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- 投資戦略~リスク資産の段階的な削減を検討
ワクチン接種の進展に伴う経済再開への動きから、世界経済には力強さが見られます。しかし、米国では米連邦準備制度理事会(FRB)が夏以降に量的金融緩和の縮小の議論を開始すると見られ、景気拡大ペースは次第に緩やかになっていくものと思われます。
このため、当面は株式などリスク資産に対して前向きなスタンスを継続するものの、ポートフォリオのリスクを段階的に引き下げることも検討します。
6月の運用状況:6月末の基準価額は前月末比で0.5%上昇しました
クアトロの2021年6月30日の基準価額は、前月末比で+60円(+0.5%)の12,297円となりました。
図表 1:基準価額の推移
日次、期間:設定日(2013年12月12日)~2021年6月末
※クアトロの基準価額は、実質的な信託報酬等控除後、また換金時の費用・税金等は考慮しておりません。
基準価額の変動要因:株式、債券、先物・オプションがプラス要因に
2021年6月の基準価額変動要因は、株式、債券、先物・オプションがプラス要因となった一方で、オルタナティブがマイナス要因となりました。
図表 2:基準価額の変動要因
月次、期間:設定日(2013年12月12日)~2021年6月末
今月の投資行動の振り返り
今後の見通し
ワクチン接種の進展に伴う経済再開への動きから、世界経済には力強さが見られます。しかし、米国では米連邦準備制度理事会(FRB)が夏以降に量的金融緩和の縮小の議論を開始すると見られ、景気拡大ペースは次第に緩やかになっていくものと思われます。
このため、当面は株式などリスク資産に対して前向きなスタンスを継続するものの、ポートフォリオのリスクを段階的に引き下げることも検討します。
コラム:債券デュレーションに見るクアトロのファンド運用の機動性
ご参考図表の緑の線で示したのはクアトロの「ウェイト加重修正デュレーション」(以下、デュレーション)で、クアトロの運用パフォーマンスの金利変動に対する感応度を表します。デュレーションは金利の動向に合わせて常に調整する必要があり、例えば、金利上昇(債券価格下落)圧力が強い局面では、デュレーションを短縮するといった調整を行います。
クアトロのデュレーションが月末ベースで設定来の最大値を記録したのは2020年2月末の約4.7年でしたが、そこからデュレーションの短期化を進め、2021年4月末には約2.2年と、過去1年強の間に元々あったポートフォリオの金利感応度を半分以下にまで引き下げたことになります。これは、中国が世界に先駆けて金融引き締めを始めたことや、世界的に金利水準が低く、金利の低下余地が乏しくなったことを背景とした投資行動で、クアトロのファンド運用の機動性を示す一例です。結果的に、その後の金利上昇に対応できた格好となっています。
ピクテではクアトロの資産配分比率決定の分析ポイントとして4つの柱(マクロ経済分析、流動性分析、バリュエーション(相対的価値)分析、センチメント(テクニカル)分析)を掲げており、今後も、こうした分析に基づいて機動的な運用を行っていく方針です。
(ご参考)ウェイト加重修正デュレーションの推移
月次、期間:2013年12月末~2021年6月末
※データは過去の実績であり、将来の運用成果等を示唆あるいは保証するものではありません。
出所:ピクテ・アセット・マネジメント
資産配分比率決定の分析ポイント:4つの柱
1)マクロ経済分析~米国のインフレ率の急激な上昇は一過性と認識
ピクテの景気循環指標は、米国における物価上昇圧力がより明白になってきていることを示しています。価格変動の大きい食品・エネルギーを除いた米国のコア消費者物価指数は、直近3ヵ月で年率8.3%の上昇(3ヵ月前比)となっており、これは1982年以来で最も高い水準です。
しかしながら、ピクテではインフレ率の急激な上昇は一過性のものであると考えています。短期的な供給制約と、新型コロナウイルス感染拡大の影響が大きかった中古車などの特定品目に対する需要の増大が原因と見るためです。FRBは、6月の連邦公開市場委員会(FOMC)で2021年の経済成長ならびに物価見通しを予想に反して上方修正し、早ければ2022年末の利上げに向けて準備を進めているように思われます。もっとも、賃金上昇率が足元の前年比+3%前後の水準を上抜ける場合には、利上げの時期がさらに早まる可能性もあり、その場合には企業業績に下押し圧力がかかることが懸念されます。
図表 3:米国コア消費者物価指数(前年同月比)の要因分解
月次、期間:2020年2月~2021年5月
※コロナ敏感項目は以下の7項目:宿泊料、中古車、レンタカー、航空運賃、テレビ、玩具、パソコン
出所:ピクテ・アセット・マネジメントのデータを使用しピクテ投信投資顧問作成
2)流動性分析~リスク性資産に対するニュートラルな見方を裏付ける
ピクテの流動性指標は、我々のリスク性資産に対するニュートラルな見方の裏づけとなっています。
米国およびユーロ圏の流動性は、FRB・欧州中央銀行(ECB)が金融緩和を継続するなか世界で最も潤沢です。ただし、今後は米国におけるテーパリング(量的金融緩和の縮小)の議論やリバースレポの増額などが、相場の波乱要因となるリスクに留意が必要と考えています。
中国の流動性は、コロナ危機以前と比較して縮小しています。これは、2020年に中小企業向け融資が拡大したのち、金融当局が、再度、債務水準の監視を強化しているためです。もっとも、中国経済の鈍化基調がさらに強まれば、中央銀行である中国人民銀行は年後半にも緩和的な金融政策への転換を迫られるものと見られ、その場合には中国元安を図った外国為替市場への介入が予想されます。
図表 4:主要国・地域の中央銀行の流動性フロー
月次、期間:2007年1月~2021年5月、6ヵ月移動平均、対名目GDP
出所:ピクテ・アセット・マネジメントのデータを使用しピクテ投信投資顧問作成
3)バリュエーション(相対的価値)分析~株式は2008年以降で最も割高
ピクテのバリュエーション指標は、株式が2008年以降で最も割高な水準にあることを示唆しています。株式のバリュエーションは、過去20年の平均から見て10パーセンタイル(0~100で評価、数字が低いほど割高)と、割高な水準にあります。
今後、流動性の縮小や実質債券利回りの上昇が、グローバル株式の株価収益率(PER)に対する下押し圧力を強める可能性には留意が必要です。
図表 5:各資産のバリュエーション、過去平均(20年)から見た水準
2021年6月17日時点
※株式:株価純資産倍率(PBR)、12ヵ月先株価収益率(PER)、一株あたり利益トレンドベース株価収益率(PER)、株価売上高倍率(PSR)、PEGレシオ、ERP(先進国のみ) 現金および債券:利回りー名目GDPトレンド 商品:ブルームバーグスポット価格インデックス/世界インフレ率 通貨:PPPからのかい離 金:スポット価格/米国消費者物価指数 物価連動債:物価連動債利回りー実質GDP成長率 現地通貨建て新興国債券:利回りー消費者物価指数などをもとに算出。
出所:ピクテ・アセット・マネジメントのデータを使用しピクテ投信投資顧問作成
4)センチメント(テクニカル)分析~投資家は循環物色の過程にあると見られる
ピクテのテクニカル指標は、株式にはやや強気の姿勢を示唆していますが、債券市場のなかで唯一強気を示唆しているのは現地通貨建ての中国国債のみです。
資金フロー面では、欧州株への流入が加速する一方で中国株への流入は止まっており、投資家は循環物色の過程にあると見られます。
図表 6:ピクテ流動性・センチメントインデックス
日次、期間:2017年12月末~2021年6月末
※世界株式:MSCI ACWI 株価指数(ドルベース)
※ピクテ流動性、センチメントインデックスは流動性供給量や世界株式の予想PER等を使用し、ピクテ独自に算出
出所:ピクテ・アセット・マネジメントのデータを使用しピクテ投信投資顧問作成
基準価額の変動要因(各組入資産の寄与度)と騰落率
図表 7:基準価額の変動要因(各組入資産の寄与度)と騰落率
月次、期間:設定日(2013年12月12日)~2021年6月末
※外貨建ての指定投資信託証券は円換算して騰落率を計算しています(為替レート:対顧客電信売買相場の仲値)。騰落率は分配金を再投資して計算し、各月末に組入れがある投資信託証券について直近の組入開始日から各月末までの期間の月次の騰落率を表示しています。売買により一旦組入れがなくなった後に再び組入れを開始した場合は、再び組入れる前の期間については騰落率は表示されません。変動要因の各資産の数値は2021年1月末~2021年6月末に保有の資産の表示しているため、資産クラス別の設定来の合計値は各資産の設定来の変動要因と必ずしも一致しません。マザーファンドの投資先ファンドであるピクテ・デルタ・ファンドの変動要因は主な投資対象の先物・オプションに含まれます。
組入資産の構成比
図表 8:組入資産の構成比
月次、期間:2020年12月末~2021年6月末
※組入比率は、基準日時点の実質比率(マザーファンドの組入比率×マザーファンドにおける当該証券の組入比率)。将来の運用成果等を示唆あるいは保証するものではありません。
組入資産の構成比と円資産比率
図表 9:資産配分比率の推移
月次、期間:2013年12月末~2021年6月末
図表 10:円資産比率の推移(概算値)
月次、期間:2013年12月末~2021年6月末
ファンドの特色
参考データ
出所:リフィニティブ・データストリームのデータを使用しピクテ投信投資顧問作成
【注釈】
※変動要因は月次ベースおよび設定来の基準価額の変動要因です。※変動要因はマザーファンドの組入ファンドの価格変動を基に委託会社が作成し参考情報として記載しているものです。項目(概算値)ごとに円未満は四捨五入しており、合計が一致しない場合があります。
※信託報酬等は、当ファンドの信託報酬や信託事務に要する諸費用等を含みます。その他には、当ファンドで直接行われる為替予約取引の要因等を含みます。
※記載の変動要因はマザーファンドの組入比率とマザーファンドの組入ファンドの価格変動および組入比率から算出した組入ファンド別の要因分析を主な投資対象ごとに集計したものです。したがって、組入ファンドの管理報酬等や、為替変動要因、ヘッジコスト、ヘッジ比率の変動による要因等は各投資対象に含まれます。また、マザーファンドの投資先ファンドであるピクテ・デルタ・ファンドの要因は先物・オプションに、短期金融商品等を主な投資対象とするファンドの要因は、その他に含めています。
※基準価額は信託報酬等控除後です。信託報酬率は「手続・手数料等」の「ファンドの費用」をご覧ください。
※円資産の比率は、当ファンドで保有しているコール・ローン等の比率と、円建て資産の比率、為替予約の比率から計算した概算値です。円建て資産の比率は、各投資先ファンドで組入れている円建て資産と各投資先ファンドの実質組入比率から算出しています。為替予約の比率は、当ファンドで直接行う為替予約の比率です。
※構成比は実質比率(マザーファンドの組入比率×マザーファンドにおける当該資産の組入比率)です。マザーファンドにおける当該資産の組入比率は、各投資先ファンドを主な投資対象によって株式、オルタナティブ、債券、短期金融商品等に分類、集計しています。構成比推移の債券と株式にはマザーファンドの投資先ファンドであるピクテ・デルタ・ファンドの株式先物、債券先物、オプションプレミアムを含めて集計しています。株式先物・オプション、債券先物・オプションにはピクテ・デルタ・ファンドの株式先物、債券先物、オプションプレミアムを含めて集計しています。キャッシュ等には投資先ファンドで保有する現金等の比率を含みません。
※組入資産の構成比および円資産の比率は、四捨五入して表示しているため、それを用いて計算すると誤差が生じる場合があります。
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