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- 中央銀行の積極的な金購入が継続
・2022年に続き、2023年も中央銀行による旺盛な金需要が継続
・今後も新興国を中心に中央銀行の金需要は底堅い推移が予想される
中央銀行による旺盛な金需要は2023年も継続
金価格の変動要因は景気やインフレ、金利動向など多岐にわたります。商品(コモディティ)としての側面からは需要と供給が価格に影響し、需要超過であれば価格の上昇要因、供給過剰であれば下落要因となるといえます。なお、金に対する需要は宝飾品とテクノロジー(電子部品などの工業用品)、投資および中央銀行に代表される公的部門注1(以下、中央銀行)に大きく分けられます(図表1参照)。
ワールド・ゴールド・カウンシル(WGC)が発表した2023年の金の需要レポートでは、金の総需要の内訳において、中央銀行による金購入は年間で約1,037トンでした。記録的な高水準であった2022年に続き、2年連続の1,000トン越えとなる高い水準を維持し、中央銀行による旺盛な金需要が継続していることが示されました。
新興国を中心に中央銀行の金需要は底堅い推移が予想される
中央銀行による金需要は2022年以降、インフレ圧力やロシアのウクライナ侵攻による地政学的な不確実性の高まりなどを背景に、中国やポーランドなどの新興国を中心に大きく増加しました。世界の主要な中央銀行を対象とした調査注3では、金を保有する理由として、長期にわたる資産価値の保全に加えて、危機下における価値の安定性に対する期待や通貨分散の手段として評価する傾向が強いことが示されています。また、米ドルを基軸通貨とした国際通貨システムの変化を受けて、米ドルへの依存度を下げたいという一部の新興国の思惑なども金需要の増加につながっていると考えられます。年間で1,000トンを超えるような記録的な水準の金需要が続く可能性については不確実ではあるものの、外貨準備を多様化させる動きなどが構造的な要因となり、中央銀行の金需要は今後も底堅く推移する可能性があると考えられます。
注3 WGCによる2023年の年次中央銀行調査
中央銀行以外の金需要の項目を見ると、 2023年の金地金・金貨やETFなどの投資需要は前年比で低下しました(図表3参照)。世界的な金利上昇に伴い、利息を生まない金の相対的な魅力が低下したことが主な要因として考えられ、特に金ETF等を経由した資金の流出が大きく影響しました。一方で、2023年3月に米地銀の破綻を発端として金融不安が広まった局面においては金ETF等を経由した資金流入が継続しました(図表4参照)。金は実物資産としてそのもの自体に価値を持ち、株式や債券のように発行体の信用リスクがないことから、金融市場の見通しが悪化した局面で資金の逃避先としての需要の高さが示されたと考えられます。また、今後については米国などで利下げが開始されると予想されることなどから、金への投資需要に対する支援材料になると期待されます。
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