■ 4月の投資環境

4月の世界株式市場は、MSCI世界株価指数（現地通貨ベース）で上昇しました。世界の株式市場は、上旬は、3月の米供給管理協会（ISM）非製造業景況指数が市場予想を下回ったことなどを受けて下落する場面もありましたが、欧米の金融不安の後退や、2月のドイツ鉱工業生産指数や3月の米雇用統計などの経済指標の改善がプラス要因となり上昇しました。中旬以降も、3月の米消費者物価指数（CPI）や米卸売物価指数（PPI）の伸びが鈍化したことを背景に米国の利上げサイクルが終わりに近づいているとの見方が強まり、上昇基調を維持しました。月末にかけては、米地銀の健全性に対する懸念が再燃し一時下落しましたが、主要企業の良好な決算が好感され反発し、月を通しても上昇となりました。業種別では、コミュニケーション・サービス、生活必需品、ヘルスケアなどが相対的に大きく上昇しました。一方、素材が下落し、情報技術、資本財・サービスなどは相対的に低調となりました。

水関連企業（現地通貨ベース）の株価は、株式市場が上昇するなか、相対的に小幅な上昇となりました。装置製造エンジニアリングセクターは、主に、株価が好調に推移した消費関連企業や地方自治体のインフラ関連企業にけん引され上昇しました。また、建築資材関連のファーガソンやコア＆メインが好調でした。予想を上回る3月の住宅関連指標を受け住宅市場の底打ちの可能性が示されたため、先行きに関するセンチメントが若干改善したことがプラス要因となりました。コア＆メインは、プライベート・エクイティ投資家の売出した株式の大部分を買い戻したため、同社の良好な業績見通しと今後のキャッシュフロー創出を示唆するものとなりました。ペンテアも、月末に発表した決算が予想を上回る結果となり好調となりました。環境マネジメント・サービスセクターも、廃棄物処理銘柄の株価が引き続き回復したことなどから上昇しました。また、上下水道ビジネスセクターも、主に英国の規制下の水道公益事業銘柄や欧州のコンセッション銘柄にけん引され、上昇しました。ヴェオリア・エンバイロメントは、インフレや料金の値上げが廃棄物量の低下の影響を相殺する可能性があるとみられ、また、投資家が引き続き買収したスエズとのシナジー効果の実現に確信を持っていることなどから、上昇基調を維持しました。

■ 今後の見通し

見通しについては、地政学リスクやインフレの高まりにより不透明感があり、世界各国の購買担当者景気指数（PMI）や企業の景況感がどのように影響を受けるかにも不透明感が残ります。物価上昇圧力が持続するかどうかや、米国の連邦準備制度理事会（FRB）や欧州中央銀行（ECB）による利上げのタイミングや程度、また、それがどのように株式のバリュエーションに影響を及ぼすか等、見極める必要があると考えます。

水関連インフラへの投資は必要不可欠であり、中長期的に見ると、世界的に事業展開を行う水関連銘柄のファンダメンタルズは堅調であると考えます。温暖化の影響から世界的な気候変動によって引き起こされる干ばつや洪水の問題なども、水関連インフラへの投資を呼び起こしています。中長期的に水関連銘柄は引き続き魅力的な投資対象であると考えます。