●足元でインド株式は下落。インド株式の高バリュエーションや、インフレ懸念の再燃、景気・企業業績鈍化懸念などが重荷に
●こうした市場環境下、当ファンドの基準価額も下落
●当面、値動きの大きい展開が続く可能性に警戒。ただし、インド経済や企業利益の中長期的な成長性に対する見方には変わりがない。運用に際しては、中長期的に持続的な成長が期待できる優良企業への厳選投資をブレることなく継続

インド株式市場の状況｜2024年9月以降は変調。2025年年初以降も下落基調

これまでインド株式は、相対的に高い成長期待を背景に、他の主要株式資産に比べて好パフォーマンスを示してきましたが2024年9月以降、変調がみられています。

2024年9月後半、中国の景気刺激策への期待から、海外投資家の注目が中国株式にシフトする一方、それまでの株価上昇を背景にバリュエーション（投資価値評価）水準が高まっていたインド株式については、利益を確定する動きが強まりました。こうした流れを受けて、インド株式は反落しました。その後も、インフレ懸念の再燃や、景気や企業業績の鈍化懸念などがインド株式の株価の重荷となる展開が続きました。

また、2024年12月半ばには、米金融当局が予想通り利下げを実施したものの、タカ派的な見通しを発表したことから、米長期金利が上昇し、米ドル高が進展したことなども、海外投資家のリスク回避の動きにつながり、マイナスの影響となりました。

さらに、2025年年初以降、2024年10-12月期の決算発表が始まり、コンセンサス予想を下回る実績や今後の見通しを示す企業が散見されたことも、マイナスの影響となっています。

当ファンドのパフォーマンス状況｜2025年年初以降、下落

iTrustインド株式(以下、当ファンド)は、インド企業の株式に厳選投資を行うアクティブ・ファンドです。

株価指数などに連動した運用成果を目指すインデックス・ファンドとは異なり、ピクテのインド株式運用チーム（以下、運用チーム）が丹念な企業調査や現地調査を行い、その上で投資銘柄を厳選し、中長期的に好リターンを目指しています。

2024年12月末時点の組入銘柄数は36銘柄ですが、これらの組入銘柄は、株価指数の構成銘柄および投資比率、さらにはセクター配分比率などとは異なる観点から、厳選されています。そのため、当ファンドと株価指数のパフォーマンスには差が生じます。

2024年の１年間でみると、2023年に引き続き、当ファンドは参考指数（MSCIインド10/40株価指数）および、その他の代表的な株価指数を上回るパフォーマンスとなりました。しかし、2025年年初以降、当ファンドは下落に転じています。また、下落率は、大型銘柄中心に構成されている株価指数（CNXニフティ指数、S&P BSEセンセックス指数）より僅かに大きくなりました（１月28日時点）。

2025年年初以降の基準価額の下落の背景には、前述のように景気や企業業績の鈍化懸念、海外投資家のリスク回避の動きなどを受けて、当ファンドの組入銘柄の株価が下落したことに加えて、円高進行による為替要因のマイナスもありました（1月28日時点）。

また、特に基準価額へのマイナス寄与度が大きかったのは、直近で発表された四半期決算の内容が、投資家の期待に届かなかった銘柄でした。これらの銘柄は、高い成長期待から、2024年まで株価が上昇し、バリュエーション（投資価値評価）水準が高まっていました。

ただし、今回の四半期決算が投資家の期待に届かなかったことで、株価が下落した銘柄についても、良好なファンダメンタルズ（基礎的条件）を有し、今後も中長期的に持続的な成長が期待できる優良企業であるとの見方には、現時点では変わりがありません。高いバリュエーション水準についても、中長期的な成長性を反映したものと考えられます。

当面は、値動きの大きい展開が続く可能性にも警戒しつつ、真の優良企業への厳選投資を継続

当面は、これまで株価が大きく上昇してきた銘柄を中心に、値動きの大きい展開が続く可能性は残されており、市場動向をしっかり注視していく必要はあると考えます。しかし、こうしたなかでも、当ファンドの運用に際しては、今後も引き続き、インドの魅力的な人口動態や成長を後押しする政策などを背景に、中長期的に持続的な成長が期待できる優良企業を厳選した上で投資を行っていく方針に変わりはありません。この投資方針をブレることなく、一貫して実行していくことが、中長期的に良好な投資成果を得るためには重要であると考えています。

また、当ファンドの組入銘柄として厳選される企業の株価は、ファンダメンタルズが脆弱な企業や景気サイクルに業績が振れやすい企業などに比べると、市場の下落局面で、下値耐性を示す傾向があると考えられます。

インド経済や企業利益の中長期的な成長期待には変わりがありません。今後も、インド株式は、短期的には上昇・下落を繰り返しながらも、中長期的にみれば、世界の中でも高い成長期待を背景に、相対的な好パフォーマンスが期待できる資産クラスであると考えられます。