスク・リターンの変化をみると、金(円ベース)の保有比率を上げるにつれて(60%あたりまで)価格変動リスクが低下しました。さらに、リターンが僅かながら上昇し、運用効率が向上したことが示されました。
淡い水色で示した米国株式と世界国債(円ヘッジ)を組合わせた場合でも、価格変動リスクが大きく低下しており、分散投資効果が期待される資産の組合わせとして世界国債(円ヘッジ)が有効であることが示されています。一方で、世界国債(円ヘッジ)の保有比率を高めるにつれて、リターンの水準も大きく低下していることから、米国株式との組合わせにおいてリターンの水準を保ちながらリスクの抑制を図る場合、金の活用が相対的に優位であると言えます。
■ 金融市場の混乱時に強みを見せる金
図表4は、金融市場の混乱時における主要資産の値動きの違いを示したものです。2000年以降の期間においては、2008年のリーマン・ショックや2020年のコロナショックの発生直後など、金価格が大きく下落する場面がありました。株式市場などの急落を受けて、損失の制限や利益の確定などを目的として資産売却を行う投資家の動きなどが金価格にも影響を与えたと考えられます。しかし、その後の金価格は相対的に底堅く推移し、早期に下落前の水準に値を戻す傾向が見られました。
■ 金は世代を超えて資産を継承する手段の一つとして認知されてきた
金は、実物資産としての希少性が高いことから、インフレ時のヘッジ手段と見なされてきました。また、金は国籍を持たず、株式や債券などと異なり発行体の信用リスクがないという特徴を持つことから、金融市場が混乱する局面では資金の逃避先としての役割も果たしてきたと考えられ、金は世代を超えて資産を継承する手段の一つとして認知されてきたといえます。
足元では、米国の強硬な追加関税政策と、その他の国による関税の報復合戦に象徴される世界的な保護主義の連鎖や分断などにより、世界経済の不確実性の高まりが懸念され、金融市場の変動が大きくなる可能性があります。そのような環境下では、心理的なストレスから逃れるため資産を売却したいという気持ちが強くなり、長期投資を断念してしまうことも考えられます。金融市場の下落時に資産を売却し、その後、上昇に転じるタイミングで買い戻すことができれば、理論上はリターンを獲得できますが、短期的な金融市場の動きを予測することは、経験豊富な投資のプロでも難しいものです。
やはり、「投資を継続する」「タイミングを計るのではなく、時間に投資する」という考えが投資で成功する秘訣であるといえるでしょう。ポートフォリオのリスクを低減することで資産の保全を図りながら、運用効率を向上させることが期待される金を、長期投資の伴走者として選ぶことを検討してみてはいかがでしょうか。
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