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株価の下支えとなる4つのポイント
2024/05/28

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概要


●2024年年初来の当ファンドの基準価額は、株式・為替要因ともにプラスに寄与し、上昇
●足元の決算でも、プレミアム・ブランド商品・サービスに対する底堅い需要を確認
●今後は、魅力あるバリュエーション水準などを含む4つのポイントが、プレミアム・ブランド企業の株価を支えると期待



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2024年年初来の当ファンドのパフォーマンス

2024年年初来、足元(2024年5月23日)までの、当ファンドの分配金再投資後基準価額は+12%の上昇となりました。投資先であるプレミアム・ブランド企業の株価上昇による株式要因のプラス寄与に加えて、主要通貨に対して円安が進行したことによる為替要因のプラス寄与が大きく貢献しました。

一方、同期間における先進国株式(MSCI世界株価指数、円換算ベース)は、当ファンドのパフォーマンスを上回る上昇率(+22%)となりました。2024年年初以降の世界の株式市場は、世界経済の見通しや欧米をはじめとした主要国の金融政策動向を巡る懸念、中東情勢の緊迫化などの地政学リスクの高まりなどを受けて下落する局面もありましたが、期間を通してみると、引き続きAI(人工知能)への期待などを背景としたハイテク・ブームの流れを受けて、コミュニケーション・サービスや情報技術セクターの銘柄の株価上昇が相場をけん引しています。

当ファンドの投資対象であるプレミアム・ブランド企業は、「消費関連」銘柄です。そのため、株式市場におけるハイテク・ブームの流れと関連が薄く、このことが先進国株式の上昇率に比べて小幅にとどまった要因の1つであるとみられます。

プレミアム・ブランド需要は引き続き底堅い


2024年4月半ば以降、主に2024年1-3月期の決算の発表が続いています。これまでに発表されているプレミアム・ブランド企業の直近四半期決算からは、プレミアム・ブランド商品やサービスに対して引き続き底堅い需要があることが確認されています(後述の「(ご参考)主要プレミアム・ブランド企業の直近決算動向(主に2024年1-3月期)」もあわせてご参照ください)。

ただし、分野ごと、さらには銘柄ごとの強弱感はより鮮明になっていることなどから、今後の動向は注視しつつ、銘柄をしっかりと選別していくことが重要となっていると考えます。


今後の見通し|4つのポイントが、プレミアム・ブランド企業の株価を下支え

短期的にみると、世界経済の先行き不透明感や地政学リスクの高まりなど、プレミアム・ブランド企業の業績や株価動向にマイナスの影響を及ぼす懸念材料は依然として残っています。また、引き続きプレミアム・ブランド商品やサービスに対する底堅い需要は期待できるとみられますが、コロナ・ショック後の急回復局面に比べると成長率は低下しつつあり、悲観的な見方をする向きもあるかもしれません。


しかし、当ファンドの運用チームでは、①底堅いトラベル需要は今後も継続、➁アジアは引き続き重要な成長ドライバー、➂消費者心理は、世界的に回復に向かう可能性、④魅力あるバリュエーション(投資価値評価)水準、といった4つのポイントが、今後のプレミアム・ブランド企業の株価を下支えすると考えています。

魅力あるバリュエーション水準

4つ目のポイント、魅力的なバリュエーション(投資価値評価)水準について、より具体的にみていきます。

当ファンドが投資しているプレミアム・ブランド企業の株式(=当ファンドの組入銘柄)における足元(2024年4月末時点)の予想株価収益率(PER)は、22.4倍と、過去10年間の平均(期間:2014年4月末~2024年4月末、21.4倍)をやや上回る水準ではあるものの、コロナ前の水準(2019年12月末、25.3倍)を下回っています。足元の予想PERからみると、魅力あるバリュエーション水準であると考えています。 注:来年度1株当たり利益予想ベース、組入比率加重平均

一方で、先進国株式の予想PER(2024年4月末時点、来年度1株当たり利益予想ベース、16.3倍)に比べると割高ではないかと懸念する見方もあるかもしれません。プレミアム・ブランド企業の株式のバリュエーション水準は、これまでも長期にわたって先進国の市場平均に比べると相対的に高い水準で推移してきました。これは、プレミアム・ブランド企業の多くが、相対的に高い成長性や良好な企業のファンダメンタルズ(基礎的条件)を有しているための「プレミアム」であるとみています。

また、先進国株式の予想PERと比較した相対予想PERの推移をみると、足元ではプレミアム・ブランド企業の株式の相対的な割高感は後退していると考えられます。 

銘柄をしっかり選別した上で投資を行っていくことが重要な局面

プレミアム・ブランド企業は、他の企業が簡単に真似することができない商品・サービスを提供し、主な顧客は、富裕層やよりよいモノやサービスを熱望する消費者です。こうした点で、一般的な消費財・サービスとは一線を画していると考えられます。

プレミアム・ブランド商品やサービスを熱望する顧客は今後さらに増加していくと考えられます。経済成長を背景に、特にアジア新興国の消費者が購買力を向上させています。よりよいモノ、よりよいサービスに対する消費意欲が旺盛で、しかも十分な購買力を持つ消費者の数は増加していくことが予想されています。さらに、富裕層の顧客は、景気の良し悪しにかかわらず、長年にわたってプレミアム・ブランド企業の固定客として需要を下支えし続けています。

こうしたことから、今後も中長期的にプレミアム・ブランド企業が成長していくとの見方には変わりがありません。

ファンドの運用に際しては引き続き、消費者の「羨望の的」となるような強力で魅力的なブランド力を確立している企業の中から、足元のプレミアム・ブランド企業を取り巻く市場環境も考慮しながら、銘柄をしっかり選別した上で投資を行っていく方針です。

分野別組入比率の状況では、高級ブランドの銘柄群を中核としていることには変わりがありません。足元では、底堅いトラベル需要が続くことが期待されることなどから、トラベル関連の組入比率を相対的に高位とする一方、需要回復が遅れている高級酒などの食品・飲料のほか、化粧品、スポーツ関連などの組入比率は抑制気味にしています。また、同一分野の中でも銘柄間格差があるため、銘柄入れ替えもしっかりと行っていく方針です。


※将来の市場環境の変動等により、上記の内容が変更される場合があります。

(ご参考)主要プレミアム・ブランド企業の直近決算動向(主に2024年1-3月期)

高級ブランド|ハイエンド商品は引き続き堅調だが、銘柄間での格差が拡大

高級ブランド企業の中では、よりハイエンドの商品を提供し、富裕層の顧客が相対的に多いとみられるエルメス・インターナショナル(フランス)が引き続き売上好調であることを発表しました。

また、世界最大の高級ブランド企業であるLVMHモエ ヘネシー・ルイ ヴィトン(フランス)のほか、「カルティエ」や「ヴァンクリーフ&アーペル」などを傘下に有するフィナンシエール・リシュモン(スイス)、高級スポーツカーのフェラーリ(イタリア)なども、コロナ・ショック後から数年続いた急回復局面に比べると、増収率は低下していますが、マクロ経済環境の不透明感が高まる中でも、顧客からの根強い支持を受けて、底堅い決算内容となりました。

一方、ケリング(フランス)は、主力の「グッチ」が引き続き不振で、前年同期比で2ケタ減収となりました。「グッチ」については、昨年新たに「グッチ」のクリエイティブ・ディレクターに就任したサバト・デ・サルノの新コレクションが本格的に店頭に並ぶのは2024年第4四半期で、現在はいわば端境期という固有の問題があります。さらに、景気の先行き不透明感がある中で、消費者が高級ブランド商品の買い控えや選別の動きを強めていることも、「グッチ」にはマイナスの影響が大きくなっていると考えられます。「グッチ」はハイエンドの「エルメス」などに比べると、消費者からの「熱望」の度合いが低く、また、顧客層の裾野が広いためです。

高級ブランド企業の中でも、銘柄間の格差が拡大していることには注意が必要です。

トラベルおよびレジャー関連|引き続きトラベル・レジャー需要は堅調

トラベルおよびレジャー関連企業からは、一部地域で減速や回復の遅れなどがみられるものの、総じてみれば引き続きトラベル・レジャー需要は堅調であることが示されました。

主要なトラベルおよびレジャー関連企業は、今後の見通しについても、前回発表(発表時期は2024年1月~2月)の予想を据え置く企業が多く、底堅い需要が続くとの見通しには変更がない模様です。

また、2024年年初来の株価動向(現地通貨ベース、配当込み)をみると、特にヒルトン・ワールドワイド・ホールディングス(米国)は、AIブームにけん引されて好調な先進国株式と比較しても、遜色のないパフォーマンスとなっています(2024年5月23日時点)。

スポーツ関連|出遅れていた銘柄に回復の兆し

スポーツ関連のプレミアム・ブランド企業のうち、アディダス(ドイツ)とプーマ(ドイツ)は、業績改善の兆しを示す2024年1-3月期決算を発表しました。アディダスの展開する「サンバ」を筆頭としたテラスシューズ(欧州らしいクラシックな薄底スニーカー)は、競合のナイキ(米国)が展開するバスケットボールシューズのような厚底スニーカーから人気を奪っているとみられています。特に、Z世代にテラスシューズは人気があります。こうしたことは、消費者は新しいトレンドや革新的な商品を熱望している、ということの1つの事例であると考えられます。

※Z世代とは?:1990年代半ばから2010年代序盤に生まれた世代で、デジタルネイティブ、SNSネイティブとも呼ばれています。

化粧品関連|引き続き市場環境は厳しいものの、銘柄間格差も

化粧品関連のプレミアム・ブランド企業は、引き続き中国本土市場の回復の遅れやトラベル・リテール関連の低迷といった厳しい環境に直面しています。ただし、これらも緩やかながら回復基調にある模様です。こうした市場環境下、ロレアル(フランス)が発表した2024年1-3月期売上高は、事前予想を上回り、同社のブランド力やオペレーション力が優れていることを改めて示す形となりました。このため、株価も2024年1-3月期売上高の発表後、急反発しました。

 



●当資料はピクテ・ジャパン株式会社が作成した販売用資料であり、金融商品取引法に基づく開示書類ではありません。取得の申込みにあたっては、販売会社よりお渡しする最新の投資信託説明書(交付目論見書)等の内容を必ずご確認の上、ご自身でご判断ください。
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投資リスク、手続き・手数料等については以下のファンド詳細ページの投資信託説明書(交付目論見書)をご確認ください。

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