■ 7月の投資環境

7月の世界株式市場は、MSCI世界株価指数（現地通貨ベース）で上昇しました。世界の株式市場は、月初、米国のADP雇用統計などの経済指標が市場予想を上回ったことなどを受けて米国金利が上昇したことや、中国のサービス業購買担当者景気指数（PMI）の低下などを受けて下落しました。しかしその後は、米消費者物価指数（CPI）の上昇率が前月から低下するなど米国の物価上昇圧力が鈍化したことや、英国の物価上昇の鈍化、良好な企業決算の発表などを受けて株式市場は上昇基調となりました。月末にかけてもユーロ圏の利上げ打ち止め期待や米国経済の底堅さなどが評価されたことから株式市場は上昇し、月間でも上昇となりました。業種別では、すべての業種が上昇する中、コミュニケーション・サービス、金融、エネルギー、素材などが相対的に大きく上昇した一方、ヘルスケア、不動産、公益事業などは相対的に小幅な上昇にとどまりました。

水関連企業（現地通貨ベース）の株価は上昇しましたが、株式市場の上昇を下回る上昇率となりました。装置製造・エンジニアリングセクターは、バイオテクノロジー業界におけるコロナ禍収束後の需要鈍化の谷を通過しつつあるとの期待から四半期決算を前に上昇したダナハーやサーモフィッシャーサイエンティフィックなどモニタリング関連企業がけん引し、最も上昇しました。短期的な見通しは依然不透明ですが、水質改善への世界的な取り組みにおいて重要なソリューションを提供するこれらの高収益優良企業が注目されています。また、特段のニュースもなく株価が回復したギーベリッツや、予想を大幅に上回る四半期決算を発表したペンテアも、同セクターの上昇に貢献しました。

上下水道ビジネスセクターは、水インフラ企業の事業モデルの強さを示し、四半期配当を7％増加させたエッセンシャル・ユーティリティーズなどが上昇しました。環境マネジメント・サービスセクターは、ウエイスト・マネジメントが下落しました。同社は天然ガスとリサイクル原料の価格が予想を下回ったため、前四半期の業績が悪化し、通期見通しを修正しました。しかし、回収量と価格動向は引き続き好調で、廃棄物処理企業にとって良好な状況が継続しています。

■ 今後の見通し

見通しについては、地政学リスクやインフレの高まりにより不透明感があり、世界各国の購買担当者景気指数（PMI）や企業の景況感がどのように推移するのかについても不透明感が残ります。物価上昇圧力が持続するかどうかや、米連邦準備制度理事会（FRB）や欧州中央銀行（ECB）による利上げのタイミングや程度、また、それがどのように株式のバリュエーションに影響を及ぼすか等、見極める必要があると考えます。

水関連インフラへの投資は必要不可欠であり、中長期的に見ると、世界的に事業展開を行う水関連銘柄のファンダメンタルズは堅調であると考えます。温暖化の影響から世界的な気候変動によって引き起こされる干ばつや洪水の問題なども、水関連インフラへの投資を呼び起こしています。中長期的に水関連銘柄は引き続き魅力的な投資対象であると考えます。