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- トランプ・ショック下で安定性を発揮する公益株式 注目の理由とは?
2月半ば以降、世界の株式市場がハイテク関連株中心に下落する中、公益株は底堅く推移
電化の進展、AIの普及やデータセンターの増設などによる電力需要増、グリーンシフトなどによる設備投資拡大がけん引する世界公益業界の中長期的な成長トレンドに変更なし
トランプ2.0下でインフレ、景気後退懸念が高まるなか、公益企業は、1)業績の相対的な安定性、2)物価上昇に強い、3)投資収益の安定に寄与する高い配当などが注目されるとみる
■ 2月半ば以降、ハイテク関連株が調整する中、公益株は底堅く推移
世界の株式市場(現地通貨べース)は、2025年2月18日を直近のピークに下落基調となっています。
背景には、2月半ば以降、米国の景気減速懸念の高まりや、米トランプ政権による関税政策への警戒感などから、投資家のリスク回避の動きが強まっていることが挙げられます。
主要業種・スタイル、資産別(現地通貨べース)でみると、これまで株価が大きく上昇し、バリュエーション(投資価値評価)水準に割高感が高まっているハイテク関連(世界情報技術(IT)株式)などが大きく下落する一方、世界公益株式などは相対的に底堅く推移しました。投資環境の不透明感が高まる中、ディフェンシブ性(業績が景気に左右されにくい特性)の高いセクターが相対的に選好されているとみられます。
なお、米ドル・円為替市場は、2月18日に1米ドル152円を付けた後、日米金利差の縮小観測などを背景に、円高が進行しました。
■ 今後の見通し、運用方針
当面は、米トランプ大統領の関税政策の動向や世界的な貿易戦争に発展する可能性、地政学的リスクの高まりなど、米国をはじめ世界経済に対するマイナスの影響を巡るさまざまな見方を受けて、世界の株式市場や為替市場は大きく変動する可能性もあり、引き続き注視が必要と考えます。
政策如何にかかわらず、電化の進展による電力需要増加や発電コストが低いエネルギーへの移行による設備投資の拡大が公益業界の中長期的な成長ドライバーになるとの見方に変わりありません。
市場の先行き不透明感が高まるなかでは、公益企業は、1)業績の安定性(業績が景気に左右されにくくい特性)、2)関税引上げで予想される物価上昇に強いこと、3)投資収益の安定に寄与する高い配当などが注目されるとみています。こうした環境下、株価は相対的に割安な水準にもなっており、株式市場の調整は公益株式の中長期的な投資機会を提供すると考えます。
■ トランプ2.0下の政策がもたらす物価上昇と景気減速リスクに強い公益業界
トランプ2.0下で懸念されるのが、トランプ関税などの政策がもたらす物価上昇と景気減速リスクです。輸入に対する追加関税の導入は物価上昇と消費の鈍化をもたらし、景気減速要因になると考えられます。こうした環境下では、物価上昇と景気減速による影響が相対的に少ない公益企業に注目すべきと考えます。関税引上げの影響を回避するための製造拠点の米国へのシフトは電力需要増加要因となります。
■ 業績の安定性:相対的にリスクの低い資産~安定した業績が値動きの安定性に
公益企業の業績は、電力・ガス・水道などの日常生活に不可欠なサービスを提供しているため、一般的に景気の良し悪しに左右されにくく、収益基盤が相対的に安定してることから、相対的に低いデフォルト率(債務不履行率)となっています。景気減速懸念が高まるなか、こうした公益企業の事業の安定性が注目されています。
■ 物価上昇に強い公益株式~物価上昇を上回る配当の増加と足元の底堅い業績
過去の実績では、米国の公益企業の配当は、物価の上昇を上回って増加しています。足元の公益企業の利益は、景気後退懸念が高まる中でも、電化の進展による電力需要増加、グリーンシフトなどによる設備投資拡大を背景に底堅く推移しており、増益を反映した配当の増加が期待されます。
■ 投資収益の安定に寄与する高い配当
株式の投資収益の源泉は、値上がり益と配当収入です。世界公益株式は主要株式に比べて利益に対する配当の水準が高い傾向があり、配当利回りが高い傾向となっています。世界公益株式の株価は市場環境によって変動しましたが、配当収入は着実に積み上がり全体の投資収益を下支えしました。世界公益株式の投資収益に占める配当収入の割合は、世界株式と比較して大きくなっており、投資収益の安定に寄与しています。
■ (ご参考) 2000年頃と同様に世界公益株式の相対パフォーマンスは次のサイクルに入るか?
過去の実績では、2000年から2008年にかけて、世界公益株式のパフォーマンスは世界株式に対して優位となりました。その後、2009年以降は世界株式が優位となりました。足元では、世界公益株式が優位に転換した2000年当時の市場環境との類似点がいくつかみられることから、再び世界公益株式が優位となり、中長期的な投資機会となる可能性もあるとみられます。
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