10月の投資環境

10月の世界株式市場は、MSCI世界株価指数（現地通貨ベース）で上昇しました。

世界の株式市場は、月初、9月の米ISM製造業景況指数が市場予想を下回り米国の金融引き締めのペースが緩和されるとの見方などから上昇しましたが、その後は米国の労働市場の底堅さを示す経済指標の発表などを受けて再び積極的な利上げ観測が強まり下落基調となりました。月半ば以降は、主要中央銀行による積極的な金融引き締めへの警戒は継続したものの、堅調な企業決算の発表や英国のトラス首相の辞任を受けて財政政策への懸念が後退したこと、欧米の長期金利が低下傾向を示したことなどが好感され、世界の株式市場は月末にかけて上昇基調となり、月間では大幅な上昇となりました。業種別では、すべての業種が上昇しました。特に、エネルギーや資本財・サービス、金融、ヘルスケアなどが大きく上昇しました。一方、一般消費財・サービス、コミュニケーション・サービス、公益事業、不動産などは相対的に小幅な上昇となりました。

水関連企業（現地通貨ベース）の株価は、株式市場が上昇する中、株式市場の上昇率を下回る上昇となりました。

全セクターが上昇しましたが、装置製造エンジニアリングセクターは、多角経営企業や地方自治体のインフラ関連企業にけん引され最も上昇しました。ザイレムは、デジタル化の進展による受注残の売上への転化に自信を示しており、株価は夏場から好調を維持しています。

上下水道ビジネスセクターについては、株価が市場で売られ過ぎていたため買戻しの動きから大きく上昇しました。また、サンパウロ州基礎衛生公社は、ブラジル大統領選挙の第一回投票の結果を受け民営化の進展期待が高まったことを背景に大きく上昇しました。環境マネジメント・サービスセクターは、比較的小幅な上昇となりました。コンサルティング関連企業は受注の勢いが続くとみられ、第3四半期の決算発表を控え堅調に推移しました。

今後の見通し

見通しについては、地政学リスクやインフレの高まりにより不透明感が増しています。世界各国の購買担当者景気指数（PMI）や企業の景況感にどのように影響を与えるのか不透明感が残ります。価格上昇圧力が持続するかどうかや、米国の連邦準備制度理事会（FRB）や欧州中央銀行（ECB）による金融緩和策縮小や利上げのタイミングや程度、また、それがどのように株式のバリュエーションに影響を及ぼすか等、見極める必要があると考えます。

水関連インフラへの投資は必要不可欠であり、中長期的に見ると、世界的に事業展開を行う水関連銘柄のファンダメンタルズは堅調であると考えます。温暖化の影響から世界的な気候変動によって引き起こされる干ばつや洪水の問題なども、水関連インフラへの投資を呼び起こしています。中長期的に水関連銘柄は引き続き魅力的な投資対象であると考えます。