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- グロイン | 運用の振り返りと市場のポイント
● 2025年1月~3月のピクテ・グローバル・インカム株式ファンド(毎月分配型)(以下、当ファンド)の基準価額は、米国の景気減速や関税政策などへの懸念から市場が調整するなか、公益株式のディフェンシブ性や良好な業績見通しなどが注目され、相対的に底堅く推移
● 公益企業の業績は相対的に景気に左右されにくく、また、株価は相対的に割安な水準となっており、株式市場の調整は公益株式の中長期的な投資機会を提供すると考える
■ 当ファンドのパフォーマンス
※長期のパフォーマンスは本レポートの最後に掲載しています。
■ パフォーマンスの変動要因
【2024年4月~2025年3月(過去1年間)】
当該期間でパフォーマンスへのプラス寄与度が大きかった主な銘柄は、センターポイント・エナジー(米国、総合公益事業)、アメレン(米国、総合公益事業)、エクセロン(米国、電力)などでした。センターポイント・エナジーは、7月に同社のサービス地域を襲ったハリケーンなどの影響によって下落した後、反発したことに加え、良好な業績見通しなどが追い風となり、期を通してみると上昇となりました。アメレンは、設備投資の拡大などを背景に、2024年第2四半期決算の内容が好調となり、通期の業績予想と長期の利益見通しを再確認したことなどが好感され、上昇しました。エクセロンは、同社の子会社の設備投資計画が規制当局によって承認されたことや、データセンター増設などによる電力需要増加を背景に、設備投資計画の増額を発表したことなどが好感され、上昇しました。
一方、2025年1月に発生したロサンゼルスの山火事による影響が懸念されたことを受け、エジソン・インターナショナル(米国、電力)などが下落し、マイナス寄与しました。
【2025年1月~3月(過去3ヵ月)】
当該期間でパフォーマンスへのプラス寄与度が大きかった主な銘柄は、エーオン(ドイツ、総合公益事業)、エクセロン、イタリア電力公社(イタリア、電力)などでした。エーオンは、ドイツ連邦議会選挙の投開票が終わったことで不確実性が払しょくされたこと、次期政権によるインフラ支出拡大への期待感などから、上昇しました。エクセロンは、データセンター増設などによる電力需要増加を背景に、設備投資計画の増額を発表したことなどが、株価上昇の要因となりました。イタリア電力公社は、3月前半に発表した2024年の通期決算において、欧米地域における事業拡大などを背景に、前年比で増益となったことなどから、上昇しました。
一方、マイナス寄与度の大きかった主な銘柄は、センプラ(米国、総合公益事業)、PG&E(米国、電力)、コンステレーション・エナジー(米国、電力)などでした。 センプラおよびPG&Eは、ロサンゼルスの山火事による影響が懸念され、下落しました。また、センプラに関しては、一部事業地域において当局が提示した電力料金の認可レートが低い水準であったことなどにより2025年の利益見通しを下方修正したことも、下落の要因となりました。コンステレーション・エナジーは、原子力発電所からのデータセンターへの電力供給に関わる法規則制定の遅れや、昨年来から続いていた上昇の反動などが下落の要因となりました。
■ 2025年1月~3月(過去3ヵ月)の投資行動
当該期間の売買に関しては、事業地域外にもかかわらず、ロサンゼルスの山火事の影響で株価が下落した、PG&Eなどを買い増ししました。また、今後の長期的な成長性を評価し、SSE(英国、電力)の買い増しを行いました。さらに、良好な規制環境や、設備投資計画の増額への期待などから、サザン(米国、電力)の買い増しを行いました。
その一方で、株価の上昇したアメレンを利益確定のため、一部売却しました。また、米トランプ政権の風力発電事業に対する否定的な姿勢が株価に影響するとみて、風力発電を積極的に展開しているネクステラ・エナジー(米国、電力)などを一部売却しました。
■ 今後の見通し、運用方針
当面は、米トランプ大統領の関税政策の動向や世界的な貿易戦争に発展する可能性、地政学的リスクの高まりなど、米国をはじめ世界経済に対するマイナスの影響を巡るさまざまな見方を受けて、世界の株式市場や為替市場は大きく変動する可能性もあり、引き続き注視が必要と考えます。
市場の先行き不透明感が高まるなかで、公益企業は、1)業績が景気に左右されにくく、2)関税の影響を直接受けにくい非製造業でかつ、関税引上げで予想される物価上昇に強いこと、3)株価は相対的に割安な水準となっていることなどから、株式市場の調整は公益株式の中長期的な投資機会を提供すると考えます。
■ 中長期保有に当たってのポイント
電化の進展やAI(人工知能)の普及によるデータセンターの増設などによる電力需要増、建設コストが低いクリーンエネルギーへのシフトなどによる設備投資拡大などが世界の公益業界の成長ドライバーになるとの当社の見方に変更はありません。
米国の規制下の公益事業は、一定の利益を確保したうえで、税金や燃料費、資金調達コストなどの増加を料金に転嫁できる仕組みを有していることから、政策如何による利益への中長期的なマイナスの影響は少ないとみています。こうしたことから米国の規制下事業の比率の高い銘柄は、経済の先行き不透明感の高まるなかでより注目すべきであるとみており、組入れを高位にしています。
一方、米トランプ政権の風力発電事業に対する否定的な姿勢が株価に影響を及ぼすとみて、風力発電を積極的に展開している電力銘柄の組入比率を引き下げています。
(以下、足元の注目すべきトピックについて解説します。)
■ 2月半ば以降、ハイテク関連株が調整する中、公益株は底堅く推移
世界の株式市場(現地通貨べース)は、2025年2月18日を直近のピークに下落基調となっています。
2月半ば以降、米国の景気減速懸念の高まりや、米トランプ政権による関税政策への警戒感などから、投資家のリスク回避の動きが強まり株式市場が下落基調となるなか、米トランプ大統領が2025年4月2日(現地時間)に発表した「相互関税」は市場の想定より厳しい内容となりました。これを受けて、世界的に景気の先行き不透明感が高まり、影響が大きい業種や国を中心に世界的な大幅株安となりました。
主要業種・スタイル、資産別(現地通貨べース)でみると、これまで株価が大きく上昇し、バリュエーション(投資価値評価)水準に割高感が高まっているハイテク関連(世界情報技術(IT)株式)などが大きく下落する一方、世界公益株式をはじめとしたディフェンシブ株式などは相対的に底堅く推移しました。投資環境の不透明感が高まる中、ディフェンシブ性(業績が景気に左右されにくい特性)の高いセクターが相対的に選好されているとみられます。
なお、米ドル・円為替市場は、2月18日に1米ドル152円を付けた後、日米金利差の縮小観測などを背景に、円高が進行しました。
■ (参考) 2000年頃と同様に世界公益株式の相対パフォーマンスは次のサイクルに入るか?
過去の実績では、2000年から2008年にかけて、世界公益株式のパフォーマンスは世界株式に対して優位となりました。その後、2009年以降は世界株式が優位となりました。足元では、世界公益株式が優位に転換した2000年当時の市場環境との類似点がいくつかみられることから、再び世界公益株式が優位となり、中長期的な投資機会となる可能性もあるとみられます。
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