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- クアトロ|債券代替としての役割は果たせたのか?
● ピクテでは、設定来でみて、クアトロが債券代替として一定の役割を果たしてきたと評価
● 評価に際しては「低リスク資産」の日本国債、米国国債( ヘッジあり) 、米国社債( ヘッジあり)と比較。クアトロは設定来でこれらを上回るパフォーマンスに
● クアトロは、サプライズに強い分散型ポートフォリオを構築し、さまざまな可能性を考慮したうえで、引き続き慎重な姿勢で臨む方針
クアトロの設定来のリスクは日本国債や米国国債(ヘッジあり)と同じく低い水準
クアトロは、リスクを抑えた「負けない運用」注を目指すコンセプトのもと、2013年12月に運用を開始しました。設定来のリスクは日本国債や米国国債(ヘッジあり)と同じく低い水準です(図表1)。以下、日本国債、米国国債(ヘッジあり)、米国社債(ヘッジあり)をまとめて「低リスク資産」として話を進めます。
注:「負けない運用」とは、下落リスクを低減しつつ中期的に安定した収益を獲得する運用をいいます。
図表1:クアトロと主要な資産および米ドル・円のリスクの比較
日次、円ベース、年率、期間:2013年12月12日(クアトロ設定日)~2022年10月21日
※クアトロの基準価額は信託報酬等控除後。換金時の費用・税金等は考慮しておりません。
※日本国債:FTSE日本国債指数、米国国債:FTSE米国国債指数、米国社債:Bloomberg米国社債指数、日本株式:TOPIX、米国株式:S&P500種株価指数。米国国債(ヘッジあり)および米国社債(ヘッジあり)のリスクについては、米ドル・円のスポットレートおよび1ヵ月フォワードレートから計算された為替ヘッジコスト/プレミアムを用いてピクテ・ジャパンが計算しています。
※投資対象ファンドによって基準価額に反映する日が1-2日異なるため、比較指数および為替レートは1営業日前ベースとしています。
※リスクは日次の騰落率の標準偏差(年率換算)
出所:ブルームバーグのデータを基にピクテ・ジャパン作成
限定的なものにとどまる「低リスク資産」の収益力
インフレの高進を受けて、主要中央銀行の多くが金融引き締めを進めるなか、世界的に金利水準が上昇しています。とはいえ、日本銀行は金融緩和を継続しており、国内債券の利回りは依然として極めて低い水準にあります。また、内外金利差の拡大により為替ヘッジコストが上昇していることから、外貨建て債券の利回りも為替ヘッジコスト控除後では低位にとどまります。
図表2に示したように、指数ベースでみた利回り(2022年10月21日時点)は、日本国債が0.55%、為替ヘッジコスト控除後の米国国債が0.13%、米国社債が2.10%となっています。このように、「低リスク資産」の収益力が限定的なものにとどまっている現状は認識しておく必要があるでしょう。
図表2:【上段】日本国債、米国国債、米国社債の利回りと米国政策金利の推移
【下段】米ドル・円のヘッジコストと米国国債および米国社債の為替ヘッジコスト控除後利回り
日次、期間:2013年12月12日(クアトロ設定日)~2022年10月21日
グラフ右端数値は2022年10月21日時点
※日本国債:FTSE日本国債指数、米国国債:FTSE米国国債指数、米国社債:Bloomberg米国社債指数
※為替ヘッジコストについては、米ドル・円のスポットレートおよび1ヵ月フォワードレートからピクテ・ジャパンが計算しています。
※米国政策金利:フェデラルファンド(FF)金利の誘導目標範囲上限
出所:ブルームバーグのデータを基にピクテ・ジャパン作成
なお、為替ヘッジを行わなければ米国国債で4.14%の利回り、米国社債で6.10%の利回り(ともに2022年10月21日時点)となりますが、その場合には、為替レートが変動する影響を受けることとなり、低リスクでの投資とはならない点に注意が必要です。例えば、クアトロの設定来でみた年率リスクは、図表1に示したように、米国国債(ヘッジあり)が4.48%であったのに対して、為替ヘッジを行わない米国国債(円換算)では8.67%となりました。
債券代替として一定の役割を果たしてきたクアトロ
「低リスク資産」の収益力が限定的なものにとどまるなか、債券などと同じように、リスクを抑えながらもインフレによる資産価値の実質的な目減りの影響をはね返しつつ、長期的に資産価値を守る「資産保全」の考え方を実践していくための運用手段に対するニーズの受け皿となったのがクアトロです。
ピクテでは、設定来でみて、クアトロが債券代替として一定の役割を果たしてきたと評価しています。図表3は、クアトロと日本国債、米国国債(ヘッジあり)、米国社債(ヘッジあり)のパフォーマンス推移を示しています。
図表3:【上段】クアトロと日本国債、米国国債(ヘッジあり)、米国社債(ヘッジあり)のパフォーマンス推移
【下段】日本国債、米国国債、米国社債の利回りと米国政策金利の推移
日次、期間:2013年12月12日(クアトロ設定日)~2022年10月21日
上段のパフォーマンスは円ベース、2013年12月12日=100として指数化
グラフ右端数値は2022年10月21日時点
※クアトロの基準価額は信託報酬等控除後。換金時の費用・税金等は考慮しておりません。
※米国国債:FTSE米国国債指数、米国社債:Bloomberg米国社債指数。指数はいずれもトータル・リターン・ベース。
※投資対象ファンドによって基準価額に反映する日が1-2日異なるため、比較指数および為替レートは1営業日前ベースとしています。
出所:ブルームバーグのデータを基にピクテ・ジャパン作成
クアトロの設定日を100として、2022年10月21日時点で、クアトロが111.2、日本国債が105.4、米国国債(ヘッジあり)が93.5、米国社債(ヘッジあり)が103.2となりました。米国国債(ヘッジあり)と米国社債(ヘッジあり)については、米国政策金利が上昇し始めた2022年に入ってから急速にパフォーマンスを悪化させています。クアトロも2022年に入ってからは苦戦が続くものの、分散投資の徹底と機動的な資産配分の変更が奏功し、設定来では上記の「低リスク資産」を上回るパフォーマンスとなりました。
なお、いずれも換金時の費用・税金等は考慮していませんが、クアトロが信託報酬等控除後であるのに対して、日本国債、米国国債(ヘッジあり)、米国社債(ヘッジあり)は指数ベースのため信託報酬等が控除されていない点に留意が必要です。
「負けない運用」注を目指すクアトロは為替にもバランスよくリスクを配分
一方、クアトロのパフォーマンスは、為替ヘッジを行わない米国国債(円換算)と米国社債(円換算)に対しては大きく劣後しました(図表4)。クアトロの設定日を100として、2022年10月21日時点で、クアトロが111.2となったのに対して、米国国債(円換算)が153.5、米国社債(円換算)が169.4となりました。
図表4:クアトロと米国国債(円換算)、米国社債(円換算)および米ドル・円のパフォーマンス推移
~クアトロのパフォーマンスは、円安効果を享受した米国国債(円換算)と米国社債(円換算)に対しては大きく劣後。ただし、リスク水準が大きく異なるためパフォーマンス比較の対象としては妥当でない
日次、円ベース、期間:2013年12月12日(クアトロ設定日)~2022年10月21日、2013年12月12日=100として指数化
グラフ右端数値は2022年10月21日時点
※クアトロの基準価額は信託報酬等控除後。換金時の費用・税金等は考慮しておりません。
※米国国債:FTSE米国国債指数、米国社債:Bloomberg米国社債指数。指数はいずれもトータル・リターン・ベース。
※投資対象ファンドによって基準価額に反映する日が1-2日異なるため、比較指数および為替レートは1営業日前ベースとしています。
出所:ブルームバーグのデータを基にピクテ・ジャパン作成
これには為替が大きく影響しています。米ドル・円は、クアトロの設定来で46.06%の円安、2022年年初来で30.21%の円安となっています(2022年10月21日時点)。特に、足元で円安効果をどの程度享受できたかの差がパフォーマンス格差として大きく顕在化しています。図表1でみたように米ドル・円の年率リスクはクアトロの設定来で8.42%に達するため、中長期でみて3~5%程度の年率リスクを想定するクアトロの運用において、為替へのリスク配分は全体のバランスをみつつ適切と考えられる水準にコントロールしています。このため、急速に円安が進行した足元の局面では、結果として、クアトロの基準価額は円安によるプラスの影響を享受しきれていない格好となっています。これに対して、上記グラフ中の米国国債(円換算)と米国社債(円換算)は、円安によるプラスの影響を享受した格好となっています。
パフォーマンスが良いに越したことはないものの、この差は、どのようなリスクを取るかという考え方の問題ともいえます。クアトロは、リスクを抑えた「負けない運用」注を目指すコンセプトのファンドであり、為替ヘッジを行わない米国国債(円換算)と米国社債(円換算)はパフォーマンス比較の対象としては妥当でないと考えます。この点に関しては、図表1のリスク水準の比較からも明らかでしょう。
注:「負けない運用」とは、下落リスクを低減しつつ中期的に安定した収益を獲得する運用をいいます。
今後の方針
主要中央銀行の多くが進める金融引き締めは依然道半ばにあると考えられるものの、そう遠くない将来に一定の着地点に達するものと見込まれます。急速な金融引き締めは、金融・経済を強いストレスにさらし、これが、今後、思わぬリスクを顕在化させる可能性も想定されるためです。実際に、英国中央銀行(BOE)が英国の年金基金の問題から一時的に量的金融引き締めを撤回せざるを得なくなったほか、日本銀行が金融緩和の継続に起因する円安の進行に対応するため1998年6月以来となる円買い介入に踏み切るなど、世界的に進められる急速な金融引き締めの影響によると考えられる歪みが散見されるようになっています。
このような環境下、クアトロは、サプライズに強い分散型ポートフォリオを構築し、さまざまな可能性を考慮したうえで、慎重な姿勢で臨む方針です。また、「低リスク資産」の収益力が限定的なものにとどまるなか、クアトロは、長期的に資産価値を守る「資産保全」の考え方を実践していくための運用手段に対するニーズの受け皿となるべく、引き続き、リスクを抑え、安定的にリターンを生み出すことを目指してまいります。
図表5:基準価額の推移
日次、期間:2013年12月12日(クアトロ設定日)~2022年10月21日
※基準価額は1万口当たりで表示
※基準価額は信託報酬等控除後
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