■ 9月の投資環境

9月の世界株式市場は、MSCI世界株価指数（現地通貨ベース）で下落しました。月前半は原油高や好調な経済を背景に米国の長期金利が上昇したことや、欧州や中国の経済成長が鈍化するとの懸念などがマイナス要因となった一方、欧州中央銀行（ECB）が利上げ打ち止めを示唆したことなどがプラス要因となり横ばいでの推移となりました。しかし月半ば以降は、需要が低迷するとの懸念から半導体関連銘柄が大きく下落したことに加え、米国や欧州などの主要中央銀行が政策金利を当面、高水準で維持するとの見方が強まったことなどを背景に世界の株式市場は下落基調となり、月間でも下落となりました。

業種別では、エネルギーを除くすべての業種が下落しました。特に不動産、情報技術、公益事業などの下落率が大きくなりました。一方、金融、コミュニケーション・サービス、ヘルスケアなどは相対的に小幅な下落にとどまりました。

水関連企業（現地通貨ベース）の株価は、株式市場全体と同様に下落しました。
装置製造・エンジニアリングセクターでは、主に地方自治体のインフラ関連の機器を提供しているハルマが大きく下落しました。上半期の事業報告で同社のライフサイエンス向け製品の在庫調整が続き、また中国での需要鈍化が進んでいることが示されたことが背景です。ライフサイエンス関連分野の弱さは当セクターのモニタリング関連の銘柄にも影響を与えました。一方、米国の水回り用品卸売会社ファーガソンは、厳しいマクロ経済環境にもかかわらず、四半期決算において、予想を上回る力強い業績を発表しました。また同社は、米国の様々な財政プログラムにより、対応可能な水インフラ関連投資の規模が300億米ドルに達する可能性があるとして、非常に明るい中期的な見通しを示しました。
環境マネジメント・サービスセクターは、株式市場全体が下落する中で、同セクターの景気動向の影響を受けにくいディフェンシブな事業特性から比較的堅調な展開の銘柄が多くなりました。GFLエンバイロンメンタルは、既存の負債をより低い金利で借り換えることができました。上下水道サービス・セクターは総じて軟調な展開となりました。

■ 今後の見通し

見通しについては、地政学リスクやインフレの高まりによりグローバル景気の先行きに不透明感があります。世界各国の購買担当者景気指数（PMI）はマイナス圏から抜け出せず、労働コストやエネルギー・コストの上昇による最近のインフレ懸念は、短期的な金利引き下げを遅らせる可能性があります。水関連企業についてみると、米国の財政支出の増加が受注増加に反映され始めており、米国を拠点とする多くの上下水道インフラ関連企業や多角経営企業の収益を下支えすると予想しています。
水関連インフラへの投資は必要不可欠であり、中長期的に見ると、世界的に事業展開を行う水関連銘柄のファンダメンタルズは堅調であると考えます。温暖化の影響から世界的な気候変動によって引き起こされる干ばつや洪水の問題なども、水関連インフラへの投資を呼び起こしています。中長期的に水関連銘柄は引き続き魅力的な投資対象であると考えます。