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- プレミアム・ブランド企業の足元の株価動向
●2023年下期以降、これまで株価上昇率が大きかった銘柄を中心に反落。今後も当面、米国におけるリベンジ消費一巡や中国の景気動向を巡る懸念が株価の重荷となる可能性
●中長期的な成長性や、特に欧州の高級ブランド企業の良好なファンダメンタルズ(基礎的条件)には変わりがないとみる
これまで株価上昇率が大きかった銘柄を中心に反落
当ファンドの投資先であるプレミアム・ブランド企業の株価は、ゼロコロナ政策終了後の中国市場の回復期待などを背景に、2022年後半から2023年前半は、先進国株式の中でも相対的に良好なパフォーマンスを示しました。しかし、それ以降は、株式市場におけるAIブーム(プレミアム・ブランド企業はこれと関連が乏しい)や、米国の旺盛なリベンジ消費の一巡感や今後の消費減速懸念の高まり、中国の景気回復の遅れに対する懸念などが、多くのプレミアム・ブランド企業の株価にとって重荷となっています。
特に、高級ブランド企業をはじめこれまでの株価上昇率が大きかった銘柄については、2023年下期以降、足元(2023年10月11日)まででみると、相対的に株価の下落率が大きくなりました。
こうした市場動向を背景に、当ファンドの基準価額(分配金再投資後)は2023年年初来、足元(計算期間:2022年12月30日~2023年10月11日)まででみると+18.0%の上昇となりましたが、下期以降(同:2023年6月30日~10月11日)だけみると株式要因のマイナスが響き、-5.1%の下落となりました。
米国のリベンジ消費の一巡感や中国の景気回復の遅れなどが背景
足元の高級ブランド企業の株価反落の背景の1つには、これまで高級ブランド商品をはじめとしたプレミアム・ブランド商品に対する力強いリベンジ消費の動きをみせてきた米国で、リベンジ消費の一巡感がみられることに加えて、累積的な金融引き締めの影響から個人消費の減速を伴う景気減速も懸念されていることがあります。さらに、今年初めにゼロコロナ政策が解除されたことで大きく需要回復が期待されていた中国についても、景気動向に懸念が残ることなどがあると考えられます。ただし、中国については、比較的景気動向の影響を受けにくい富裕層を中心にプレミアム・ブランド商品やサービスに対する需要は依然として旺盛であるとみられます。実際、高級ブランド企業の2023年前半の決算では、アジア(除く日本)における販売の回復が示されました。
「体験」・「経験」の価値重視の流れを受けて、トラベル関連などには回復期待も
高級ブランド商品をはじめとしたプレミアム・ブランド商品の購入といった「モノ消費」だけではなく、「体験」・「経験」といった価値を重視する消費トレンドは根強く、トラベル・レジャー関連分野については、回復基調が続くとみられます。
中国当局は、今年2月以降、中国から海外への団体旅行を段階的に緩和しており、8月には日本、韓国、オーストラリア、米国、ドイツ、英国などをはじめとする78の国と地域についても解禁しました。
また、中国のみならず、世界的にみても海外旅行者数はコロナ前の水準にまでは回復しておらず、今後も回復余地があるとみています。ただし、足元の中東情勢の緊迫化の動向については、世界的な海外渡航の流れにマイナスの影響を及ぼす可能性もあるため、注視していく必要があるとも考えます。
なお、トラベル関連分野の代表格であるホテル運営企業については、旺盛な宿泊需要を背景に宿泊料金の引き上げ実施と客室稼働率の改善に加えて、自社株買いの実施などを受けて、2023年度の1株当たり利益(EPS)の予想値(I/B/E/S集計アナリスト予想値)は、上方修正傾向が続いています。
足元では、特にトラベル関連の組入比率を引き上げ
当ファンドの足元のポートフォリオにおいては、消費者の旺盛な旅行・レジャー需要を背景に今後も回復基調が続くと期待される「トラベル関連」のホテル運営企業の組入比率を引き上げています。ただし、前述の通り、中東情勢の動向を注視していく必要もあると考えます。
一方、欧州をはじめとした高級ブランドについては、引き続き底堅い需要が見込まれるものの、力強いリベンジ消費の動きが一巡し、通常の成長ペースに収れんしていく中で、成長ペースは減速するとみられます。そのため、これまで株価が大きく上昇してきた銘柄を中心に一部を売却して利益を確定するなどの調整を行っています。また、食品・飲料については、高級酒の主力市場である北米では当面回復が期待しにくいと考えられることから、組入比率を大きく引き下げています。 ※2023年9月末時点の状況。
短期的な株価の下落には警戒も、中長期的な成長性への見方には変わりなし
今後、プレミアム・ブランド商品やサービスに対する力強いリベンジ消費の動きは一巡し、通常の成長ペースに収れんしていくと想定されます。こうした中で、相対的に高い利益率を示してきた高級ブランド企業などを中心に、底堅い需要は続くと予想される一方、売上・利益の成長ペースは減速する可能性があり、短期的に株価にとってマイナス材料となることが懸念されます。
一方、中東情勢の動向には注視しつつも、世界的な海外旅行の本格的な回復が期待されます。また、回復が遅れてきたスポーツ関連などの分野については在庫調整が進んでいることが確認されており、業績は底打ち・改善に向かうと予想されます。こうした点は、今後のプラス材料となると考えます。
中長期的にみれば、中国をはじめとしたアジア新興国の消費者の購買力の向上が成長ドライバーとなると期待されることに加え、顧客層に景気変動の影響を相対的に受けにくい富裕層が多いことなどが、底堅い需要動向を下支えするとの見方には変わりがありません。
また、欧州の高級ブランド企業については、長い歴史を有する企業が多く存在します。長い歴史の中では経済危機などを幾度も乗り越えてきた実績があるとともに、いつの時代も多くの消費者を魅了する商品を提供し続けてきました。これは、優れた経営力があるからこそ実現できると考えられます。こうしたことから、欧州の高級ブランド企業には、強力な価格決定力が実現する高収益性に加えて、健全な財務基盤を持つ優良企業が多いのが特徴です。世界経済や市場動向の先行き不透明感が高まる中で、こうした銘柄は投資家の注目を集める可能性があるとみられ、ポートフォリオの中核的な存在としての位置づけには変わりがありません。
※将来の市場環境の変動等により、上記の内容が変更される場合があります。
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