●高級ブランド企業の一角、フィナンシエール・リシュモンが予想を上回る良好な四半期売上高を発表
●高級ブランド需要の回復の兆しとの見方から、高級ブランド企業の株価が反発（2025年1月17日時点）
●今後、2024年10-12月期決算の発表は本格化。変化（好転）の兆しを見逃すことがないよう、発表内容を注視

予想を上回る四半期売上高を発表したフィナンシエール・リシュモン

高級ブランド企業の一角であるフィナンシエール・リシュモン（スイス、「カルティエ」や「ヴァン クリーフ＆アーペル」などの宝飾品ブランドを傘下に有する）が2025年1月16日に発表した2024年10-12月期の売上高は、約62億ユーロと前年同期比+10%増収と市場予想を上回る良好な内容となりました。

地域別では、中国を中心とするアジア（除く日本）は引き続き減収であった一方、欧州、北・南米、日本はいずれも2ケタ増収となり、富裕層を中心に高価格の宝飾品に対する旺盛な需要が示されました。

フィナンシエール・リシュモンの予想を上回る四半期売上高の発表を受けて、高級ブランド需要の回復の兆しが示されたとの見方などから、多くの高級ブランド企業の株価は上昇しました（2025年1月17日時点）。

プレミアム・ブランドに対する人々の熱望は健在

コロナ・ショック直後から数年間、多くのプレミアム・ブランド企業は力強い「リベンジ消費」に支えられ、平常時を大きく上回る高い売上成長率を示してきました。しかし、2024年以降は平常時の状態に収れんしていく過程で、増収率の鈍化、あるいは減収となる企業もありました。また、米国や中国などの景気の先行き不透明感などから、プレミアム・ブランド商品やサービスの購入を控える動きも、プレミアム・ブランド企業の業績にとって重荷となりました。

プレミアム・ブランド企業は、強力なブランド力により、消費者に幸福感、優越感などの感情をもたらすことができる商品・サービスを提供している企業であり、一般的な消費関連企業とは一線を画す存在であると考えられますが、消費関連であるため、景気変動の影響を完全に免れることはできません。しかし、今回のフィナンシエール・リシュモンの四半期売上高の発表からは、景気動向の影響を受けて短期的には業績の波があっても、プレミアム・ブランド企業が提供する商品やサービスに対する人々の熱望は、変わらず存在し続けていることが示されたと考えられます。

加えて、2025年については、世界的に消費者心理が回復に向かうと期待できる好材料がいくつかあると考えられ、これらがプレミアム・ブランド企業が提供する商品・サービスの需要増加や株価上昇の追い風になると予想されています。

_{※2025年1月8日発行　ピクテ・ファンド・ウォッチ　「ピクテ・プレミアム・ブランド・ファンド（3ヵ月決算型）2025年の展望｜好転するとみる4つの理由」も併せてご参照ください。}

2024年10-12月期の決算発表はこれから本格的に始まります。変化（好転）の兆しを見逃すことのないよう、発表される決算内容をしっかりと注視していく必要があると考えます。