■ 1月の投資環境

1月の世界株式市場は、MSCI世界株価指数（現地通貨ベース）で上昇しました。

世界の株式市場は、上旬は、米国の経済指標が景気や労働市場の底堅さを示唆したことを受けて米国の追加利下げ観測が後退したことから下落しました。月半ば以降は、12月の米消費者物価指数（CPI）で物価上昇圧力が緩和されつつあるとの見方が強まったことや、トランプ米大統領が就任初日は関税発動を見送ったことなどを受けて株式市場は反発しました。下旬には、中国の新興企業が開発した低コストで高性能な人工知能（AI）の公表を受けてハイテク銘柄を中心に株式市場は下落幅が大きくなる場面もありましたが、その後は落ち着きを取り戻し、月間では上昇となりました。

業種別では、コミュニケーション・サービス、金融、ヘルスケアなどが大きく上昇しました。一方、情報技術は下落しました。  　　　

水関連企業（現地通貨ベース）の株価は、全体として上昇しました。3つのセクターはいずれも堅調となりました。装置製造・エンジニアリングセクターが最も堅調となった一方、上下水道サービスセクター、環境マネジメント・サービスセクターの上昇は相対的に小幅なものとなりました。

上下水道サービスセクターは、すでに発表されている完全民営化により今後株主価値が大幅に向上するという期待などが継続し堅調に推移した、サンパウロ州基礎衛生公社がけん引しました。

環境マネジメント・サービスセクターでは、廃棄物処理銘柄が堅調で、ウエイスト・マネジメントは2024年度第4四半期の業績が、強力な価格決定力を背景に売上高が市場予想を上回ったことなどから上昇しました。一方、コンサルティングの銘柄は軟調で、テトラ・テックは、トランプ新政権が政府支出の削減を行う方針を表明していることから、同社の売上の約3割を占める政府向け事業への影響が懸念されたことなどから、下落しました。 

装置製造・エンジニアリングセクターでは、サーモフィッシャーサイエンティフィックなどがけん引しました。1月末に発表された2024年度第4四半期決算を受けて、先行きの業績の勢いが上向きに転じていることが確認されたことなどから上昇しました。経営陣は、同社の今後の力強い収益成長を見込んでいます。コア＆メインは、価格設定が相対的に堅調なこと、魅力的なバリュエーション水準などが好感され、上昇しました。  　

■ 今後の見通し

米国ではマクロ経済指標が、経済成長が潜在成長率を下回っていることを示し、インフレ圧力の緩和が見込まれ、利下げ期待が高まっています。こうした中で景気のV字回復は楽観的すぎるとしてもソフトランディングへの期待は残っています。世界の多くの地域で消費者は慎重で、裁量的な支出を控えています。一方で、グローバルで製造業PMIは依然として軟調ですが、米国、欧州、中国では2023年の低い水準から継続的な改善を示しています。2025年の米国の住宅建設の見通しは、高金利を背景に抑えられたものになると予想していますが、長期的には供給不足を反映して需要が回復していくでしょう。 

水関連の企業については、米国の財政プログラムに基づく受注が増加し始めており、これが米国に拠点を置く地方自治体のインフラ関連企業や、多角経営産業、コンサルティング企業の収益を支えると予想しています。また、廃棄物処理と上下水道関連の企業は、料金の上昇とコスト低下による利益率の改善による恩恵を見込んでいます。過去数四半期にわたり装置製造・エンジニアリングの企業の利益を圧迫してきた流通在庫削減の動きが特にモニタリング分野で進み、過剰在庫調整は今後、終了していくことが見込まれます。

水関連インフラへの投資は必要不可欠であり、中長期的に見ると、世界的に事業展開を行う水関連銘柄のファンダメンタルズは堅調であると考えます。温暖化の影響から世界的な気候変動によって引き起こされる干ばつや洪水の問題なども、水関連インフラへの投資を呼び起こしています。中長期的に水関連銘柄は引き続き魅力的な投資対象であると考えます。