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- 運用開始から10周年を迎えたクアトロ
クアトロは、低リスク型のマルチ・アセット戦略として、2013年12月に運用を開始しました。以来、リスクを抑えながらもインフレによる資産価値の実質的な目減りの影響をはね返しつつ、長期的に資産価値を守る「資産保全」の考え方を実践してきました。今後も、投資家のポートフォリオにおいてコアとなる低リスク資産として、またこれまで低リスク資産の代表と位置付けられてきた債券の代替として、クアトロが果たす役割は大きいと考えています。
クアトロの基準価額は2023年年間で4.8%上昇
2023年の基準価額の動きを振り返ると、年前半は分散効果の復活を背景に堅調に推移しました。年央以降は世界的に金利が再上昇するなかで低調に推移する局面もあったものの、年末にかけては株式と債券が揃ってプラスに寄与し、2023年年間で基準価額は4.8%上昇しました(図表1)。
未曾有の市場環境となった2022年は、主要中央銀行が金融引き締めを進め、株式と債券が揃って大きく下落するなど、分散効果が発揮されにくい難しい1年となりましたが、2023年に入ってからは、株式と債券の分散効果(値動きの逆相関)が復活しており、クアトロのようなマルチ・アセット戦略にとって好ましい運用環境となりました。運用チームでは、こうした運用環境は今後も継続するとみています。
図表1:クアトロの基準価額の騰落率推移
年次、期間:2013年~2023年、設定来は2013年12月12日(設定日)~2023年12月29日
※基準価額は信託報酬等控除後。換金時の費用・税金等は考慮しておりません。 ※2013年は2013年12月12日(設定日)~2013年12月30日の騰落率を示しています。 ※日本国債、世界国債(ヘッジあり)、米国国債(ヘッジあり)については、図表2注記をご参照ください。
債券代替ファンドとしてのクアトロ
クアトロの基準価額は、設定来(2013年12月12日~2023年12月29日)で、16.3%の上昇となっています(図表2)。一方、比較対象となる代表的な低リスク資産の騰落率は、同期間に、日本国債が+4.8%、世界国債(ヘッジあり)が+1.3%、米国国債(ヘッジあり)が-7.9%などとなっています。
2022年以降、急速に金融引き締めが進められるなかで、クアトロのパフォーマンスは悪化しましたが、クアトロの設定来のパフォーマンスは、前述のとおり代表的な低リスク資産を上回るものとなっています。分散投資の徹底と機動的な資産配分が奏功し、債券代替ファンドとして一定の役割を果たしてきました。
ピクテでは、リスクを抑えながらもインフレによる資産価値の実質的な目減りの影響をはね返しつつ、長期的に資産価値を守る「資産保全」の考え方を実践していくための運用手段として、低リスク型のマルチ・アセット戦略であるクアトロが果たす役割は引き続き大きいと考えています。
今後については、足元の複雑な運用環境が当面続く可能性はあるものの、世界的な金融引き締めサイクルが終わりに向かうなかで、安定的にリターンを生み出しやすい環境に移行することが期待できると考えています。
図表2:クアトロの設定来のパフォーマンス推移~債券代替ファンドとして一定の役割を果たしてきた
日次、円ベース、期間:2013年12月12日(設定日)~2023年12月29日、2013年12月12日=100として指数化
右端数値は2023年12月29日時点
※基準価額は信託報酬等控除後 ※日本国債:FTSE日本国債指数、世界国債(ヘッジあり):FTSE世界国債指数(円ヘッジ)、米国国債(ヘッジあり):FTSE米国国債指数(円ヘッジ) ※指数はすべてトータル・リターン・ベース ※投資対象ファンドによって基準価額に反映する日が1-2日異なるため、比較指数は1営業日前ベースとしています。
出所:ブルームバーグのデータを基にピクテ・ジャパン作成
ポートフォリオの状況(2023年12月末時点)
2023年12月末時点のポートフォリオの構成比は、株式29.4%、債券44.3%、オルタナティブ21.6%、キャッシュ・短期金融商品等4.7%となっています(図表3)。
株式については、緩やかな景気減速やインフレ鈍化を背景に、欧米では利下げ観測が台頭しており、堅調な動きはしばらく継続すると思われます。このため、上昇相場に対して劣後しないよう、現状程度の組入比率を維持しつつ、インフレ率の高止まりや地政学的リスクの再燃などのリスクシナリオも考慮し、クオリティ・グロース株式やディフェンシブ株式を主体とした銘柄選択を継続します。
債券については、引き続き、先進国国債を中心とした組入れを維持しつつ、市場が織り込む利下げ期待は行き過ぎと思われ、いずれ楽観的な見方が修正される可能性も否定できないことから、超長期債から中長期債に乗り換えるなどのポートフォリオ内のデュレーション調整を検討します。
オルタナティブでは、分散効果に期待して金の保有を継続しています。同様に、ポートフォリオ分散の観点から市場中立型戦略およびロング・ショート型戦略への投資を継続しています。
なお、日本銀行の政策修正に伴う円反発の可能性を警戒し、為替ヘッジの比率を将来的に引き上げることを検討します。
図表3:2023年12月末時点のクアトロのポートフォリオ
時点:2023年12月29日
※構成比は実質比率(マザーファンドの組入比率×マザーファンドにおける当該資産の組入比率)です。マザーファンドにおける当該資産の組入比率は、各投資先ファンドを主な投資対象によって株式、債券、オルタナティブ、短期金融商品等に分類、集計しています。株式と債券の構成比には、マザーファンドの投資先ファンドであるピクテ・デルタ・ファンドの株式、債券、株式先物、債券先物、オプションプレミアムを含めて集計しています。キャッシュ・短期金融商品等には投資先ファンドで保有する現金等の比率を含みません。 ※円資産比率は、当ファンドで保有しているコール・ローン等の比率、円建て資産の比率、為替予約の比率から計算した概算値です。 ※修正デュレーションは、月末時点のウェイト加重平均修正デュレーション(当ファンドに占める債券のウェイト×債券ポートフォリオの修正デュレーション)で、概算値です。 ※[デルタF]で始まる資産は、ピクテ・デルタ・ファンドを通じて投資している株式の現物、先物、オプションプレミアムおよび債券の現物、先物、オプションプレミアムです。
ポイント①欧米先進国の先行きの成長率低下
米国経済は個人消費を中心に依然として底堅く推移しているものの、金融引き締めが景気に対する下押し圧力となることは避けられないと考えられます。消費の下支えが弱まり、金利が高止まりした場合、家計と企業のバランスシートは悪化し、成長は徐々に鈍化すると予想しています。株式については、相対的に景気変動に左右されにくいと考えられるクオリティ・グロース株式やディフェンシブ株式を選好しています。債券については、全般に成長率低下が金利低下(債券価格は上昇)につながると見込んでいますが、デュレーションリスクはコントロールしつつ、組入比率の引き上げを検討していきます。なお、クレジット・リスクを避ける観点から先進国の国債と投資適格債券に注目しています。このような見解に基づき、以下をポートフォリオに組入れています(図表4)。
株式
クオリティ・グロース株式~「ディフェンシブ戦略株式」、「世界スタイル株式(クオリティ重視)」、「スイス株式」、「デジタル・コミュニケーション関連株式」、「ロボティクス関連株式」、「米国株式(先物)」ディフェンシブ株式~「ディフェンシブ戦略株式」、「スイス株式」
債券
「世界ESG関連社債」、「ドイツ長期国債(先物)」、「フランス長期国債(先物)」、「米国10年物国債(先物)」、「米国長期国債(先物)」
図表4:2023年12月末時点のクアトロのポートフォリオ
~①欧米先進国の先行きの成長率低下
時点:2023年12月29日
※構成比は実質比率(マザーファンドの組入比率×マザーファンドにおける当該資産の組入比率)です。マザーファンドにおける当該資産の組入比率は、各投資先ファンドを主な投資対象によって株式、債券、オルタナティブ、短期金融商品等に分類、集計しています。株式と債券の構成比には、マザーファンドの投資先ファンドであるピクテ・デルタ・ファンドの株式、債券、株式先物、債券先物、オプションプレミアムを含めて集計しています。キャッシュ・短期金融商品等には投資先ファンドで保有する現金等の比率を含みません。 ※円資産比率は、当ファンドで保有しているコール・ローン等の比率、円建て資産の比率、為替予約の比率から計算した概算値です。 ※修正デュレーションは、月末時点のウェイト加重平均修正デュレーション(当ファンドに占める債券のウェイト×債券ポートフォリオの修正デュレーション)で、概算値です。 ※[デルタF]で始まる資産は、ピクテ・デルタ・ファンドを通じて投資している株式の現物、先物、オプションプレミアムおよび債券の現物、先物、オプションプレミアムです。
ポイント②物価の粘着性と地政学的リスク
世界的にみて、インフレ率は一段と低下する可能性が高いものの、経済成長に打撃を与えることなく各国・地域の中央銀行が目標とするインフレ率の水準に到達することは困難であると考えています。また、循環的なインフレ圧力が低下している一方で、構造的なインフレ要因(地政学的な緊張の高まりによるサプライチェーンの分断に起因するものなど)は継続しています。緊迫の度合いが引き続き高い地政学的リスクなどを背景に、インフレ抑制はさらに困難になりつつあると認識しています。こうしたなか、米連邦準備制度理事会(FRB)などの主要中央銀行にとって、金融政策のかじ取りがさらに困難な局面となっています。仮に、景気への配慮から金融引き締めを抑制することになれば、インフレ率を高止まりさせるリスクとなりうるため、注意が必要と考えています。このような見解に基づき、以下をポートフォリオに組入れています(図表5) 。
株式
「世界エネルギー株式(ETF)」
債券
「米国長期物価連動国債(現物)」
オルタナティブ
「金」、「世界リート(ETF)」
図表5:2023年12月末時点のクアトロのポートフォリオ
~②物価の粘着性と地政学的リスク
時点:2023年12月29日
※構成比は実質比率(マザーファンドの組入比率×マザーファンドにおける当該資産の組入比率)です。マザーファンドにおける当該資産の組入比率は、各投資先ファンドを主な投資対象によって株式、債券、オルタナティブ、短期金融商品等に分類、集計しています。株式と債券の構成比には、マザーファンドの投資先ファンドであるピクテ・デルタ・ファンドの株式、債券、株式先物、債券先物、オプションプレミアムを含めて集計しています。キャッシュ・短期金融商品等には投資先ファンドで保有する現金等の比率を含みません。 ※円資産比率は、当ファンドで保有しているコール・ローン等の比率、円建て資産の比率、為替予約の比率から計算した概算値です。 ※修正デュレーションは、月末時点のウェイト加重平均修正デュレーション(当ファンドに占める債券のウェイト×債券ポートフォリオの修正デュレーション)で、概算値です。 ※[デルタF]で始まる資産は、ピクテ・デルタ・ファンドを通じて投資している株式の現物、先物、オプションプレミアムおよび債券の現物、先物、オプションプレミアムです。
ポイント③景気の底を通過する中国とその他新興国のボトムアウト期待
これまで積極的な金融引き締めを行ってきた新興国は、先進国・地域と比較して早期に金融緩和に軸足を移そうとしています。このため、新興国の景気回復ペースは、先進国・地域と比較して相対的に早いとみていますが、新興国資産全般については、確信度が高まった場合には引き上げを検討するものの、現時点では慎重なスタンスを維持しています。
中国については、漸進的かつ範囲を絞った金融緩和策は、その効果が顕在化するまでに時間を要するとみています。引き続き、中国の政治面・経済面における構造的な課題(米国との対立や不動産セクターの信用不安など)には大きな進展がみられておらず、中央銀行である中国人民銀行は緩和的な政策スタンスを今後も強いられるものと考えています。目先の中国の景気は厳しいと判断するものの、いずれは金融緩和によって中国の景気も緩やかながら回復基調に向かうものと考えており、中国経済のボトムアウトがその他新興国のさらなる成長をけん引することが期待されます。このような見解に基づき、以下をポートフォリオに組入れています(図表6)。
株式
「新興国高配当株式」
債券
「現地通貨建て新興国債券」、「新興国債券(為替ヘッジ)」
図表6:2023年12月末時点のクアトロのポートフォリオ
~③景気の底を通過する中国とその他新興国のボトムアウト期待
時点:2023年12月29日
※構成比は実質比率(マザーファンドの組入比率×マザーファンドにおける当該資産の組入比率)です。マザーファンドにおける当該資産の組入比率は、各投資先ファンドを主な投資対象によって株式、債券、オルタナティブ、短期金融商品等に分類、集計しています。株式と債券の構成比には、マザーファンドの投資先ファンドであるピクテ・デルタ・ファンドの株式、債券、株式先物、債券先物、オプションプレミアムを含めて集計しています。キャッシュ・短期金融商品等には投資先ファンドで保有する現金等の比率を含みません。 ※円資産比率は、当ファンドで保有しているコール・ローン等の比率、円建て資産の比率、為替予約の比率から計算した概算値です。 ※修正デュレーションは、月末時点のウェイト加重平均修正デュレーション(当ファンドに占める債券のウェイト×債券ポートフォリオの修正デュレーション)で、概算値です。 ※[デルタF]で始まる資産は、ピクテ・デルタ・ファンドを通じて投資している株式の現物、先物、オプションプレミアムおよび債券の現物、先物、オプションプレミアムです。
ポイント④注目が続く日本
日本国内の経済環境は金融引き締めを正当化するものではない一方、金融政策の「正常化」に向けた流れは今後も継続されると考えています。これにより、日本円は下支えされ、国内資産に対する過度な投資魅力の高まりは緩和に向かうとみています。
引き続き日本は、景気が悪化していくサイクルにある欧米とは異なる景気局面に位置しており、日本銀行は「出口」への円滑な移行に向けて、いずれかのタイミングでイールドカーブ・コントロール(YCC)およびマイナス金利の解除に踏み切ることが予想されます。このため、円反発の可能性を警戒し、為替ヘッジの比率を将来的に引き上げることを検討します。日本株式については、引き続き、バリュエーション(投資価値評価)が相対的に魅力的と考えているほか、継続的な企業統治改革(資本効率の改善に向けた株主還元強化など)が期待されます。日本国債については、逆イールドとなっている主要先進国の多くと比較して相対的に魅力的な利回り(為替ヘッジコスト控除後、ロールダウン効果込み)が期待されます。このような見解に基づき、以下をポートフォリオに組入れています(図表7)。
株式
「日本株式(先物)」、「日本株式(現物)」
債券
「日本5年物国債(現物)」、「日本2年物国債(現物)」、「日本超長期国債(現物)」
図表7:2023年12月末時点のクアトロのポートフォリオ
~④注目が続く日本
時点:2023年12月29日
※構成比は実質比率(マザーファンドの組入比率×マザーファンドにおける当該資産の組入比率)です。マザーファンドにおける当該資産の組入比率は、各投資先ファンドを主な投資対象によって株式、債券、オルタナティブ、短期金融商品等に分類、集計しています。株式と債券の構成比には、マザーファンドの投資先ファンドであるピクテ・デルタ・ファンドの株式、債券、株式先物、債券先物、オプションプレミアムを含めて集計しています。キャッシュ・短期金融商品等には投資先ファンドで保有する現金等の比率を含みません。 ※円資産比率は、当ファンドで保有しているコール・ローン等の比率、円建て資産の比率、為替予約の比率から計算した概算値です。 ※修正デュレーションは、月末時点のウェイト加重平均修正デュレーション(当ファンドに占める債券のウェイト×債券ポートフォリオの修正デュレーション)で、概算値です。 ※[デルタF]で始まる資産は、ピクテ・デルタ・ファンドを通じて投資している株式の現物、先物、オプションプレミアムおよび債券の現物、先物、オプションプレミアムです。
基準価額の推移
日次、期間:2013年12月12日(設定日)~2023年12月29日
※基準価額は1万口当たりで表示※基準価額は信託報酬等控除後 ※破線はご参考で、将来の値動きを示唆するものではありません。
クアトロおよび主要な資産のリスク・リターン比較
日次、円ベース、年率、期間:2013年12月12日(設定日)~2023年12月29日、グラフ中の数字はリスク, リターン
※基準価額は信託報酬等控除後。換金時の費用・税金等は考慮しておりません。 ※日本国債:FTSE日本国債指数、世界国債(ヘッジあり):FTSE世界国債指数(円ヘッジ)、世界国債:FTSE世界国債指数(円換算)、米国ハイイールド債券:ICE BofA米国ハイイールド債券指数(円換算)、世界株式:MSCI全世界株価指数(円換算)、日本株式:TOPIX、日本リート:東証REIT指数、金:ロンドン市場金価格 ※指数はすべてトータル・リターン・ベース(金は除く) ※投資対象ファンドによって基準価額に反映する日が1-2日異なるため、比較指数は1営業日前ベースとしています。
出所:ブルームバーグのデータを基にピクテ・ジャパン作成
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