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- 短期的な波乱を乗り越え、中長期的には上昇トレンドに回帰すると期待されるインド株式
●トランプ関税ショックを受けて世界的な株安となるなか、インド株式もその影響を受けつつも、2025年3月以降、足元(2025年4月11日)までの期間では、他の主要株式に比べると相対的に底堅く推移
●短期的な景気の波や世界の金融市場における変動の影響から免れることはできないものの、相対的に高い経済成長力を背景に、中長期的にみればインド株式への投資は好リターンが期待できると考えられる
●中長期的な視点でインド株式への投資に向き合うことが肝要
トランプ関税ショックを受けて世界的な株安となるなか、インド株式は底堅く推移
2025年4月2日(現地時間)、トランプ米大統領が、全世界からの輸入品に対する関税を引き上げると発表したことを受けて、世界経済の先行きに対する悲観的な見方が広がったことなどから、翌3日以降、世界の株式市場は大幅安となりました。その後9日(現地時間)に、米国に報復措置を講じていない国・地域に対しては高水準の相互関税発動を90日間停止すると発表されたことを受けて、いったんは懸念が後退したものの、不安定な展開が続いています。
主要株式の騰落率をみると、トランプ関税に対する警戒感が高まった2025年3月以降、4月11日まででは多くが下落となりました。
一方、インド株式については、2024年9月後半以降、調整局面が続いていましたが、2025年3月に入って、インド準備銀行(中央銀行)が銀行システムへの流動性供給を発表し、融資条件を緩和して景気を下支える姿勢を示したことや、海外投資家による売りの一巡感などから、上昇に転じました。トランプ関税ショックを受けた世界的な株安の流れを受けて、インド株式も下落する局面もありましたが、2025年3月以降、4月11日まででみると底堅く推移しました。
この背景の1つには、インド経済は、トランプ関税によるマイナスの影響度合いが現時点では、相対的に小さいとみられることなどがあると考えられます。
※株価騰落率に関する言及は、すべて配当込み、現地通貨ベース
短期的には、政策効果に期待。中長期的には、インドの成長ストーリーに変化はない
2024年9月後半以降のインド株式における調整の要因の1つに、インドの景気減速懸念がありましたが、これに対して、2025年2月、インド政府は、中間所得層を支援する所得減税などを盛り込んだ財政出動を発表(2025年度連邦政府予算案)したほか、インド準備銀行(中銀)は、ほぼ5年ぶりとなる利下げを発表しました。
景気は緩やかに回復に向かうとの期待が高まっていた矢先に、今回のトランプ関税とそれによる世界経済への影響に対する懸念が高まりました。
こうしたなかで、インド中銀は4月9日、追加利下げを実施しました。インド中銀は、インフレ見通しは穏やかとの見方を示したほか、景気についても回復傾向にあるとの認識を示しましたが、同時にトランプ関税など不確実性が高まっていることなどを警戒しています。そのため、金融政策スタンスを「中立」から「緩和的」に変更し、さらなる追加利下げの余地を示唆しました。インド中銀は、インフレの再加速やルピー安懸念に配慮しながら、利下げを継続して景気を下支えていくものとみられます。
いかに経済が高成長を遂げている国・地域であるとしても、その中で短期的な景気の好・不況の波は存在するものです。しかし、インドは世界の人口大国であり、特に若い人口が多いといった構造的な優位性を有しています。多くの若い人々が労働によって所得を増やし、消費を拡大していくことが経済成長をけん引し、中長期的に、主要国の中でも相対的に高い経済成長が期待できると考えられています。
インド株式は、足元で短期的な国内景気の減速やトランプ関税ショックなどの外的要因の影響を受けて値動きが大きい展開となっていますが、中長期的にみれば、相対的に高い経済成長力を背景に、世界株式を上回る好リターンが期待できるとの見方には変わりがありません。
【ご参考|過去の実績による試算】 インド株式は、過去においても下落局面に直面。ただし、その後は上昇トレンドに回帰
2024年9月後半以降の直近の下落局面をみると、MSCIインド株価指数(配当込み、現地通貨ベース)は2024年8月末~2025年2月末の6ヵ月間で約-15.5%となりました。
2000年以降、足元までの期間(計算期間:1999年12月末~2025年3月末)において、6ヵ月間(月次ベース)で-15%超の下落局面は、26回ありました。
各下落局面のボトムから、1年後、3年後、5年後、10年後のリターンを検証すると、1年後および3年後ではマイナスのリターンとなるケースも残りましたが、5年後、10年後とより長い期間でみると、すべてのケースでプラスのリターンとなりました。
これらのデータを用いて、インド株式の下落局面からの回復のイメージを試算すると、インド株式は、国内要因(国内景気や政治動向など)だけでなく、外的要因(過去においては、2008年のリーマン・ショックなど)などを背景とした下落局面を経験しても、その後、中長期的にみれば上昇トレンドに回帰したことが示されました。
もちろん、日本からインド株式に投資を行う場合には、インド株式の株価動向だけでなく為替要因も考慮しなくてはなりませんが、いずれにしても高い経済成長力を背景に、インド株式はこれからも魅力的な投資対象でありつづけるとみられます。中長期的な視点で、インド株式への投資に向き合うことが肝要であるといえるでしょう。
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