Article Title
ピクテのインド株式運用チームが体感、インドの「今」 2024(1)
2024/07/18

Share

Line

LinkedIn

URLをコピー


概要

●当ファンドは、発展が期待できる産業において、誠実な経営陣によって経営されている優良企業の株式を厳選した上で投資を行う、アクティブ・ファンド。投資先企業の選定の過程では、現地インドでの企業訪問や人々との交流から得られる生の情報も重視。
●今年6月、ピクテのインド株式運用チームのリード・マネージャー、プラシャント・コタリがインドを再訪。この訪問で得た知見の一部を紹介します。



Article Body Text

予想外の結果となった総選挙|「けん制」されはしたが、「拒否」されたわけではない、モディ政権

今回のインド訪問は、総選挙(下院選挙、6月4日開票)の熱狂冷めやらぬ時期と重なりました。そのため、選挙の「熱気」を肌で感じることができた、貴重な機会となりました。

総選挙の結果は予想外の結果となったため、市場関係者は大きく動揺しました。事前予想では、与党インド人民党(BJP)が単独過半数を獲得するとみられたものの、実際はBJPが大きく議席数を減らし、単独過半数割れとなったのです。

ただし、BJPは単独過半数を獲得できなかったものの、BJPを主軸とする与党連合・国民民主同盟(NDA)は、過半数を維持し、連立政権として3期目のモディ政権が誕生しました。

BJPが大きく議席数を減らし、連立を組むことを余儀なくされた理由には、政権側の過信、農村部の苦境、ヒンドゥー教政治に対する人々の疲れ、など様々な要因があると考えられます。選挙民からのメッセージは、「モディ首相、私たちはあなたを支持していますが、盲目的な支持ではありません。より良い政策運営を期待しています。次の選挙で勝利を目指すなら、一部の国民ではなく、すべての国民を考慮した経済政策を実施してください。良い仕事を続け、同時に過激派は抑えてください」というものではないかと解釈しています。このような民意が示されたことは、インドでは民主主義が健全に機能している証拠であると、むしろポジティブな評価をすべきと考えます。

政策を推進する最終的な力は、たった1人の人物によってもたらされるものではなく、健全な民主主義という制度的な枠組みと、多くの進歩的な人々が存在するといった強みがあることによって、もたらされると考えられます。今回の選挙結果は、モディ政権に対して、「けん制するが、拒否しない」、という判断であり、「けん制しない」あるいは「拒否する」という、どちらか極端な判断よりも、インド社会・経済にとってずっと好ましいものであるとみています。

街中で垣間見た政権与党の「過信」

今回の訪問では、インド最大の州であるウッタル・プラデシュ州(人口およそ2.4億人)にも立ち寄りました。この州でBJPは大きく議席を失う結果となりました。同州の都市の1つであるアヨーディヤには、もともとイスラム教のモスクがあった場所に、新しい壮大なヒンドゥー教の寺院が建立され、2024年1月、その完成を祝う式典が盛大に執り行われました。モディ首相は、その式典に中心的な立場で参加していました。この寺院の建立は、ヒンドゥー至上主義をその理念とするBJPの総選挙における勝利にも貢献すると期待されていましたが、皮肉なことに、アヨーディヤの地でもBJPは議席を失いました。

この結果は何を意味しているでしょうか?下の写真は、アヨーディアの街中でみた風景です。都市整備が進められ、道路を拡張する過程で、人々の家や店は手あたり次第取り壊されていました。これが問題にならないという政権側の過信が、選挙結果にあらわれたのではないかと考えています。今後のモディ政権には、一方的な開発ではなく、多様な民意がある中で合意を形成し、バランスの取れた開発を行うことが求められると思われます。

鉄道インフラの進歩を実感

アヨーディヤへの旅は、2019年より運航が開始されたヴァンデ・バラト・エクスプレスを利用しました。この高速列車は、日本の新幹線のようにもみえますが、新幹線ほどの速度ではありません(最高速度は時速160km)。しかし、乗り心地は非常に快適で、食事のケータリングサービスなどのおもてなしも提供されていました。鉄道インフラについては、依然として発展の余地は大きく残るものの、確実に進歩を遂げていると実感しました。

モバイル端末がもたらす革命

インド国内のほとんどの空港は、非常によく整備されています。故郷でもある、ラジャスタン州の小さな都市ウダイプールでも、空港のすべてのソファーやベンチにモバイル端末の充電スポットが整備されていました。

街の露天商からマンゴーを購入したい、というときもモバイルウォレットを使って購入するので、モバイル端末の充電ポイントがあることは大変便利です。

今回のインド訪問では、インド決済公社(NPCI)の議長とのミーティングの機会もありました。この公社はデジタル決済インフラの創設を担っています。インドにおけるデジタル決済の約80%がインド決済公社が提供する電子決済システム(UPI)を通じて行われ、毎日の取引回数はおよそ10億にものぼるとのことでした。

インド(およびアジアの他の地域)でデジタル決済が普及した主な理由は、QRコードのようなソフトウェアに基づく基盤設備にあります。これはハードウェア主導の決済インフラが発達している欧米とは事情が異なる点です。

モバイル端末は、インドでのビジネスの進め方を革命的に変化させる中心的な役割を果たしています。そのため、常に使用できるように、充電しておくことがなにより重要です。

フードデリバリー大手ゾマトの子会社であるブリンキット(食料品や日用品の短時間配達を行う)の配達拠点の1つを訪問しました。彼らは、注文を受けてから極めて短時間(およそ20分以内)のうちに、食料品などの商品を配達する方法(それも利益を確保しながら)を編み出した世界初の企業であるとみています。消費者が、モバイルアプリを通じて商品を注文をし、ギグワーカー(インターネットを介して仕事を請け負う労働者)が10分以内に注文された商品を受け取り、次の10分で自転車で配達します。配達拠点となる倉庫は暗い路地にあり(賃料の安さが重視されている)、そこで配達員に彼らがどのように仕事をこなしているかを実際に教えてもらう機会がありました。同時に、彼らのギグワークを仲介するアプリをみせてもらいました。みせてもらった例では、その日の注文の約66%が注文から15分以内に配達されていたことを示しており、驚異的なビジネスモデルであると感じました。

次号につづく。



●当資料はピクテ・ジャパン株式会社が作成した販売用資料であり、金融商品取引法に基づく開示書類ではありません。取得の申込みにあたっては、販売会社よりお渡しする最新の投資信託説明書(交付目論見書)等の内容を必ずご確認の上、ご自身でご判断ください。
●投資信託は、値動きのある有価証券等(外貨建資産に投資する場合は、為替変動リスクもあります)に投資いたしますので、基準価額は変動します。したがって、投資者の皆さまの投資元本が保証されているものではなく、基準価額の下落により、損失を被り、投資元本を割り込むことがあります。
●運用による損益は、すべて投資者の皆さまに帰属します。
●当資料に記載された過去の実績は、将来の運用成果等を示唆あるいは保証するものではありません。
●当資料は信頼できると考えられる情報に基づき作成されていますが、その正確性、完全性、使用目的への適合性を保証するものではありません。
●当資料中に示された情報等は、作成日現在のものであり、事前の連絡なしに変更されることがあります。
●投資信託は預金等ではなく元本および利回りの保証はありません。
●投資信託は、預金や保険契約と異なり、預金保険機構・保険契約者保護機構の保護の対象ではありません。
●登録金融機関でご購入いただいた投資信託は、投資者保護基金の対象とはなりません。
●当資料に掲載されているいかなる情報も、法務、会計、税務、経営、投資その他に係る助言を構成するものではありません。

個別の銘柄・企業については、あくまでも参考であり、その銘柄・企業の売買を推奨するものではありません。

お申込みにあたっては、交付目論見書等を必ずご確認の上、ご自身でご判断ください。
投資リスク、手続き・手数料等については以下の各ファンド詳細ページの投資信託説明書(交付目論見書)をご確認ください。

iTrustインド株式



関連記事


日付 タイトル タグ
日付
2024/06/27
タイトル iTrustインド株式|2024年年初来の当ファンドの基準価額の動向 タグ
日付
2024/06/06
タイトル iTrustインド株式|インド総選挙の結果を受けて~今後の見通しと運用方針~ タグ
日付
2024/04/30
タイトル iTrustインド株式|バリュエーション水準の上昇が警戒される中、大型株には相対的な投資の魅力 タグ
日付
2024/04/24
タイトル 【動画】iTrustインド株式|「成長」が魅力のインド株式<塚本 卓治> タグ
日付
2024/04/04
タイトル iTrustインド株式|2024年年初来の当ファンドのパフォーマンスは引き続き上昇基調 タグ
日付
2024/03/04
タイトル iTrustインド株式|インド株式は割高? ~相対的に高い成長期待があることの裏返し~ タグ
日付
2024/01/26
タイトル 【動画】iTrustインド株式|高まる「インド」の影響力 2024年インド株式市場の見通し<塚本 卓治> タグ
日付
2024/01/25
タイトル iTrustインド株式|2023年の当ファンドのパフォーマンス状況と今後の見通し タグ
日付
2024/01/11
タイトル インド経済、成長見通し改善と注目点 タグ
日付
2023/11/01
タイトル iTrustインド株式|インド経済・企業利益の最新動向 タグ
日付
2023/10/25
タイトル 【動画】iTrustインド|インド株式 新たなる夜明け<塚本 卓治> 2023.10 タグ
日付
2023/10/17
タイトル iTrustインド株式|当ファンドのパフォーマンス状況~2023年年初来、上昇基調が続く タグ
日付
2023/09/25
タイトル iTrustインド株式|ファンド・マネージャーの視点。インド株式、新たなる夜明け タグ
日付
2023/09/13
タイトル iTrustインド株式|問題を抱える企業の株式への投資を避け、一貫して優良企業に厳選投資を行う効果 タグ
日付
2023/08/31
タイトル iTrustインド株式|長期にわたる持続的な成長性に注目(3)インターネット関連サービス タグ
日付
2023/08/14
タイトル iTrustインド株式|アクティブ・アプローチの効果がプラスに寄与。2023年年初来の基準価額は上昇基調 タグ
日付
2023/07/24
タイトル 【動画】iTrustインド株式|インド株式への投資ではアクティブ・アプローチが重要<塚本 卓治> タグ
日付
2023/07/10
タイトル iTrustインド株式|ピクテのインド株式運用チームが体感、インドの「今」(3) タグ
日付
2023/07/05
タイトル iTrustインド株式|ピクテのインド株式運用チームが体感、インドの「今」(2) タグ
日付
2023/06/30
タイトル iTrustインド株式|ピクテのインド株式運用チームが体感、インドの「今」(1) タグ
日付
2023/06/20
タイトル iTrustインド株式|インド準備銀行、サプライズなく据え置き タグ
日付
2023/06/08
タイトル iTrustインド株式|2023年年初来の当ファンドのパフォーマンス状況 タグ
日付
2023/06/02
タイトル iTrustインド株式|デジタル決済の世界的な潮流は、インドでも タグ
日付
2023/05/30
タイトル iTrustインド株式|インド中銀が高額紙幣の流通停止を発表。その影響は? タグ
日付
2023/05/18
タイトル iTrustインド株式|他の株式との連動性が相対的に低いインド株式 タグ
日付
2023/04/13
タイトル iTrustインド株式|インド中銀が市場予想に反して政策金利を据え置き タグ
日付
2023/04/11
タイトル iTrustインド株式|インド株式への投資では、アクティブ・アプローチが重要と考える理由 タグ
日付
2023/03/23
タイトル iTrustインド株式|ガバナンスの取り組みなども含めて真に「質の高い企業」を選別することの重要性 タグ
日付
2023/03/14
タイトル iTrustインド株式|長期に積立投資でリスクを抑えつつ、成長の恩恵を享受 タグ
日付
2023/02/13
タイトル iTrustインド株式|長期にわたる持続的な成長性に注目(2)金融関連分野 Vol.3 タグ
日付
2023/02/08
タイトル インド株式|2023年、波乱の幕開けとなったインド株式。「質の高い企業」への厳選投資のすすめ タグ
日付
2023/01/26
タイトル 【動画】長期投資の有望株 インド株式は積立投資で資産形成 <田中 純平>|iTrustインド株式 タグ
日付
2023/01/25
タイトル インド株式|長期にわたる持続的な成長性に注目(2)金融関連分野 Vol.2 タグ
日付
2023/01/17
タイトル インド株式|長期投資の有望株 ~注目すべき3つの理由~ タグ
日付
2023/01/06
タイトル インド株式|長期にわたる持続的な成長性に注目(2)金融関連分野 Vol.1 タグ
日付
2022/12/20
タイトル インド株式|長期にわたる持続的な成長性に注目(1)ヘルスケア関連分野 タグ
日付
2022/12/02
タイトル インド株式|「成長」が魅力 タグ
日付
2022/09/20
タイトル インド株式|引き続き、相対的に堅調 タグ
日付
2022/03/16
タイトル 2022年年初来のインド株式市場とファンドの状況 タグ
日付
2021/09/15
タイトル 上昇が続くインド株式、今後の展開は? タグ
日付
2020/09/25
タイトル インド株式、足元で大きく反発:その背景と今後の見通し タグ
日付
2020/06/24
タイトル 当面の懸念材料があるものの、PBR水準では魅力が高まるインド株式 タグ
日付
2020/05/28
タイトル ファンド・マネジャーからのメッセージ 2020年5月:「これもまた過ぎ去るもの タグ
もっと見る