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- 投資戦略(短縮版) ~ 米国の「トリプルブルー」を受けたポートフォリオの修正を検討
米国では上下両院ともに民主党が制することとなり、バイデン新政権が思い切った経済運営を行えるようになり、景気回復への確度が高まっています。株式部分では割安株や景気敏感株へのシフトを進めます。債券については米国の長期金利上昇リスクを警戒し、物価連動国債の組入れを高めに維持すると同時に、米国以外の債券への分散投資を進める方針です。
12月の投資実績と市場環境
クアトロの2020年12月30日の基準価額は、前月末比で +145円(+1.22%)の12,051円となりました。 (図表I参照)。2020年12月の基準価額変動要因の内訳は、株式+77円、債券+33円、オルタナティブ+34円、先物・オプション+10円などとなりました。
図表 I:設定来基準価額推移
日次、期間:設定日(2013年12月12日)~2020年12月末
※クアトロの基準価額は、実質的な信託報酬等控除後、また換金時の費用・税金等は考慮しておりません。
世界株式市場は、新型コロナの変異ウイルスによる感染ペース拡大への懸念で下落する場面もありましたが、米国の追加経済対策への期待感や英国と欧州連合が通商協議で合意に至ったこと等を背景に上昇基調となりました。
世界国債市場について、新型コロナウイルスのワクチン認可・接種の広がりや米国の追加経済対策が年内に合意されるとの期待等を背景に利回りが上昇した局面もありましたが、欧州中央銀行の金融緩和政策への期待や新型コロナの変異ウイルスによる感染ペースの拡大等から利回りは低下し、月を通して小幅な動きに留まりました。
ドル・円為替市場は、新型コロナの変異ウイルスによる感染ペース拡大への懸念が高まったことや、米連邦公開市場委員会(FOMC)で金融緩和政策の継続が表明されたことなどを背景に、円高・ドル安となりました。ユーロ・円為替市場は、ユーロ圏の経済対策でユーロ圏景気が下支えされるとの観測が高まったことや、新型コロナウイルスのワクチン接種が欧州でも開始される運びとなったことなどから、円安・ユーロ高となりました。
図表 II:設定来基準価額と各主要資産のパフォーマンス
日次、円換算、期間:設定日~2020年12月末
図表 III:設定来基準価額と各主要資産のリスク
日次、円換算、年率化、20日移動、期間:設定日(2013年12月12日)~2020年12月末
※クアトロの基準価額は、実質的な信託報酬等控除後、また換金時の費用・税金等は考慮しておりません。※先進国株式:MSCI世界株価指数(配当込み)、世界国債:FTSE世界国債指数、新興国株式:MSCI新興国株価指数(配当込み)、日本国債:FTSE日本国債指数、1営業日前ベース
出所:ブルームバーグのデータを使用しピクテ投信投資顧問作成
運用状況と今後の運用方針
当月の投資行動は、株式(図表V①)では割安株や景気敏感株の組入れが比較的大きいテーマ戦略株式の配分比率を引き上げました。またスイスの株式市場全体の値動きを反映するスイス株式指数先物を売却する一方、同じスイス株でも中小型株式の比率がやや大きいスイス株式(ETF)を新たに組入れました。
図表 IV:クアトロの投資対象別構成比推移
月次、期間:2013年12月12日~2020年12月末
図表 V:投資対象別構成比(概算値)
2020年12月末(当月末)、2020年11月末(前月末)
※投資対象別構成比は、マザーファンドの各投資先ファンドを主な投資対象によって分類し、債券・株式・コモディティ・オルタナティブ・先物、キャッシュ・短期金融商品等と表示しています。「キャッシュ・短期金融商品等」には、投資先ファンドで保有する現金等の比率は含みません。※構成比は実質比率(マザーファンドの組入比率×マザーファンドにおける当該資産の組入比率)です。構成比は四捨五入して表示しているため、それを用いて計算すると誤差が生じる場合があります。
収益への寄与度をみると、株式では世界環境株式、テーマ戦略株式やセクターニュートラルクオリティ世界株式(ETF) 等を筆頭に、全戦略がプラス寄与となりました(図表VI①)。
オルタナティブでは大中華圏(グレーター・チャイナ)株式、フィジカル・ゴールドやグローバル株式ロング・ショート等全戦略がプラス寄与となりました (図表VI②)。
債券では、グローバル転換社債(ETF)、世界物価連動国債(ETF)や米ドル建て新興国債券(円)などがプラスに寄与した一方、米ドル建て公共債(円)や先進国高利回り優良国債(円)などの戦略がマイナス寄与となりました(図表VI③) 。
設定来実績(年率)
期間:2013年12月12日~2020年12月末
※変動要因は月次ベースおよび設定来の基準価額の変動要因です。基準価額は各月末値です。設定来の基準価額は基準日現在です。※変動要因はマザーファンドの組入ファンドの価格変動を基に委託会社が作成し参考情報として記載しているものです。項目(概算値)ごとに円未満は四捨五入しており、合計が一致しない場合があります。※信託報酬等は、当ファンドの信託報酬や信託事務に要する諸費用等を含みます。その他には、当ファンドで直接行われる為替予約取引の要因等を含みます。※記載の変動要因はマザーファンドの組入比率とマザーファンドの組入ファンドの価格変動および組入比率から算出した組入ファンド別の要因分析を主な投資対象ごとに集計したものです。したがって、組入ファンドの管理報酬等や、為替変動要因、ヘッジコスト、ヘッジ比率の変動による要因等は各投資対象に含まれます。また、マザーファンドの投資先ファンドであるピクテ・デルタ・ファンドの要因は先物・オプションに、短期金融商品等を主な投資対象とするファンドの要因は、その他に含めています。※設定来実績収益率およびリスク(標準偏差)に用いた基準価額は信託報酬等控除後です。当資料における実績は、税金控除前であり、実際の投資者利回りとは異なります。また、将来の運用成果等を示唆あるいは保証するものではありません。
図表VII:円資産比率推移(概算値)
月次、期間:2013年12月末~2020年12月末
※円資産の比率は、当ファンドで保有しているコール・ローン等の比率と、円建て資産の比率、為替予約の比率から計算した概算値です。円建て資産の比率は、各投資先ファンドで組入れている円建て資産と各投資先ファンドの実質組入比率から算出しています。為替予約の比率は、当ファンドで直接行う為替予約の比率です。出所:ピクテ・アセット・マネジメント
今後の方針については、米国では上下両院ともに民主党が制することとなり、バイデン新政権が思い切った経済運営を行えるようになり、景気回復への確度が高まっています。このため株式市場には一段の上値余地が見込まれ、割安株や景気敏感株へのシフトを進めると同時に、コールオプションの買いを通じた株式の組入れ比率の引上げを検討します。債券については米国の長期金利上昇リスクを警戒し、物価連動国債の組入れを高めに維持すると同時に、米国以外の債券への分散投資を進める方針です。
株式:景気回復の恩恵を受ける新興国とりわけアジア市場
【引き続きアジア新興国や日本の株式市場に明るい見通し】
中国の経済活動はコロナ禍前のトレンド水準を回復しており、名目輸出も高水準にあります。新興国とりわけアジアの新興国が、中国経済の力強い回復の恩恵を引き続き享受すると考えます。加えて、日本も堅調なアジア経済と世界貿易回復の恩恵を享受することが予想されます。政府は12月8日、事業規模を7,000億ドル(73.6兆円)程度とする第3次追加経済対策を閣議決定しており、消費需要の喚起が期待されます。以上から、新興国と日本のオーバーウェイトを継続します。
【業種別では、景気敏感セクターがけん引役に】
2021年の株式市場では景気敏感セクターがけん引役になると見ており、(景気変動の影響を受け難い)ディフェンシブ・セクターの組入れの引き下げが理に適うと考えます。従って、ディフェンシブ・セクターの構成比率が最も高いスイス株式をニュートラルに引き下げました。
景気敏感セクターの中でも、世界貿易や設備投資の回復から恩恵を受けることが期待される資本財・サービスや素材セクターを選好します。情報技術(IT)セクターは2020年に大幅に上昇したことを勘案すると、先行きにはあまり期待が持てないと考えます。また、欧米等で規制強化が予想されています。英国が、新しい競争法を施行し、大手IT各社に、グローバルベースの年間売上の最大10%に相当する罰金を課す可能性があることに加え、ユーロ圏は反トラスト法の度重なる違反に対して、企業分割を求めるとの脅しをかけています。
図表1:中国の主要活動指数
2019年12月=100、期間:2019年12月~2020年12月
出所:ピクテ・アセット・マネジメント
図表2:日本の輸出額の伸び(対中国及び対欧州)
前年比
出所:ピクテ・アセット・マネジメント
図表3:米国株式のEPS予想及び12ヶ月予想PER
※EPS予想(実質)は、3-5年EPS成長率予想‐米国消費者物価指数の5年先予想平均
出所:ピクテ・アセット・マネジメント
【米国株式の割高感を警戒】
米国株式に関しては、12ヵ月先予想PERは、1999年に一時的に付けた約23倍に達しており、割高感が強まっているように思われます。米国市場では新株発行が特に活況を呈しており、市場の過熱感が強まるリスクが示唆されます。加えて、グローバル経済がロックダウン解除を経て回復していく状況では、米国市場は(既に割高感の目立っている)テクノロジー・セクターの組入れ比率が高いことから、向かい風を受けることとなると考えています。従って、米国株式のアンダーウェイトを継続します。
債券・為替:引き続き注目を集める新興国債券市場
【インカム収益獲得において新興国債券に投資妙味】
マイナス利回りで取引されているグローバル債券の時価総額は約18兆ドルと過去最高を更新し、米国を除く世界の全ての国のGDPの規模を上回っています。こうしたなかで、新興国債券全般、とりわけ中国国債が、プラスの実質利回りの源泉として傑出しています。直近の経済統計から確認されるのは、中国経済が極めて堅調だということです。全ての産業セクターがコロナ禍前の活動の水準を回復し、(世界貿易に占める中国貿易の比率は過去最高水準に達するなど)輸出が急増する一方で、インフレは抑制されています。加えて、中国10年国債の米国10年国債に対するスプレッドは過去最高水準に達していることから、人民元建て債券に対して強気な姿勢を維持しています。
【新興国通貨の割安感が現地通貨建て新興国債券の支援要因に】
新興国通貨がドルに対して割安な水準にあると考えており、新興国通貨が今後数ヵ月のうちに上昇すれば、向こう数ヵ月、現地通貨建て新興国債券価格の押し上げ要因となると考えています。従って、現地通貨建て新興国債券のオーバーウェイトを継続します。
図表4:米中10年国債利回り差と物価上昇率差
2021年1月11日時点
出所:ピクテ・アセット・マネジメント
図表5:各通貨対米ドルレートのフェアバリューからの乖離
2020年12月18日時点
出所:ピクテ・アセット・マネジメント
【利回り水準面から、スイス国債を敬遠】
ソブリン債では、スイス債券をアンダーウェイトに引き下げました。平均利回りが、経済・医療危機のさなかの3月半ばに-0.6%に低下し、以降低水準で推移しており、経済・医療両面とも改善が進んだ現状ではこうした利回り水準は正当化されないと考えます。
【先進国社債に先行き不安】
先進国社債の先行きは微妙です。今後の流動性の状況は現状ほど良好とは限らず、超緩和的な金融政策の恩恵を大きく受けてきた社債は苦戦を強いられる可能性があると考えます。特にハイイールド債には極めて慎重な姿勢を維持します。景気循環の現在の局面では格下げ等、信用の悪化が珍しくないことに加え、債券の新規発行が相次いでいるからです。
一方で、先行きが最も明るいと考えるのは、財政刺激策と金融緩和策双方の恩恵を受けることが予想される米国投資適格社債だと考えています。追加の財政刺激策が近日中にも発表され、新型コロナウイルス感染者の急増による経済への打撃が相殺されると予想していることが同資産クラスにとっての支援要因になる可能性があると考えています。
図表6:各資産のバリュエーション、過去平均(20年)から見た水準
2020年12月11日時点
※株式:株価純資産倍率(PBR)、12ヵ月先株価収益率(PER)、一株あたり利益トレンドベース株価収益率(PER)、株価売上高倍率(PSR)、ERP(先進国のみ)、現金、債券:利回りー名目GDPトレンド、商品:ブルームバーグスポット価格インデックス/世界インフレ率、通貨:PPPからの乖離、金:スポット価格/米国消費者物価指数、インフレ連動債:利回りー実質GDP成長率、新興国通貨建て債券:利回りー消費者物価指数などをもとに作成 ※2002年、2009年景気後退前の平均 各資産のバリュエーション、過去平均(20年)から見た水準:過去20年で何%の水準にあるかを表示
出所:ピクテグループ
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