8月の投資環境

8月の世界株式市場は、MSCI世界株価指数（現地通貨ベース）で下落しました。

世界の株式市場は、上旬は欧米のインフレや積極的な利上げの動きなどが懸念材料となったものの、底堅い企業業績の発表などを背景に上昇基調となりました。その後、7月の米国消費者物価指数(CPI)の伸びが市場予想を下回り米国の積極的な利上げ観測が後退するなか、株式市場は更に上昇しました。しかし月後半にかけては、欧米の長期金利上昇やドイツ経済への懸念が高まったことに加え、米連邦準備制度理事会（FRB）のパウエル議長が経済シンポジウム「ジャクソンホール会議」で積極的な利上げ姿勢を改めて示唆したことなどを背景に株式市場は下落し、月間でも下落しました。業種別では、エネルギーが大きく上昇しました。また公益事業や素材も上昇しました。一方、ヘルスケアや不動産、情報技術などは下落率が大きくなりました。

水関連企業（現地通貨ベース）の株価は、株式市場が下落するなか、わずかながら市場以上の下落率となりました。装置製造エンジニアリングセクターはモニタリング関連銘柄および消費者関連銘柄の下落が目立ちました。モニタリング関連銘柄は全般的に、引き続き強固な検査機器需要からの恩恵を受け業績が堅調にも関わらず下落しました。

環境マネジメント・サービスセクターは、コンサルティング銘柄および廃棄物処理銘柄が全般的に上昇しました。廃棄物処理業界では最近、今後数年間で埋立施設から大量のガスを生産する見込みのある100件ものプロジェクトが打ち出されました。これは、フリー・キャッシュフローの増加につながるだけでなく、温室効果ガス排出量の削減にも貢献します。

上下水道ビジネスセクターは、ヴェオリア・エンバイロメントや英国の規制下の水道公益事業銘柄を中心に下落しました。ヴェオリア・エンバイロメントは、廃棄物処理事業において、欧州のエネルギー市場の逼迫を背景とした業績悪化が懸念され下落しました。一方、サンパウロ州基礎衛生公社など新興国コンセッションや、米国の規制下の水道公益事業関連は足元のマクロ環境下で比較的、魅力的であると見られ、株価の下支えとなりました。

今後の見通し

見通しについては、地政学リスクやインフレの高まりにより不透明感が増しています。世界各国の購買担当者景気指数（PMI）や企業の景況感にどのように影響を与えるのか不透明感が残ります。価格上昇圧力が持続するかどうかや、米国の連邦準備制度理事会（FRB）や欧州中央銀行（ECB）による金融緩和策縮小や利上げのタイミングや程度、また、それがどのように株式のバリュエーションに影響を及ぼすか等、見極める必要があると考えます。

水関連インフラへの投資は必要不可欠であり、中長期的に見ると、世界的に事業展開を行う水関連銘柄のファンダメンタルズは堅調であると考えます。温暖化の影響から世界的な気候変動によって引き起こされる干ばつや洪水の問題なども、水関連インフラへの投資を呼び起こしています。中長期的に水関連銘柄は引き続き魅力的な投資対象であると考えます。