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- ファンド・マネージャーの視点~足元のプレミアム・ブランド企業の株価動向について~
●2023年5月後半以降、プレミアム・ブランド企業の株価は下落
●一方、プレミアム・ブランド企業のファンダメンタルズは良好で、相対的に高い利益成長予想にも変わりがない
●バリュエーション水準の低下により、新たな投資機会となる可能性も
2023年5月の株価下落の背景
2023年5月後半より、多くのプレミアム・ブランド企業の株価は下落しています。この背景には、株式市場において、IT(情報技術)関連へのセクター・ローテーションの動きや、AI(人工知能)ブームに乗り遅れまいとする動き、さらには米国経済減速への警戒感などがあると考えられます。米国経済の減速については特に、大量消費製品を扱う消費関連企業の利益見通しに対する懸念が高まっています。このため、消費関連という点で共通しているプレミアム・ブランド企業も、連想された可能性があるとみています。
加えて、プレミアム・ブランド企業の株価は、2022年の下落(年間)から一転、2023年年初来では大きく反発しており、利益を確定しようとする動きも加速したとみられます。
プレミアム・ブランド企業は、一般的な消費関連企業とは一線を画す存在
当ファンドの投資先であるプレミアム・ブランド企業群は、消費関連と考えられる企業で構成されており、ハイテク分野の企業群ではありません。このため、ハイテク分野の株価上昇の流れに乗れないことは事実です。しかし、消費関連分野の中で考えると、大量消費・大量販売の消費財とは異なる特性を持っていると考えます。プレミアム・ブランド企業の顧客は、富裕層に加えて、よりよい商品・サービスを手に入れたいと熱望する人々であり、こうした人々の消費意欲は景気サイクルに比較的左右されにくいと考えられます。
コロナ・ショックから一足先に経済が再開した米国では、これまでに消費は大きく回復(プレミアム・ブランド分野も含む)してきました。このため、2023年の売上高の伸びは、前年の水準が高いことから減速することが予想されます。プレミアム・ブランド企業の中でも、マス層の顧客が比較的多い企業(例えば、ナイキ、VISA、化粧品企業など)などでは減速感が大きく出てくる可能性があるとみられます。ただし、こうした企業は、当ファンドの運用戦略上、中核をなす企業とは位置付けていません。
一方、プレミアム・ブランド企業の中でも、高価格帯の商品を提供する高級ブランド企業については、よりいっそうプレミアム化が進んでいます。また、これらの企業は顧客として富裕層・超富裕層を多く抱えています。「カルティエ」や「ヴァンクリーフ&アーペル」といったハイエンド・ジュエリーブランドを傘下に持つフィナンシエール・リシュモン、エルメス・インターナショナル、フェラーリといった企業がその代表例であり、2023年年初来の株価上昇率は足元でも相対的に大きくなっています。
2023年4-6月期決算、欧州の夏の休暇シーズンの動向も注目
前述の通り、米国市場については、前年の水準が高くなっているため、2023年年後半以降、売上高の伸びはさらに減速する可能性があります。しかし、中国をはじめとしたアジアについては、引き続き高い増収率が期待できると考えています。2022年の中国は都市封鎖などの影響から、販売が大きく低迷していました。2023年年初にゼロコロナ政策が終了し、これからようやく、消費の本格的な回復が期待される局面を迎えるためです。
2023年1-3月期の決算では、特に高級ブランド企業からは、中国市場の回復が数字として示され始めています。さらに今後はトラベル関連、レジャー関連などの分野にも中国の消費回復の効果がより明確に反映され始めるものと予想しています。
また、欧州の消費者の旅行意欲にも注目しています。引き続き、旅行需要は旺盛で、夏の休暇シーズンにかけては、ホテルなどをはじめとしたトラベル関連、レジャー関連企業の追い風となると期待しています。
バリュエーション水準の低下により、新たな投資機会となる可能性も
当ファンドが投資しているプレミアム・ブランド企業の株式における足元(2023年4月末時点)の予想株価収益率(PER)注は、過去平均を上回る水準ではあるものの、コロナ禍直前の水準をやや下回る水準です。足元の予想PERからみると、過度な割高感はなく、妥当なバリュエーション(投資価値評価)水準であると考えています。さらに、5月の株価下落により、この水準は低下しています。このため、新たな投資機会となる可能性もあると考えています。
注:来年度1株当たり利益ベース、組入比率加重平均
また、引き続き市場コンセンサス予想には、中国の需要回復期待などが十分には織り込まれていないとみられます。今後の決算発表などを受けて、旺盛な需要動向への確信度が高まっていく中で、市場コンセンサス予想は、上方修正されていく可能性があるとも考えています。
※詳細は、2023年5月26日発行 ピクテ・ファンド・ウォッチ ピクテ・プレミアム・ブランド・ファンド(3ヵ月決算型) 「2023年1-3月期は好決算。今後の成長にも期待」も併せてご覧ください。
とはいえ、足元では、銘柄選別が重要な局面に差し掛かっているとも考えています。多くのプレミアム・ブランド企業は長い歴史を持った企業であり、幾多の困難な時代を乗り越えて今日まで成功を収めてこられた要因には、優れた事業遂行能力やマネジメント力などがあると考えてます。
当ファンドの運用チームは、プレミアム・ブランド企業の株式運用を長年にわたって専門的に行っています。プレミアム・ブランド企業の経営陣との対話や企業のファンダメンタルズ(基礎的条件)分析などを通じて、豊富な経験と知識の蓄積があります。こうした強みを生かし、プレミアム・ブランド企業の中でも、より質の高い企業の選別を行っていく方針です。
過去のプレミアム・ブランド企業の株価動向をみると、市場の下落局面では市場平均に比べて下落率が大きくなる傾向がありました。しかし、その後の回復局面では、良好な企業のファンダメンタルズや成長力が再評価され、大きく反発するということが繰り返されてきました。
今回の株価下落局面でも、プレミアム・ブランド企業のファンダメンタルズや利益成長率予想に対する大きな変更はありません。市場が冷静さを取り戻せば、不安定な株価動向も解消されていくものとみています。
※将来の市場環境の変動等により、上記の内容が変更される場合があります。
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