■ 1月の投資環境

1月の世界株式市場は、MSCI世界株価指数（現地通貨ベース）で上昇しました。

世界の株式市場は、月初、米国で労働市場の堅調さを示す経済指標の発表などを受けて早期利下げ観測が後退したことなどから下落する場面もありましたが、その後はインフレ期待の低下などを受けて米国長期金利が低下し、反発しました。月後半は、半導体関連をはじめとする良好な欧米企業の決算発表が続いたことや、欧州中央銀行（ECB）が4月に利下げを開始するとの見方が強まったことなどが好感され、世界の株式市場は上昇基調となりました。またデフレ脱却期待の高まりによる日本株式の上昇も世界の株式市場の上昇に寄与しました。

業種別では、コミュニケーション・サービス、情報技術、ヘルスケアなどが相対的に大きく上昇した一方、不動産、素材、公益事業などが下落しました。

水関連企業（現地通貨ベース）の株価は、株式市場を上回る上昇となりました。3つすべてのセクターが上昇しました。なかでも環境マネジメント・サービスセクターが最も上昇しました。一部の認められた不動産について、減価償却の対象を拡大する法案が米下院で可決し、主に廃棄物処理の銘柄についてフリー・キャッシュ・フローの見通しが改善するものと期待され、株価上昇要因になりました。WSPグローバルは、政府の予算により、受注など業績への見通しが改善したことで株価が上昇しました。上下水道サービスセクターでは、ヴェオリア・エンバイロンメントが成長見通しについて強気な見解を示したことや、サンパウロ州基礎衛生公社が、さらなる民営化への期待が高まったことなどから株価が上昇しました。装置製造・エンジニアリングセクターでは、ペンテアがプール事業で需要の底入れなど前向きな四半期業績を発表し株価が上昇しました。一方、アドバンスト・ドレナージ・システムズが先月の株価上昇の反動で軟調な展開となったほか、ギーベリッツは、2024年の欧州の建設市場が軟化するとの見通しから株価が下落しました。

 

■ 今後の見通し

見通しについては、地政学的緊張の高まりやインフレ率が中央銀行の目標を上回っているにもかかわらず、マクロ経済見通しは徐々に改善しています。世界の景況感指数は依然として景気判断の基準となる50を下回っていますが、米国では新規受注に若干の明るい兆しが見えています。インフレも徐々に落ち着く方向に向かっており、いずれ政策金利が引き下げらることになるだろうとみています。水関連では、米国の財政政策の成果が関連企業の受注に反映され始めており、米国を拠点とする多くの地方自治体インフラ、多角化産業、コンサルティング関連企業の業績を下支えすると予想されます。また、廃棄物処理や上下水道サービスの企業については、これまでの値上げの効果と投入コストの軟化に伴う利益率改善の恩恵を受けると予想しています。

水関連インフラへの投資は必要不可欠であり、中長期的に見ると、世界的に事業展開を行う水関連銘柄のファンダメンタルズは堅調であると考えます。温暖化の影響から世界的な気候変動によって引き起こされる干ばつや洪水の問題なども、水関連インフラへの投資を呼び起こしています。中長期的に水関連銘柄は引き続き魅力的な投資対象であると考えます。