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- 2025年の展望~中長期的な成長期待に変化なし~
●2024年のインド株式市場も足元までで上昇。ただし、9月をピークに、その後は相対的にやや低調な動き
●インドの経済や企業利益に対する、相対的に高い成長期待には変わりがない
●インドの「成長」の恩恵を享受するためには、中長期的なスタンスで株式投資に取り組むことが肝要
2024年のインド株式市場を振り返る
過去約5年間のインド株式(MSCIインド10/40株価指数)の株価パフォーマンスは、米国株式などの主要株式を上回って推移しています(2024年12月9日時点、現地通貨ベース、配当込み)。
2024年年初来でも、インド株式は上昇しています。ただし、9月をピークに、その後は相対的にやや低調な動きとなっています。この背景には、中国の大型景気刺激策を受けて、投資家の関心が中国株式にシフトしたことや、インド株式のバリュエーション(投資価値評価)面での割高感、インド国内のインフレ懸念の再燃や景気減速懸念など、さまざまなことが考えられます。
インドの成長ストーリーには変化はない
ただし、インドの経済や企業利益に対する成長期待には、特段の変化はありません。
国際通貨基金(IMF)の予想によると、2025年のインドの実質国内総生産(GDP)成長率は前年比6.5%と予想されています。こうした成長は国内消費の拡大や、「メイク・イン・インディア」イニシアチブ、インド全土のデジタル化推進、インフラ改善の取り組みなどの成長を後押しする政策によってもたらされると考えられます。
中長期的にみても、魅力的な人口動態などを考慮すると、インド経済は世界のなかでも、相対的に高い成長が期待できることに変わりがなく、経済成長を背景に企業利益の拡大も期待できると考えられます。
成長期待が株価上昇をけん引
インド株式は足元でこそ、相対的にやや低調な株価推移となっていますが、それまでの株価上昇を受けて、株価収益率(PER)などのバリュエーション水準が高まっており、これを警戒する向きもあります。
一方、ここ最近のインド株式市場を支える存在となっているインド国内の投資家からは、「インド版つみたてNISA」ともいえる、インド投信積立制度(SIP)を通じて、投資資金の流入が力強く続いています。彼らは、バリュエーション水準にかかわりなく、株式投資に強い関心を持っているようです。インドでは個人の流動性資産のうち株式や投信が占める割合は10%以下にとどまっており、この点からは、依然としてインド国内の投資家による株式や投信への投資拡大余地は大きく残されていると考えられます。
インド国内の投資家のこうした投資熱は、インド企業がしっかりと利益成長を実現していく限り、薄れることはないとみられます。現時点で、インド企業の利益成長見通しもしっかりしていること、バランスシートも全体でみると健全であることは、インド株式市場にとってポジティブな材料になるとみられます。
長期的なスタンスでインド株式に投資を行うのであれば、足元のバリュエーション水準について、それほど心配する必要はないと考えられます。また、足元のインド株式市場の調整を受けて、インド株式のバリュエーション水準は依然として高い水準にはありますが、やや低下しました。
2025年のインド経済の見通し~注視していくべき点はあるものの、相対的に高い経済成長率が予想される~
政治面については、2024年は総選挙があり、政治イベントが多い年でしたが、2025年は大きな政治イベントがないため、政府は主要政策課題に集中できる環境が整い、政治的な安定が期待できる年になるとみられます。
マクロ経済の面では、前述の通り、世界のなかでも高い成長率が引き続き予想されています。
一方、インフレ懸念の再燃やそれによって金融政策が引き締め方向に向かう可能性、原油価格動向(ただし、現時点では価格は落ち着いており、大きなリスクではない)などについては、注視を続ける必要があると考えられます。
また、足元ではトランプ米次期大統領の政策が、世界経済にもたらす影響について関心が高まっています。概して、インド経済は、世界的なマクロ経済要因(外的要因)の影響を比較的受けにくい傾向にありますが、米国の新政権の政策動向にも十分に注意を払う必要はあるでしょう。
インド株式への投資の心構え
懸念材料に対しては、短期的に株価動向にマイナスの影響を与える可能性があることから、動向をしっかり注視していく必要があります。
しかし、繰り返しになりますが、中長期的なインドの経済成長や企業利益の成長への期待は、魅力的な人口動態や成長を後押しする政策などを背景に、変わりがないと考えられます。中長期的なスタンスで、インド株式への投資に取り組むことが、インドの「成長」の恩恵を享受するために重要になるのではないでしょうか。
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