■ 11月の投資環境

11月の世界株式市場は、MSCI世界株価指数（現地通貨ベース）で上昇しました。世界の株式市場は、月初より米連邦準備制度理事会（FRB）や英中央銀行（イングランド銀行、BOE）が政策金利の据え置きを発表し、利上げ終了観測が高まったことなどを背景に上昇しました。中旬にかけても米国や欧州でインフレの鈍化傾向が鮮明となったことや欧米企業の良好な四半期決算の発表などが好感され株式市場は引き続き上昇基調を維持しました。その後、月末にかけては、欧米の金融当局者による金融政策を巡る発言やインフレ、景気動向などの材料を織り込みながら株式市場は高値圏で推移し、月を通せば大幅な上昇となりました。

業種別では、エネルギーを除くすべての業種が上昇しました。特に、情報技術、不動産、一般消費財・サービスなどの上昇率が大きくなりました。一方、生活必需品、ヘルスケア、公益事業などは相対的に小幅な上昇にとどまりました。

水関連企業（現地通貨ベース）の株価は、株式市場を上回る上昇となりました。3つすべてのセクターが上昇しました。なかでも装置製造・エンジニアリングセクターが最も大きな上昇となりました。フォーチュン・ブランド・イノベーションズは、米国景気のソフトランディングへの見込みが高まるなか、個人消費関連銘柄が注目されていることで特に堅調な展開となりました。ザイレムは四半期業績が予想を上回ったことから株価の回復傾向が継続しました。新経営陣への投資家の信頼が高まっていることも背景にあるようです。アジレント・テクノロジーの株価も反転上昇が続きました。四半期業績の発表のなかでライフサイエンス向け製品の在庫が適正水準となり、最悪期は脱したことが示されたことが背景です。環境マネジメント・サービスセクターも好調でした。上下水道サービス・セクターも総じて堅調な展開となりました。ヴェオリア・エンバイロメントは水道事業及び廃棄物処理事業において堅調な価格動向が示され良好な業績となりました。議会でさらなる民営化に向けた議論が行われているサンパウロ州基礎衛生公社も上昇しました。

 

 

■ 今後の見通し

見通しについては、地政学リスクやインフレの高まりによりグローバル景気の先行きに不透明感があります。世界各国の購買担当者景気指数（PMI）は景況感の分かれ目とされる50を越えられず、労働コストやエネルギー・コストの上昇による最近のインフレ懸念は、短期的には金利引き下げを遅らせる可能性があります。水関連企業についてみると、米国の財政支出の増加が受注増加に反映され始めており、米国を拠点とする多くの上下水道インフラ関連企業や多角経営企業の収益を下支えすると予想しています。  　　　　
水関連インフラへの投資は必要不可欠であり、中長期的に見ると、世界的に事業展開を行う水関連銘柄のファンダメンタルズは堅調であると考えます。温暖化の影響から世界的な気候変動によって引き起こされる干ばつや洪水の問題なども、水関連インフラへの投資を呼び起こしています。中長期的に水関連銘柄は引き続き魅力的な投資対象であると考えます。