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- ファンド・マネージャーの視点| ケリングの業績低迷は、高級ブランド企業全般に及ぶ問題ではない
●ケリングが2024年1-3月期の減収見込みを発表
●減収要因は、ケリングの個別要因によるところが多く、高級ブランド企業全般に及ぶ問題ではないとみる
●ピクテのプレミアム・ブランド株式運用は20年近くの実績があり、長年にわたってプレミアム・ブランドの調査・運用に携わってきた運用チームが、銘柄選別を行う
ケリングが2024年1-3月期の減収見込みを発表
世界的な高級ブランド・コングロマリットの1つである、ケリング(フランス)は2024年3月20日、傘下の主力ブランド「グッチ」などの不振により、2024年1-3月期の売上高が減収となる見込みであることを発表しました。これを受けて、ケリングの同日の株価は前日比で-12%の下落となりました。
ケリングは、2023年度通期決算でも、減収減益を発表しており、低調な業績動向が懸念されていました。当ファンドの運用チームでも、コロナ・ショック以降の高級ブランドの販売動向の中で、「グッチ」をはじめとするケリング傘下のブランドについては、相対的に弱い動きであるとみていました。
「グッチ」は近年、アジアのZ世代(後述の※参照)の消費者に人気があるブランドとなっていました。しかし、この世代の消費者は気まぐれなことでも有名です。昨年新たに「グッチ」のクリエイティブ・ディレクターに就任したサバト・デ・サルノによる、より静かでタイムレスなデザインの新コレクションが本格的に店頭に並ぶのは今年2024年の後半(2024年第4四半期)になります。それまでの過渡期には、消費者が購入に消極的になることは容易に想像できます。さらに、中国市場における「グッチ」の販売低迷については、景気の先行き懸念を受けて、高級ブランドの買い控えや選別する動きを強める中国の消費者が存在することも一因でしょう。
さらに、ケリングはここ最近、「ヴァレンティノ」(株式30%を取得、2023年)や、高級フレグランス・ブランド「クリード」(株式100%取得、2023年)などの買収を行っていますが、現時点ではこうした買収によるプラスの効果が示されておらず、ケリングの事業再建に向けた投資家からの信頼を取り戻せていないとみられます。
※Z世代とは?:1990年代半ばから2010年代序盤に生まれた世代で、デジタルネイティブ、SNSネイティブとも呼ばれています。
高級ブランド企業全般に及ぶ問題ではない
ただし、今回のケリングの減収見込みの発表は、高級ブランド企業全般の問題ではないとみています。ケリングの減収見込みの背景には、ケリング固有の問題が大きいと考えられます。
2023年10-12月期決算では、ケリングの主力の「グッチ」、「ボッテガ・ヴェネタ」、「サンローラン」は全て1ケタ減収となり、特に中国市場での販売に苦戦しました。一方で、エルメス・インターナショナル(フランス)、LVMHモエ ヘネシー・ルイ ヴィトン(フランス)、ブルネロ・クチネリ(イタリア)などは増収で良好な販売動向を維持していました。
運用チームでは、こうした業績動向の差は、経営戦略やそれを実行し、コントロールする力の差であるとみており、最近の株価動向にも表れていると考えています。
ただし、ケリングについても、長期投資の観点からみれば「ターンアラウンド(事業再生、業績回復)」銘柄として期待できると考えています。
20年近い実績のあるピクテのプレミアム・ブランド株式運用
ピクテのプレミアム・ブランド株式運用は、長年にわたってプレミアム・ブランド企業の調査・運用に専念してきたシニア・インベストメント・マネージャー2名を中心に、20年近くの実績がある運用戦略です。経験豊かな運用チームが、銘柄を選別の上、投資を行っています。また、プレミアム・ブランド企業は、高級ブランドだけでなく、化粧品、高級酒、スポーツ関連、トラベル&レジャー関連など多様な消費分野に存在していると考えています。世界経済や株式市場のサイクルに合わせて、プレミアム・ブランド企業の中でも、異なる分野の組入比率を調整していくことも可能です。
中長期的なプレミアム・ブランド商品・サービス需要の成長ドライバーは、特にアジアを中心とした新興国の消費者の購買力向上などであるとの見方には変わりがありません。中国は現時点でも、プレミアム・ブランド商品・サービスの需要のけん引役となっていますが、今後さらに長期的にみれば、中南米やインド、アフリカなどの消費者の購買力向上なども、プレミアム・ブランド商品・サービスの需要拡大につながる可能性もあるとみています。
※将来の市場環境の変動等により、上記の内容が変更される場合があります。
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