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- インド総選挙の結果を受けて~今後の見通しと運用方針~
インド総選挙では、モディ首相率いる与党インド人民党が議席を大きく減らし、単独では過半数を失うという予想外の結果となったことを受けて、2024年6月4日のインド株式市場は大幅に下落しました。翌5日には反発したものの、当面は不安定な株価推移が続く可能性もあり、注視が必要です。当ファンドの運用に際しては、引き続きインドの優良企業を厳選した上で投資を行っていく方針です。
総選挙の結果を受けて、インド株式市場は不安定な値動き
2024年6月4日に開票されたインドの総選挙(議会下院選挙)では、モディ首相率いる与党インド人民党が議席を大きく減らし、単独では過半数を失うという予想外の結果となったことを受けて、同日のインド株式市場は大きく下落しました。
出口調査では与党インド人民党主導の与党連合「国民民主同盟」が過半数を大きく上回り、圧勝すると予測されていただけに、投資家は驚きと受け止めた模様です。
翌5日には、与党連合「国民民主同盟」を構成する2党がモディ政権への支持を表明したことから、3期目となるモディ政権が発足する見通しとなりました。こうした情勢を受けて、市場では安心感が広がり、5日のインド株式市場は反発しました。
今回の選挙結果を、3期目となるモディ政権がどのように解釈するかによって、今後の政策運営には影響が出てくる可能性があります。
(1)ネガティブな可能性
モディ政権が今回の選挙結果を、消費者の不満ととらえれば、今後の州選挙で勝利するために、よりポピュリスト的な政策を打ち出してくるかもしれません。その場合、7月に正式発表される予算案で公共投資計画が削減される可能性があると考えられます。
加えて、今回の選挙結果や今後の政策によっては、インド国内の個人投資家のセンチメントにマイナスの影響を与える可能性があることにも注視が必要です。近年、インド国内の個人投資家による資金動向は、特に中小型株の株価への影響力が高まっているためです。
(2)ポジティブな可能性
与党インド人民党単独政権より、連立政権となることにより、打ち出される政策内容はより融和的なものとなり、その場合には、インド株式市場にとってもポジティブな材料になると考えられます。もちろん、意思決定は遅くなる可能性もありますが、バランスの取れた政策であれば、より多くの国民から支持される結果につながるでしょう。
過去を振り返ると、インドにおける連立政権は、経済や金融市場にとって必ずしも悪いものではありませんでした。例えば、1991年の経済の自由化や1998~2003年の国営企業の民営化など重要な改革のいくつかは連立政権下で実行されました。
ちなみに、モディ政権を支える最大の連立パートナーであるテルグ・デーサム党は、かなり進歩的で技術愛好家とされるナイドゥ氏が率いています。
また、これまでのモディ政権は、ヒンズー教至上主義の政策をとってきましたが、その姿勢をやや緩和させ、疎外されてきたイスラム教徒にも配慮したより包括的な政策に軌道修正される可能性もあると考えられます。
今後の見通しと運用方針
安定した連立政権が誕生すれば、インド国内の個人投資家のセンチメントは回復していくとみています。一方、外国人投資家は、インドの政策継続性を過小評価する可能性があり、この点は、今後のインド株式市場の不安定要因になるかもしれません。
我々は、3期目のモディ政権もこれまでの基本的な政策は継続していくと考えており、長期的なインド株式に対する成長ストーリーには変わりがないと考えています。
運用に際しては、持続的に発展が期待できる産業分野において、誠実な経営陣によって経営され、中長期にわたって持続的な成長が期待できる優良企業をしっかり厳選した上で投資を行っていく方針には変わりがありません。こうした投資哲学を一貫して継続していくことが、長期的にみれば好リターンの獲得につながると考えています。
当面、インド株式市場の不安定な動きは継続する可能性もありますが、株価が下落した場合には、優良企業を買い増す、あるいは新規に購入する良好な機会になると捉えています。
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