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- 強弱はあるものの、概ね底堅い業績動向
●2023年年初来で当ファンドの分配金再投資後基準価額は上昇、ただし大きく値動き。
●直近四半期決算は、分野・企業によって強弱はあるものの、概ね底堅い業績動向が示されている(2023年11月7日時点)。
●中長期的にみたプレミアム・ブランド企業の株式への投資の魅力には変わりがないとみる。
2023年年初来の当ファンドのパフォーマンス状況
2023年年初来、足元(2023年11月7日)までの当ファンドの分配金再投資後基準価額(以下、当ファンド)は+20%の上昇となりました。投資先であるプレミアム・ブランド企業の株価が上昇したことによる株式要因のプラス寄与に加えて、主要通貨に対して円安が進行したことによる為替要因のプラス寄与からも恩恵を受けました。
しかし、2023年年初来を期間別にみると、期間ごとに値動きが大きくなりました。2023年1-3月期は、中国のゼロコロナ政策終了により中国経済の回復が期待される中で、プレミアム・ブランド企業は大きく恩恵を受けるとみられることなどが追い風となり、当ファンドは先進国株式に比べて上昇率が大きくなりました。同4-6月期は、AI関連の大型ハイテク関連銘柄が大幅上昇し、先進国株式の上昇をけん引しました。当ファンドも当該期間において上昇しましたが、投資先であるプレミアム・ブランド企業はAIブームとの関連が乏しいことなどから、上昇率は先進国株式に比べると小さくなりました。同7-9月期は、米国の消費減速や中国市場の回復の遅れといった懸念が高まったことを受けて、プレミアム・ブランド企業の株価が下落したことが響き、当ファンドも下落となりました。その後(2023年10月2日以降、足元(2023年11月7日)まで)は、プレミアム・ブランド企業の株価は持ち直し、当ファンドは先進国株式をやや上回る上昇となりました。
※本文中の先進国株式は、MSCI世界株価指数、配当込み、円換算ベース。
直近四半期の決算動向~強弱はあるものの、概ね底堅い業績動向~
プレミアム・ブランド企業の直近四半期(主に2023年7-9月期)の決算発表では、プレミアム・ブランド各分野あるいは企業ごとに強弱はあるものの、概ね底堅い業績動向が示されています(2023年11月7日時点)。
(高級ブランド)
高級ブランド分野では、LVMHモエ ヘネシー・ルイ ヴィトン(フランス)は底堅い売上動向が続いていることを発表しましたが、増収率が市場予想を下回ったことから、世界の高級品需要の減速を懸念する見方が強まりました。もっとも、より高価格帯の商品を提供し、富裕層の顧客が相対的に多いとみられるエルメス・インターナショナル(フランス)やフェラーリ(イタリア)などは、引き続き好調な需要動向であることを示しました。
(トラベルおよびレジャー関連)
ホテル運営企業をはじめとしたトラベルおよびレジャー関連のプレミアム・ブランド企業から発表された直近四半期決算では、消費者のトラベル・レジャー需要が引き続き根強いことが示されました。足元の中東情勢の動向には注視が必要ですが、特に中国の人々の海外旅行需要は依然として回復余地が大きく、本格回復に向かう過程で、トラベルおよびレジャー関連のプレミアム・ブランド企業の成長が一段と高まる可能性があるとみられます。
(スポーツ関連)
プレミアム・ブランド企業の中で、コロナ禍からの回復が遅れていたスポーツ関連のプレミアム・ブランド企業は、直近四半期の発表において、ようやく業績改善の兆しがみえはじめました。
スポーツ関連のプレミアム・ブランド企業の主な顧客層は、例えば高級ブランド企業などに比べると、マス層が多いとみられています。こうした層の消費者の消費意欲は景気動向により影響されやすいため、今後の動向には引き続き注視が必要ですが、コロナ禍以降積み上がった過剰在庫は解消に向かい、主力市場の1つである中華圏の需要も回復基調にあることが示されています。
(化粧品関連)
化粧品関連のプレミアム・ブランド企業については、中国市場の回復の遅れやトラベル・リテール関連の低迷といった共通の要因はあるものの、企業によって業績動向には違いがあることが示されました。
ロレアル(フランス)は、市場シェアの拡大に成功している模様で、厳しい事業環境下でも底堅い売上動向を発表しました。
当ファンドのポートフォリオの状況
当ファンドのポートフォリオにおいて2023年年初以降、消費者の旺盛な旅行・レジャー需要を背景に今後も回復基調が続くと期待されるトラベル関連のプレミアム・ブランド企業(主にホテル運営企業)の組入比率を引き上げ、2023年9月末時点では約17%としていました。今後も業績拡大余地があるとみられるものの、年初来で株価が上昇してきたことから、一部を売却し利益を確定しました。2023年10月末時点のトラベル関連の組入比率は、約15%と前月末からやや低下しました。
欧州をはじめとした高級ブランド企業については、引き続き底堅い需要が見込まれるものの、力強いリベンジ消費の動きが一巡し、通常時の成長ペースに収れんしていく中で、成長ペースは減速するとみられます。そのため、これまで株価が大きく上昇してきた銘柄を中心に一部を売却して利益を確定するなどの調整を引き続き行っています。
一方、スポーツ関連のプレミアム・ブランド企業については、足元でようやく業績改善の兆しがみられ始めていることなどから、2023年10月末の組入比率を約18%へ引き上げています。
※上記はすべて2023年10月末時点の状況です。
中長期的にみたプレミアム・ブランド企業の株式への投資の魅力は変わらない
足元のプレミアム・ブランド企業は、特に高級ブランド企業においてはコロナ・ショック後の大幅増収増益局面から、足元では、通常時の成長ペースへと落ち着きつつあります。
しかし、プレミアム・ブランド企業は、他の企業が簡単に真似することができない商品・サービスを提供し、主な顧客は、富裕層やよりよいモノ・サービスを熱望する消費者です。こうした点で、一般的な消費財・サービスとは一線を画していると考えられます。
比較的景気変動の影響を受けにくい富裕層が顧客に多いことは、プレミアム・ブランド商品・サービス需要を支える存在となると期待されます。また、購買力を高めつつある消費意欲旺盛なアジア新興国の中間所得層の拡大は、新たな顧客層拡大につながると期待されます。こうしたことから、今後も中長期的にみれば、プレミアム・ブランド商品・サービス需要は増加していくとみられ、プレミアム・ブランド企業の売上・利益成長をけん引していくと期待しています。
もちろん、世界経済の動向や足元の中東情勢の緊迫化など地政学リスクの高まりがプレミアム・ブランド企業の業績や株価動向にマイナスの影響を及ぼす懸念は残ります。これらの動向については、今後もしっかり注視していく必要がありますが、中長期的にみたプレミアム・ブランド企業の株式への投資の魅力には変わりがないと考えています。
※将来の市場環境の変動等により、上記の内容が変更される場合があります。
長い歴史が裏打ちする、企業としての「質」の高さ
また、特に欧州の高級ブランド企業とその傘下のブランドは、長い歴史を有し、経済危機などを幾度も乗り越えてきた実績があります。そして、いつの時代も多くの消費者を魅了する商品を提供し続けてきました。強力なブランド力を背景とした価格決定力と、それが実現する高収益性に加えて健全な財務基盤を持つ優良企業が多いのが特徴です。世界経済や市場動向の先行き不透明感が高まる中で、こうした銘柄は投資家の注目を集める可能性もあるとみています。
足元の予想PERは、コロナ前の水準を下回る
当ファンドが投資しているプレミアム・ブランド企業の株式における足元(2023年10月末時点)の予想株価収益率(PER)注は、過去平均(期間:2006年6月末~2023年10月末)を上回る水準ではあるものの、コロナ前の水準を下回る水準です。足元の予想PERからみると、過度な割高感はなく、妥当なバリュエーション(投資価値評価)水準であると考えています。 注:来年度1株当たり利益ベース、組入比率加重平均
一方で、先進国の市場平均などに比べて高い水準にあると懸念する向きもありますが、プレミアム・ブランド企業の株式のバリュエーション水準は、これまでも長期にわたって先進国の市場平均に比べると相対的に高い水準で推移してきました。これは、プレミアム・ブランド企業の多くが、相対的に高い成長性や良好な企業のファンダメンタルズを有しているための「プレミアム」であるとみています。
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