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- プレミアム・ブランド企業を取り巻く事業環境は引き続き良好
昨年後半以降、大きく上昇してきたプレミアム・ブランド企業の株価ですが、足元では中国の政治・経済動向を受けて、低調な動きとなっています。ただし、過去に中国情勢を巡る懸念から株価が低調となった局面では、プレミアム・ブランド企業の業績に大きな影響はありませんでした。加えて、足元の世界的な景気回復基調の中で、プレミアム・ブランド商品やサービスに対する需要回復・拡大が見込まれる状況には変わりがないと考えます。
足元の当ファンドのパフォーマンス状況|中国情勢などがマイナスの影響に
コロナ・ショック後の景気回復期待の恩恵を大いに受けるとの期待や、実際に力強い業績回復を示していることなどを背景に、プレミアム・ブランド企業の株価は昨年(2020年)後半から今年(2021年)前半にかけて大きく上昇しました。こうしたことから、当ファンドのパフォーマンス(分配金再投資後基準価額)は、先進国株式を上回り、さらに、高い成長が期待される先進国IT株式との比較でも、相対的に高いリターンを実現しました。しかし、2021年後半に入り、当ファンドのパフォーマンスは一転、相対的に低調なパフォーマンスとなっています。きっかけの1つには、ここ最近の中国の政治・経済動向があります。プレミアム・ブランド需要を大きくけん引する中国の消費者の消費動向にマイナスの影響があるとの懸念が高まり、プレミアム・ブランド企業の株価は下落しました。
特に大きく株価にマイナスの影響が及んだのは、ラグジュアリー・ブランド企業の株価
2021年8月、中国当局は「共同富裕」を政策目的に掲げ、高所得層に対する規制強化の方針を発表しました。これを受けて、富裕層への課税強化やその他の締め付けが導入されるとの懸念が高まりました。さらに、同年9月に入り、中国の不動産開発大手企業の債務危機を受けて、世界的な株安局面を経験しました。中国当局は不動産投機を抑制するため融資規制などを強化してきており、こうした規制強化が経営悪化の一因となったと考えられますが、不動産業界は中国経済の成長をけん引してきただけに、中国経済の先行きについても不透明感が増しています。こうした中国の政治・経済情勢に対する不安の高まりは、プレミアム・ブランド企業の株価にマイナスの影響を与えました。特に、「ルイ・ヴィトン」や「フェンディ」などを傘下にもつLVMHモエ ヘネシー・ルイ ヴィトンや、「グッチ」や「ボッテガヴェネタ」などを傘下に持つケリングといったラグジュアリー・ブランド企業の株価が特に大きくマイナスの影響を受けました。
過去の同様な局面で株価は下落も、業績に大きな影響なし
過去にも同様な局面を経験しています。2012年後半に発足した習近平体制では、汚職撲滅運動や倹約令などが進められ、プレミアム・ブランド商品やサービス需要が減速するとの懸念が高まりました。さらに、2016年には高級品の関税を引き上げたことを受けて、中国の人々の海外でのプレミアム・ブランド商品の「爆買い」が失速する、といったことがありました。プレミアム・ブランド企業の株価は、こうした局面では低調なパフォーマンスを経験しましたが、一方、業績はそれほど大きくマイナスの影響を受けることはありませんでした。例えば、LVMHモエ ヘネシー・ルイ ヴィトンの地域別売上高動向をみると、2012年~2016年でも右肩上がりの成長を実現していました。
プレミアム・ブランド企業を取り巻く事業環境は、引き続き良好
中国の高所得層への規制強化の動きは、富の再分配により貧困をなくし中間所得層を拡大するなど、格差是正に向けたものです。こうした政策は、“超”富裕層にはマイナスの影響が出る可能性があるものの、中国におけるプレミアム・ブランド需要を大きくけん引している中間所得層に対する影響は限定的であるとみています。中長期的にみれば、中間所得層の購買力がさらに向上し、プレミアム・ブランド需要拡大の後押しとなる可能性もあると考えます。
さらに、足元では、新型コロナウイルスの変異株による感染再拡大などの懸念も残されていますが、ワクチン接種の拡大により、各種制限措置は緩和方向に進んでおり、世界経済は回復基調にあります。こうした中で、プレミアム・ブランド企業が提供する商品やサービスの需要拡大が期待される流れには変わりがありません。
前述のLVMHモエ ヘネシー・ルイ ヴィトンや、ケリングといったラグジュアリー・ブランド企業の業績動向をみると、コロナ・ショックからいち早く回復がみられました。特に、世界に先んじて経済活動が再開した中国や、それに続いた米国などで、いわゆる「リベンジ消費」の動きから大きく恩恵を受けています。
今後、期待されるのは、旅行・レジャー関連分野でしょう。経済・社会活動が正常化する中で、海外旅行の機会や、レストランやバーで会食を楽しむ機会も増えていくと考えられます。
ホテル運営大手のマリオット・インターナショナルの客室稼働率の状況をみると、新型コロナウイルスの世界的な感染拡大により、厳しい移動制限措置がとられていた2020年は低迷していました。2021年に入り、ワクチン接種が拡大する中で移動規制が緩和された米国国内などを中心に、緩やかながらも改善傾向がみられており、回復への道筋は鮮明となりつつあります。
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